Ｉ　ＬＯＶＥ　ＤＲＥＡＭＧＵＹＺ
　
09年：ＤＭＶエンターテインメント
監督：ジョエル・Ｃ・ラマンガン
主演：マルコ・モラレス
　　　 ニーニャ・ホセ
　　 　ジェー・Ｌ・ディゾン
　　 　ミコ・アキノ
　 　　ミギー・ヴァルデス
　 　　ジャオ・マパ
　　　 シェルウィン・オルドニェス
　　　 アルテア・ヴェガ
　　　 アントン・ディーヴァ
　　 　アテ・シャウィー
　　 　アテ・ガイ
　おなじみ、ジョエル・Ｃ・ラマンガンによるホモがテーマのもの。
　日本のクラブで踊る男性ダンサーのオーディションがあり、コーディネーターのセヴィーリア夫人（ラクエル・ヴィリアヴィセンシオ）が田中氏（マーヴィン・ウチダ）なる人物と審査をつとめる。選ばれたリコ（マルコ・モラレス）、ジェーク（ジェー・Ｌ・ディゾン）、アルヴィン（シェルウィン・オルドニェス）、マイケル（マイコ・アキノ）、ベンジョー（ミギー・ヴァルデス）の五名がディディ（ジャオ・マパ）の経営のクラブあずかりになり、ダンスを練習の中、ヴィザのでるまでの間に起こるドラマ。じゃぱゆきがほぼ全滅で日本での水商売が幻想化にもかかわらず、女性から男性にかわったとはいえ、相変わらずの日本への夢が下敷きに横たわる。
　選抜の結果発表の直後に落ちたものがケンカをうったり、受かったものをはげましたり、また「コールボーイをする」との声が聞かれる。
　リコは年老いて動けない祖母（アマ・キアンバオ）の世話や、まだ幼い妹（カトリナ・“ホピア”・レガスピ）と弟（ジム・タンコ）の学費などのために働いている。ベンジョーも母（ズセット・ラニーリオ）を支えるが、よっぱらいの義父（アーチー・アダモス）が理不尽な暴力を振るい、生活費を奪う。兄が先に横浜へいっていて連絡が入り、興奮で「東京の仕事が決まった」と再会に期待を告げるも、実際は東京よりもずっと遠くの田舎へ兄が移り、会えそうにない。アルヴィンにも幼い妹（リレット・ペナノ）が訪ねてきて学校の費用や病気の母の薬代とカネの必要を頼み、重圧がのしかかる。ジェークは出版社の若き女性重役のジェニー（ニーニャ・ホセ）とつき合い、逆援助交際だが、メンバーとの合宿をジェニーが嫉妬で交際にヒビが生じれば、自らは心臓病をかかえ、医者（エディー・レタダ）に「深刻だ」と警告される。マイケルは以前に名古屋で働いた経験を隠し、今回はニセのパスポートで渡航予定。妻のゼニー（アルテア・ヴェガ）がいるながら、日本に住む愛人のマリコ（メロー・ジョンソン）とひんぱんに連絡をとる。なんておなじみのシチューションがでてくる。
　まずディディの店にはオカマの人気コメディアンのアテ・ガイことマヌエル・パピリエーラとアテ・シャウィーことマーヴィン・マルティネスがレギュラー出演でかけ合いのトークをくり広げ、ゲストでニューハーフの歌手のアントン・ディーヴァことチョナ・ヴァルデスが歌う。チョナの歌声に合わせて五名のプライヴェートを紹介のシーンの挿入がムードをかもし、さすがジョエル・Ｃ・ラマンガンらしいうまさが光る。
　五人をディディがドリームガイズと名づけ、店のステージで踊らせる。ディディはメンバーのアルヴィンと同性愛の恋人同士で、アルヴィンの妹にカネをあげている。マイケルはマリコとの会話などで日本語を話し、メンバーに教え、アルヴィンが不用意に「マイケルに習った」といってマイケルの前回の強制送還があやうくバレそうなのをごまかすや、アルヴィンとマイケルがもめるも、すぐに仲間の仲裁で仲直り。ジェニーが冷たい態度で接しはじめてジェークがひがみ、ついに怒ったジェニーがジェークを追いだすと、ジェークがホモの恋人関係に陥ったリコの家に転がりこむ。でもジェニーが妊娠で愛が復活し、ジェークの母（マイルス・カナピ）が田舎からでてきて喜ぶ。ジェークの携帯に受信のリコのメールを読んでジェニーがジェークとリコのホモに気がつくも、黙っている。マリコのフィリピン訪問でマイケルがゼニーとはち合わせを心配ながら、意外にも知らないうちにマリコがゼニーと連絡をとり合い、レズを実践にマイケルがびっくり。と群像劇が同時進行で語られつつ、ディディのトラブルが核をつくる。韓国人の会社へつとめたベシー（クリステル・デ・ヘスス）の話に乗ってディディがディスカウントの車の販売へ投資を呼びかけ、中年のおばさんのマルー（キムニー・マクラン）やリサ（ミンディー・オルドニェス）などがカネをだすが、約束の日に車がこないし、カネも戻らず、会社へいけば受付のエラ（クリスティー・ガリット）に社長のキム氏やベシーは不在といわれ、自らも大損なうえに賠償を迫られる。アテ・ガイとアテ・シャウィーに「ギャラが払えない」と謝り、許してもらうも、アルヴィンの「友だちを裏切った」の非難に自殺未遂を起こし、なんとか回復のあと、去っていたアルヴィンが帰る。マリコとゼニーやジェニーも参加の全員が祝うマイケルの誕生日のパーティーで被害者のひとりがディディを殺しに現われ、とっさの騒ぎでジェークが刺される。
