12年：ＣＭフィルムズ／ＶＩＶＡフィルムズ
監督：セザール・モンタノ
主演：セザール・モンタノ
サム・ピント
フィリップ・サルヴァドル
ジェーゴ・モンタノ
フィリピンのアクションの王道といえるガン・ファイトもので、セザール・モンタノの監督・主演作。人気急上昇のサム・ピントがヒロインを演じる。
セザール・モンタノのストーリーによるウィリー・ラコンサイとセザール・モンタノの脚本は、さして評価にたりず。麻薬・売春・賭博のシンジケートの殺し屋だったベン（セザール・モンタノ）が、ジャマになったと組織の襲撃をうけ、妊娠中の妻のカロル（サンシャイン・ガルシア）を惨殺され、自らは昏睡状態におちいる。ちなみに妻役がサンシャイン・クルースでないあたり、ちょっとプライヴェートが不仲かなと余計な詮索がおきる。
七年後に目覚め、たまたまグラヴィア・モデルのジーナ（サム・ピント）と知りあい、お互いに引かれる。
シンジケートではボスのマンド（リッキー・ダヴァオ）に対し、弟のトム（フィリップ・サルヴァドル）が暗殺の実行犯をつとめ、ベンを狙ったのも彼だが、早期引退だと一千万ペソを要求する。渋るマンドに息子のマイク（ジョコ・ディアス）が伯父のトムの処分を行動に移す。実はジーナがマンドの娘で、親に頼らずにモデルで自立し、家をでている。また、養子のアルヴィン（マーク・ヘラス）が兄のマイクと違ってひ弱な性格なため、マンドが嫌うとの人物配置。
とにかくベンが敵の娘と愛しあったことに深く悩むわけでないうえ、マンドとトムとマイクが近親の設定がおざなり。いずれのキャラクターも性格づけが単細胞なので、さっぱりドラマに盛りあがりを欠く。しかも背後のワルにアルヴィンが登場の逆転が、キャスティングでバレバレの弱さ。ベンの子どもが生きているなんて台詞が、まったくの蛇足。
セザール・モンタノの演出は細かいショットの積み重ねでリズムを刻み、ストップ・モーションの手法などをプラスも、二丁マシンガンの撃ちかたがバカっぽいし、弾の数がデタラメで銃撃戦にリアリティーが薄い。トムがマイクを倒す早撃ちの視覚処理と、ジーナの太腿の間から顔をだしてベンがアルヴィンを射殺がおかしい程度に終わり、駄作のレヴェルに落ちつく。
それでサム・ピントの魅力はどうかだと、まずは写真撮影のシーンでビビッと興奮を呼ぶ。メタリックのゴールドのビキニにヒップラインが浮かび、前の開いた黒いワンピースの水着ではピンボケだが、お尻のクロース・アップを含む。部屋で黒いボディコンのミニを脱ぎ、ベンと泡風呂にはいる。入浴中を襲われ、バスローブのままベンと車で逃げる。その車内で愛撫をはじめて、バスローブをはだける。トムにつかまってベッドに縛られるとき、ジーンズの短パンに脚が伸びる。ただし化粧が厚いし、足の甲の刺青に失望をまねく。雑誌『ＦＨＭ』のセクシー・モデルのトップに選ばれたのがブレイクのきっかけで、本作の中だと「『ＲＨＭ』のナンバー・ワン」といっているのに失笑でニヤつくも、さほどときめきの少ないこんなモデルを、よくも一位に選出したものよといささかあきれる。
サム・ピント以外の女性では水着モデルがほかに五名いて、黒地に白い水玉のビキニ、ピンク地に花柄のビキニ、赤ビキニ、黒地に緑の柄のビキニ、黒字に水色の模様のビキニのうち、やはりピンボケながら、楽屋でジーンズの短パンをはく赤ビキニのモデルのお尻を右半分だけドアップにとらえる。マイクと仲間たちがアルヴィンにからんだ不良連中をボコボコに殴るビリヤード場にヘソだしのコンパニオンがニ名ほど歩き、騒ぎを察して現われた警官をごまかすビリヤード・ゲームでキューをもつマイクのガールフレンドらしき女性も黒い短パンにヘソだしのかっこう。クレジットにはモデルとガールフレンドの役でキシ・サラサル、クリステル・タラヴェラ、アローナ・ロベディーリオの三名が読める。ベンの親友のカロイ（ジェフリー・タム）にベンの病状を伝える女医のヴァンジー・モラレスは本物の医者。
またセザール・モンタノの弟のロンメル・モンタノがアルヴィンの部下役を演じ、マイクの友人のひとりにジェーゴ・モンタノとセザールの身内が顔をみせる。
