IＬＩＧＰＩＴ　ＳＩ　ＢＯＢＢＹ　ＯＲＴＥＧＡ　　ＭＡＲＫＡＮＧ　ＢＵＮＧＯ　２
（ボビー・オルテガが元の秩序に戻す　ドクロのマーク　２）
　
95年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：エディー・ロドリゲス
主演：ルディー・フェルナンデス
　　　 チャーリン・ゴンザレス
　　　 アントニー・アロンソ
　　　 ビン・ロイサガ
　　　 レス・コルテス
　　　 リト・レガスピ
　　　 マンジョー・デル・ムンド
　　　 ペン・メディナ
　　　 アリシア・アロンソ
　　　 ベンボル・ロコ
　　　 トニー・マベサ
　　 　シンタロ・ヴァルデス
　法廷でベンボル・ロコ演じる被告が、トニー・マベサ演じる判事から有罪を宣告される。アントニー・アロンソ演じるベンボルの相棒がシンタロ・ヴァルデス演じるトニーの息子を誘拐し、ルディー・フェルナンデス演じるトニーと教父関係にある軍隊士官の対応もむなしく、ルディー、トニー、アリシア・アロンソ演じる母の目の前でシンタロをヘリコプターから突き落とす。アントニーの手引きでベンボルが護送中に脱獄をはかると、うまく成功だったのだが、ルディーの部隊に撃たれて亡くなる。アントニーがルディーに復讐を決意。
　とゲスト出演をつかった導入部がテンポよく展開する。メインのストーリーはアントニーの執拗なルディーへの攻撃なのは当然にして、これにエルニー・フォルテ演じる内部告発者の情報提供を機にＮＰＯとルディーたちの戦闘が同時進行でからみ、敵が二つ登場。ペン・メディナやロミー・ロムロ演じるＮＰＯの幹部とアントニーが最後までつるまず、別々のままなのがフィリピン映画としては意外な構成をつくる。監督のエディー・ロドリゲスと、フミルデ・“ミーク”・ロハス、ロジャー・フエンテベリアの脚本が、そこそこ練ってある。
　ただし、何度か繰り返されるアクション・シーンにアイディアが乏しく、全体的には凡作の印象。アントニーがナイフをなめるなど、スゴみを表現しているつもりかもしれないが、ただの狂人を思わせ、シラけを助長するばかり。
　レナート・ロブレス演じる夫を失ったビン・ロイサガ演じる女性ＮＰＯメンバーが、ボンバー・モラン演じる助手の協力を得て、色じかけでルディーに接近。チャーリン・ゴンザレス演じるルディーの恋人が嫉妬との図式は表面的なレヴェルにとどまり、ドラマをつくるにいたらない。リト・レガスピ演じるルディーの上官に疑惑をかけるといった、ひねりもほしかったところで、ホント、演出がイマイチ。
　リト・ガルシア演じる司令官がルディーたちに「いいニュースと悪いニュースがある」と話す台詞まわしは『警部マクロード』など、アメリカの警察ものを連想させる。ルディーとチャーリンのデートでヴァイオリニストの流しが『魅惑』を演奏するのは『昼下りの情事』のイメージで、ヘタなのがご愛嬌。チャーリン宅の冷蔵庫にアントニーが猫の死体を入れておくのは『危険な情事』のマネと推測され、相変わらずオリジナリティーが欠如していることよ。
　チャーリンが柔道ふうにルディーを投げ飛ばし、格闘技の心得を持つ伏線だけ、ちゃんとラストにつながったかな。
　これで女優の魅力はどうかだが、チャーリンはベッドで着衣のままなうえ、せっかくファッション・モデルとの設定なのに、ショーのステージがワンピースばかり。せめて水着になってほしかった。アントニーが襲う楽屋で誰も下着がいないのもさみしく、サーヴィス不足を痛感する。ビンはジーンズ姿からうかがうに、下半身が相当に太めだし、ルビーと立ち愛撫からセックスになるシーンで、ベッドの下にあるピストルをとるかどうかの『氷の微笑』におけるアイス・ピック的なサスペンスを含むのはよいにしても、露出が控え目すぎる。ビンがつとめるクラブで、レス・コルテス演じるルディーの部下がほれる歌手役のミシェル・オルテガは、いささかブスっぽい。負傷したルディーがキスする看護婦役のマリアンネ・アルタディはかわいいだけに、きわどいシチュエーションを含まないのが残念。
　など、ほとんど期待に答えないまま。
　凡作以下かもしれない。