（雨期の暑さ）
(96)年：グッド・ハーヴェスト・アンリミテッド
監督：ラムジェ
主演：アラ・ミナ
ジョージ・エストレガン（ジュニア）
ダン・フェルナンデス
レーモンド・キアヌー
ラモン・レクト
アラ・ミナがトップ・スターの座を得るきっかけとなった作品であり、そのセクシーさが圧倒的な迫力を持って全開。個人的にはアラの賛美者であるのみならず、恋愛にも似た感情まで抱いているので、これはもうたまらない。初めから冷静な評価などできるはずないが、それでもけっこう楽しめる内容だと思う。
物語は1896年にはじまり、コロニアル風の屋敷が登場。時代がかった衣装のアラが現れ、画面がモノクロになると、顔が光でみえなくなった謎の男に抱かれる。手で胸を隠した裸のアラに、まず生唾ゴクリ。ショパンの別れの曲が流れて雰囲気をつくるが、この曲はミステリー・マンのテーマのようにして、そのあと何回も使用される。
正統ホラー映画か、それともＳＦかと思いながらも、監督のラムジェが特殊効果を兼任したオプティカル処理による光の線には、安手だなあとやや笑ってしまう。もっとも最近のＣＧを見慣れたせいであり、いかにも手づくりともいうべき特撮には、どことなく温かさがあって、いいんじゃないかとも感じる。
それにしてもホーソンを映画化したのかといったイメージの、アメリカ建国当時のニュー・イングランドを舞台にしたような設定の中、なんとアラが似合っていることか。まだ容姿は洗練しきれていないが、何百カラットの輝きを放つ寸前のダイヤモンドと形容したい。
アラを誘惑するのがラモン・レクト扮する肖像画に描かれた男と判明し、アラが肖像画の前に立つと、乳首が少しスケてみえるスリップ姿に光が巻きつき、ベッドへといざなう。うむ、スケベな亡霊だなあとニヤニヤしながらも、こちらもスケベだからもしやと期待がわき起こり、ちゃんとアラは応えてくれる。スリップをスーッと脱ぎ捨てるや、みごとな乳房が目の前にポロリと広がる。こりゃあ、すごい。そのあとカメラは背後にまわると、全裸のアラがベッドへと歩いていく。右脚、左脚と前へだすごとに、ややおかめ型のアラのお尻がキュッキュッと交互に動く。ウワー。
今度は真横からベッドをとらえ、アラがお尻をつきだしながら、そこへ横たわる。一瞬オマンコまでみえそう。乳房に光がまとわりつくが、手をだしてモミモミしたい誘惑。しかもカットが変わると、片脚をくの字型に組んで横たわるアラを斜め正面からとらえていて、画面の真ん中には柱のようなものがわざとあとから合成で加えられている。オイオイ、もしかしてアラのオマンコが映ってしまったからではないか。まさかアラの、アラのオマ、アラのオマンコが…
もう死にそう。
ここまで30分弱だが、早くも１２０％満足。
舞台は現代の1996年に変わり、屋敷はそのまま、アラも時代がかった衣装のままで再び登場する。肖像画がベッドへくるようにと求めるのもそのままで、真っ昼間からアラは全裸になると、ベッドの上でもだえる。うー、アラと昼間からなんて、と想像するだけで興奮。あの乳首を指先でつまんでみたい。
ストーリーのほうはというと、屋敷とは関係なく、脱獄シーンがしばらく繰り広げられる。囚人の一人を演じるのがジョージ・エストレガンで、この役者は本当に怪優というか、異常者をやらせたら右にでる者がいない。さらにもう一人の囚人はレーモンド・キアヌーで、二枚目風なのが対照的。ダン・フェルナンデス扮する警察官が、彼らを追う展開をみせる。
囚人たちが車を強奪するシーンはコメディー・タッチに描かれていて、やっぱりフィリピン映画だなあとニヤリ。ハデなカー・チェイスもあって、さすがアクションには本格的になるサーヴィス精神が買える。
アラの屋敷に囚人の二人が逃げこんでくるや、いよいよ興味が増してくる。当然ながらジョージはアラによこしまな欲望を抱き、レイプへ発展… アラが全裸になるところをのぞき見するシーンでは、まず背後からとらえて相変わらずキュートなお尻をみせてくれたあと、横を向くと陰毛のあたりにピカーッと光がさす撮りかたが心憎い。ズボンの中に手を入れてチャックをおろそうとするジョージ同様に、こちらまでビンビン状態に陥る。ジョージはアラを襲うものの、問題のベッドの上だったので、肖像画からでてきた光の線に首を絞められ、コミカルに頓死。昇天の表情がいかにもジョージらしく、フィリピン映画界きっての個性派だなあとうならせるもの。特撮の光がホラー的な不気味さというよりは、ユーモラスなバカっぽさを漂わせ、これってカルト・ムーヴィーなのでは、といった面白さもわきあがる。
ジョージの死体を一緒に埋めたアラとレーモンドはついに結ばれるが、嫉妬深い肖像画の男はどうするのか。レーモンドの居どころがアラの屋敷だとダンの警察がつきとめ、はたして突入してくるのか。そしてアラの正体はこの世の人間なのか、といった興味がグイグイ盛りあがってきて、けっこう夢中になれるクライマックスへ。アラが老婆に、骸骨にと崩れていく変貌がまずまずみせる。クライマックスの肖像画から外へとでたミステリー・マンとレーモンドの対決は、特撮のチャチさなんて関係なく、意外と引きこまれる迫力。 素直に楽しめた、というのが本音である。
確かにアラのセクシーさがなければ単なるＢ級ミステリー・ホラーにすぎないが、低予算でここまでの粋に達すればさすがだ、と賞賛せざるをえない。ラムジェ監督、やるではないか。ただストーリー的な面など、60年代のアメリカ映画にあった同種の作品を下敷きにしているばかりなので、もっとフィリピンらしさを強調したオリジナルなアイディアを反映していれば、いっそう楽しめたような気もするのだが…
