ＡＮＧ　ＵＴＯＬ　ＫＯＮＧ　ＨＯＯＤＬＵＭ
（不良たちによる私のティーム）
　
91年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：デオ・Ｊ・ファハルド・ジュニア
主演：ロビン・パディーリア
　　　 ヴィーナ・モラレス
　　　 グロリア・ディアス
　　　 チャリト・ソリス
　　　 ダンテ・リヴェロ
　　　 マーク・ヒル
　　　 ロイ・ヴィンソン
　　　 デニス・パディーリア
　　　 キエール・レガスピ
　　　 レーチェル・アレハンドロ
　　　 ライアン・ソレル
　　　 ＩＣ・メンドーサ
　　　 クリス・アギラ
　　　 クリス・ダルス
　　　 ロジャー・モリン
　豪華なキャストで描く不良少年たちの犯罪青春ドラマ。バギオを舞台に、ロビン・パディーリア演じるシンジケートの子分が主人公。あこぎなショバ代取りたてを退治する正義感を持つも、小悪党との格闘になってジプニーのフロント・ガラスをバンバン割り、そりゃ、かえって迷惑をかけてるでしょう、との矛盾をまったく気にしない構成が、まずいい加減とあきれさせる。監督のデオ・Ｊ・ファハルド・ジュニアがストーリーを担当し、フミルデ・“ミーク”・ロハスの脚本、アイク・ハルレゴ・ジュニアの編集といったメンバーながら、あまり才能が感じられない。レーチェル・アレハンドロ演じるガール・フレンドの車を暴走させ、商店に突っこんで逃げるなど、ロビンのしょうもなさに共感が皆無で、どうしてこんなヤツをヒーローにするのか、との嫌悪感すらおぼえる。
　ロビンの相棒をデニス・パディーリアが演じ、ユーモラスな要素をプラスも、全体から浮いた印象なのが残念。
　貧しい家庭に暮らすロビンが下品なイメージで登場し、ヴィーナ・モラレス演じる中流のお嬢さまと恋に落ちる内容は、いかにも定番かな。数人が雑居の小さな部屋で、デンショ・パディーリア演じる父がオカマだったり、手で歩く障害者がいるあたりは興味深い。マーク・ヒル演じるロビンのボスがグロリア・ディアス演じるヴィーナの母と不倫関係で、ダンテ・リヴェロ演じるヴィーナの父の所有する利権を奪おうとたくらむ。家族を人質にとられたロビンがマークの強制でヴィーナとライアン・ソレル演じる弟を誘拐も、ヴィーナたちを連れて逃げ、キング・グチェレス演じるマークの腹心に狙われる展開になって、いよいよ本筋へ。マークが火炎瓶を投げながらトラックを運転し、これをロイ・ヴィンソンがチーフを演じる警察、キング、マーク、ダンテ、キエール・レガスピ演じるヴィーナのボーイ・フレンドが追跡のカー・チェイスは、さすがにスピーディーな感覚が迫力を生んで、けっこうな見せ場をつくっている。
　ロビンたちがデニスの叔母宅に隠れたあとは、しばらく貧民街の暮らしぶりを描写。悪党どもを退治でクリス・ダルス演じるバランガイ・キャプテンから感謝されたりなものの、ヴィーナがロビンの暴力性をいさめる女らしさは、さすがに説得力にあふれる。ただし日常に退屈をおぼえていたヴィーナの、好まないまでも冒険に巻きこまれた心理がおざなりなままや、下層の汚い環境へ抵抗を示さないなど、首をかしげる表現を含むのも事実。
　メンスがはじまったヴィーナのためにナプキンを買いに行き、デニスが棚を崩すギャグにいたっては、笑う前に迷惑行為への腹立たしさが優先する。
　映画はややロマンスの進行に時間をさいたあと、最後はキングの襲撃の受け、ドンパチのすえに終了と予想したが、ヴィーナとライアンが帰宅。グロリアの手でマークのところへ監禁をロビンが救出へ向かうクライマックスにつながり、さすがにちょっと練ったあとがうかがえる。
　住む世界が違うと身を引いたロビンに対し、ヴィーナがロビンの環境にまで下りてきてのハッピー・エンドは好感を抱かせるながら、途中のエピソードにおける不快な部分をカヴァーしきれたといえず、全体的にイマイチと評価せざるをえない。賄賂をとって悪徳ぶりを強調のロイがマークとグロリアの逮捕に乗りだし、ひねったキャラをみせる反面、チャリト・ソリス演じるロビンを助ける中年歌手など、からませかたのヘタな人間関係もあって、平均以下との判断に落ち着くようだ。
　また、ヴィーナが清純さを前面にかかげ、お色気を殺している点がすごく残念。レーチェルがロビン宅を訪ねてセックスになるとき、スパッツふうの衣装なのが一番刺激的かな。熟女のグロリアに二度のベッド・シーンがあるも、当然、露出は控え目になっている。あと、ロビンとイチャつき、ヴィーナを嫉妬させる役の女優がそそるタイプ。ヴィーナと逃げるロビンが仮装パーティーの会場へまぎれこむところで、ビキニのダンサーが視線を奪ってくれる。
　いずれにしてもコレというショットがなく、セクシーさ不発だった。