ＨＵＬＡ　ＭＯ　　ＨＵＬＩ　ＫＯ
（あなたが予知した私の獲物）
　
02年：リフレクション・フィルムズ
監督：エドガルド・“ボーイ”・ヴィナラオ
主演：ルディー・フェルナンデス
　　 　ルーファ・メエ・キント
　　　 カルロス・モラレス
　　　 ジェニン・デシデリオ
　　　 アルヴィン・アンソン
　　　 マイク・ガヨソ
　異端宗教の教団と予知能力を持つ女を扱う犯罪映画。カトリック色がプンプン匂うあたりが興味深いものの、ややパンチを欠く内容になっている。
　黒ミサでいけにえの処女へ剣を刺そうとした瞬間、ルディー・フェルナンデス演じる刑事が教祖を射殺するのが開巻。残念ながら処女も死んでしまうのだが、ルーファ・メエ・キント演じる妹が未来を感知するパワーを持つようになる。
　ルディーとルーファが出会うあたりはコメディー仕立て。ルディーたちがディスコ・パブの売春を取り締まっていて、ダンサーがブラをはずしたところで逮捕開始。ちょうどそのとき、問題のパブの奥でルーファが占いの部屋を開設していたのに、メル・キムラ演じる顧客の元へ夫がナイフを片手に襲ってきたから大あわて。ルーファは胸のボタンがはじけ、ブラをあらわにバーへと逃げてＧ．Ｒ．Ｏ．との勘違をうけ、警察に御用。署内の取り調べでカッカ騒ぎまくる。
　ルーファは一方的にルディーへ片思いを抱き、バカっぽくときめく得意のブーバ・キャラに設定されている。
　車に乗っていたらルーファが突然にホールド・アップだと察知し、ルディーが駆けつけてみれば議員の娘がボーイ・フレンドとケンカしたのをボディー・ガードがとめていた、などのエピソードがあって、次第にルディーがルーファの能力を信じるようになる。同時にミサをあげている神父の連続殺人が展開。
　パトリック・デラ・ロサ演じる警察仲間が狙われる危機も告げるが、ときすでに遅く犠牲に。あとでジョーイ・パディーリア演じる刑事が危うく防弾チョッキで殺害から逃れ、反対に犯人を撃てば、ジェニン・デシデリオ演じる婦人警官。実は悪魔教団の壊滅にかかわった刑事たちを始末しているとの経過が、登場人物たちには伏せられたまま明らかになる。モンタージュ写真を作製していたら、だんだんとジェニンの顔を描いていくシーンがちょっと面白い。
　マイク・ガヨソとボーイ・ロケが演じる悪魔教団の暗殺者が襲撃してくると自らの危険を読んだルーファは、メリー・タガサ演じる祖母と自宅を脱出。ルディーの家にかくまわれるも、一つ屋根の下なのにルディーがルーファに手をださないのは、いつになく禁欲キャラだなあと苦笑い。次に殺害を予知した宗教家の集会をルディーたちが張り、奇跡を起こすインチキ教団のサクラである身障者にバケたマイクをルディーがやっつけたあと、初めてルーファとキスする。
　メンゲー・コバルビアス演じる上司が捜査協力を依頼していたカルロス・モラレス演じる精神科医にルーファが心理分析をうけ、その記憶をコンピューターで映像化したら悪魔教団のマークが浮かびあがり、ルディーに冒頭の記憶が蘇るのは安易な構成。ルーファの誘拐へとつながり、儀式の犠牲になりそうなところをルディーが間一髪で助けるクライマックスへ。ルーファが握手のときにイヤな予感を漂わせるとの伏線を置いていたものの、とにかく配役で真の犯人が最初からバレバレなのがつらい。皮肉にも役者の存在感がかえってマイナスになっていて、なんとなくこの裏目ぶりはシドニー・ルメットの『ＤＥＡＤＬＹ　ＡＦＦＡＩＲ』におけるマクシミリアン・シェルを連想する。
　アクション自体をとれば、弾丸をＣＧでみせるアイディアを盛りこむも、とくに新鮮味に乏しい。ルディーがただショット・ガンを無駄撃ちしてるようなあたりなど、アホじゃないのとのイメージまで抱かせる。同時録音なのか、全体的に音がこもっている点も含め、正直パッとしない。
　ルーファがスリップのままルディーたちのところへ逃げてくるくらいしかセクシーさをだしていなかったのもイライラ要素だが、いけにえになる設定で全裸にむかれる。オッと、いよいよだぞと期待したのに、助けられたあとはボディーにシーツを巻き、ついにオッパイを隠したままなのがアレレレ。ジェニンはヌード要員だと推測していたのに、結局パトリックとのセックスでオッパイをださずじまい。
　セクシーさも落第だから、しょーもない作品と評価してもしょうがないだろう。