　病室にみんなが集まり、看護婦（アイリーン・スリアン）の指示に退室でジェニーと母が残り、ジェニーの思いのたけの告白に母が笑顔を浮かべて瀕死のジェークをながめ、ドアの先でリコがのぞくのに気がついて招き入れ、三人でジェークが息を引きとるのをみとって号泣。このときの各人の心理描写が特筆にあたいし、母親役のマイルス・カナピの表現力が絶品で、ジョエル・Ｃ・ラマンガンの演出に感嘆がわきあがる。ただし人間の死によってドラマティックさを与えようとの意図があまりにも安易になり、マニー・Ａ・ヴァレラのストーリーにもとづくエンリケ・ラモスの脚本がラクな方向へ走っている。
　ラストはいよいよ日本に出発直前のドリームガイズがディディの店でダンスを披露し、ジェークを欠いて四人だが、客席のジェニーの目にはジェークがうつって五人にみえる。被害者のヴィク（ジョセフ・サルセド）の訴えで逮捕のディディが戻ってのクライマックスで、ジャン・ルノワールの『フレンチ・カンカン』はともかく、李相日の『フラガール』にも盛りあげが遠くおよばないのはしょうがないか。リコ、アルヴィンとディディ、マイケルとマリコ、ベンジョー、ジェニーのその後を文字に書いてエピローグがフィクションをしめる。ほどほどによくできたとは認めるも、エピローグの頭に「ドリームガイズは東京の田中のクラブでセンセーションを巻き起こした」とあり、やはり日本志向によりかった内容だなあとバカにする。はたして現実を無視の時代錯誤なこの作劇は、ジョエル・Ｃ・ラマンガンなどの作者にすれば、確信犯だろうか。
　とにかくホモのセックス・シーンがすごく、ビーチの合宿で五名のメンバーやディディが全裸に脱いでお尻を丸だしで泳げば、パンツ一丁で二人ずつがシャワーを浴びるときにリコとジェークが意気投合。マルコ・モラレスとジェー・Ｌ・ディゾンが真っ裸で抱き合い、パンツ一丁で電話をかけながらの愛の告白はお互いがパンツの上から自分でチンポをさわる。ジェークが家へやってくると、ベッドで愛の行為でマルコ・モラレスがチンポをモロにプラプラとミセミセなら、ジェー・Ｌ・ディゾンのアヌスがのぞきそうだし、二人がお尻を隠さずに全裸で寝る姿が気持ち悪い。アルヴィンとディディのセックスはシェルウィン・オルドニェスとジャオ・マパの露出が控えめでも、ディープ・キスが嫌悪感をもよおす。
　同様に濃厚なキスのねちこいショットの積みかさねだと、ジェニーとジェークが女と男だけにゾクゾクと刺激をくれるし、上半身を脱いだ愛撫でニーニャ・ホセのオッパイが隠れたままに残念しごく。翌朝にでかけるジェニーが真っ裸で寝るジェークにシーツをかけてあげるとき、ジェー・Ｌ・ディゾンのアヌスやタマ筋のギリギリお尻がバッチリになんでニーニャ・ホセのハダカじゃないのと不満がムズムズでも、ニーニャ・ホセほどの美人の前でお尻を全開の恥ずかしさは勃起ものの快感だなあと思え、あらあら変態か。さらにニーニャはジェークが合宿でビーチへいくのを怒って二階へあがる際の細くて長い脚を強調のタイツのごとき衣装や、ジェークへ冷たくあたる際のバストの谷間がセクシーな衣装、亡くなったジェークの写真をながめる際のバストの谷間が視線を奪う衣装と着衣が興奮をくれる。
　もう、マジでやりたい、絶世のイイ女。
　ほかに女優ではマリコとマイケルの電話を聞いてゼニーが「彼女は私よりうまいの？」と悔しさに挑発でボディーをおおっていたタオルをはずし、アルテア・ヴェガが素っ裸のオッパイ丸だしで形の理想的な乳房をさらす。マリコがきたのを心配のマイケルに「私が呼んだのよ」とビキニ下着で現われ、アルテア・ヴェガのプロポーションにハッと息をのむ。三人のセックスではアルテア・ヴェガとメロー・ジョンソンのオッパイが惜しげもなくマイケルにもまれ、女同士でこすれ合う。日本人役のメロー・ジョンソンは日本語の台詞の発音に違和感をともない、強引な配役の無理さながら、オッパイの誘惑はボキボキのカチカチもの。
　もしニーニャ・ホセの乳首露出があれば、文句なしの傑作だっただろうに。