ＩＮＩＴ　ＮＧ　ＤＵＧＯ
（血のたぎり）
　
98年：レオ・フィルムズ
監督：リコ・タリマン、カルロス・アグスティン
主演：クリセルダ・ヴォルクス
　　　 キエール・レガスピ
　　　 ダニエル・フェルナンド
　　　 アラン・パウレ
　　　 リト・レガスピ
　　　 フランコ・ゲレロ
　　　 モーリス・ゲヴァラ
　クリセルダ・ヴォルクスを主演に描くセクシー・サスペンス。
　リト・レガスピ演じる有力者のカネ持ちがいて、クリセルダ演じる娘ほど年齢の離れた後妻をめとる。アラン・パウレ演じるリトの長男は警官で、まじめなタイプ。キエール・レガスピ演じる二男は遊び人でギャンブルの借金がかさみ、リトにカネをむしんするも、ダメだと断られている。リトは宝石をクリセルダにみせ、こっそりと金庫にしまう。ダニエル・フェルナンド演じるリトの運転手をクリセルダが誘惑し、リトに睡眠薬をもった夜に金庫から盗むように頼むと、計画外でリトが亡くなったため、悲鳴をあげてかけつけたアランにダニエルを撃たせる。ロニー・フランシスコ演じる弁護士から遺書が読まれ、キエールは不満をぶつけ、まったく遺産の分与がなかったクリセルダはしおらしく納得をよそおう。家をでていく準備の際にキエールをたくみに魅了で住みつづける承諾をえて、アランとキエールが存在に気がついていない宝石を納屋で探すとのストーリー。
　一方通行の道路やカジノでケンカしてキエールをキレやすいキャラクターに置き、フランコ・ゲレロがオーナーを演じる違法カジノでキエールが支払いを迫られたとき、偶然にもアランたちが摘発に踏みこんでくる。後半にキエールのグループとフランコの一味が銃撃戦を繰り広げるサブのエピソードは、単純にハデな見せ場を加えたかった程度にしか全体にからまない。クリセルダがカジノで負けてホテルへ連れこまれるのも行動としてヘンで、どこか性格設定がいい加減と思わせる。キエールが納屋に鍵をかけたのでわざとバカなことをしたうえ、キエールがキレるように仕向けて殴らせ、同情を誘って鍵のありかを調べたのか、あいまいな点がミステリーに昇華しない甘さがつらい。ダニエルが生きているのは明らかだが、クリセルダの宝石捜査をひそかに見張る人影がマリオン・パドゥアとヴァニー・ペレス演じるメイドのどちらかをにおわせ、ダニエルの仲間のようでいて、シメを欠く構成もイマイチ。宝石を発見したクリセルダをキエールが連れだし、車ごと焼こうとするとダニエルが現われ、格闘の最中にアランがきて、いったい誰が誰を撃ち、誰が助かるのかをもっとハラハラみせないことには、クライマックスが決まらないよとの落胆が起きる。正義漢のアランがクリセルダとキエールの関係を目撃した直後、なにもしないあたりも納得がいかず、失格ドラマと指摘せざるをえない。
　カルロス・“ボン”・アグスティンの脚本が突っこみ不足なのだろう。
　それでもリコ・タリマンとカルロスの演出分担は具体的にわからないながら、ダニエルがハダカをみているのを察して含み笑いをうかべるなど、クリセルダの魅力はそこそこに引きだしたようだ。
　セクシーさという志向では、リトのバースディー・パーティーでオッパイがこぼれそうなイヴニング・ドレスで登場し、さっそくクリセルダが歓喜をくれる。リトとの新婚旅行はビーチで、えんじのワンピース水着になって浅瀬へ走っていく。海水とたわむれるショットに変わると青いセパレーツだからつがなりはおかしいものの、リトの海パンのチンポに砂を乗せて遊んだあと、ゴロゴロ寝ころんで抱かれるイチャイチャでパンティーの貼りつくお尻がグッとそそる。ホテルのシャワーではビニールのカーテン越しに全裸がスケてみえ、オッパイを押しつけてリトを挑発。ベッドは騎乗位でもだえる。スリップ下着でリトをマッサージするなどあって、ダニエルにブラをつけるのをのぞかれるシーンはハイライトといってよく、お尻をおおったパンティーのうしろ姿をカメラがなめるように撮り、鏡にはチラッと乳首がうつっている。リトが寝たあとに抜けだしてダニエルの部屋へきてのセックスは座ったポーズのスリップがまくれあがり、お尻の形そのままに食いこんだパンティーにカッカ興奮。キエールをとりこにする荷造りでのガウンの前をはだけ、きわどいブラとハイレグ・パンティーのボディーが放つパワーにも圧倒される。キエールが抱きついてガウンをおろしたのにオッパイがみえないのと、宝石探しを家具探しにごまかしたときにキエールと愛撫に発展してパンティーをはぎとられたのに露出が控えめなのと、カジノで勝ってキエールと浮かれ、台上でダンスするバカ乗りで脱ぎそうなのに脱がないのと、カジノに負けて酔っぱらうかっこうが黒いブラのスケた網のシャツなのに、エロティックなポーズをとらないのが残念かな。いずれにしても、それほど美人じゃないクリセルダをつかってこれだけウハウハをくれれば、十分に感謝を送りたい。
　あとキエールの恋人を演じたモーリス・ゲヴァラのヘソだしパンツ・ルックがいけるが、いささかブスっぽい。リトのパーティー会場にいる無名のミニスカ女のほうが気にかかる。
　なお結婚式のＢＧＭにジョン・ウィリアムズの『遙かなる大地へ』の曲、クリセルダとダニエルの逢い引きのＢＧＭにガーシュインの『サムワン・ウォッチド・オーヴァー・ミー』が流れていて、音楽担当にカルロスと彼のスタッフとのクレジットがあるから、カルロスのセンスなのだろう。