ＨＩＮＵＫＡＹ　ＫＯ　ＮＡ　ＡＮＧ　ＬＩＢＩＮＧＡＮ　ＭＯ
（お前の墓はもう俺が掘った）
　
91年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：マヌエル・“フイク”・シンコ
主演：ロビン・パディーリア
　　　 エディー・ガルシア
　　　 ナネット・メドヴェド
　　　 チェリー・パイ・ピカチェ
　　　 マルコ・ポロ・ガルシア
　　　 マイリーン・サパンタ
　　　 ロンメル・パディーリア
　ナネット・メドヴェドは美人じゃないが、けっこう色っぽいタイプなだけに、かわいいチェリー・パイ・ピカチェとの共演に引かれてみた。
　ナネット演じるのはバーの歌手で、ロビン・パディーリア演じる恋人と結婚したばかりの新婦。エディー・ガルシア演じる有力者の横暴でレイプのうえ、ロビンを殺されての復讐劇を繰り広げる。あれっ、主役のロビンが早々にいなくなっちゃうわけ、と驚かす間もなく双子の弟が登場し、そういうことかとあきれる。ディンド・アロヨなどが演じるエディーの部下が弟の顔をみて「幽霊だ」と恐がるおもしろさを含むながら、もっとその路線を生かせばいいのに、実は兄が本当に生きていたとの展開だから笑ってしまう。しかも弟のほうは兄へ劣等感を抱いていて、二人の対立がマイナスの面に現われている。弟はチェリー・パイ演じる恋人がいながらも、成りゆきからナネットとセックス。それをみたチェリー・パイが妊娠を隠し、こっそり姿を消す。弟が探しだすや、ディンドたちの襲撃を受けてチェリー・パイが殺される。デンショ・パディーリア演じる一番の仲間も犠牲になり、弟は兄と大ゲンカ。クライマックスでエディーの一味がそこまで追ってきたというのに、まだ殴り合いを続けているから、正直いってお前たちは猿なみ脳ミソか、とイヤになる。
　コミック誌に連載のＤ・Ｇ・サロンガのストーリーをもとに書いた、リッキー・リーの脚本が甘いのだろう。
　マルコ・ポロ・ガルシア演じるエディーの息子が結婚式の当日、兄とナネットが会場を襲ってマイリーン・サパンタ演じる新婦とエディーともども誘拐し、マルコにエディーの生き埋め用の墓をつくらせるアイディアを含み、急流の川をすべりながら撃ち合うアクションはよく撮っているも、途中のドンパチが中だるみ。全体的に長いなあとの印象をぬぐいきれず、マヌエル・“フイク”・シンコの演出にも不満が残る。
　まあ、弟の育ちの悪さを示すのに、椰子の汁をズルズルっと飲むしぐさが笑いを誘うし、実はナネットが射撃の名人だったとの設定で、弟とそれぞれが危機のとき、すれすれに撃って相手を助け、二人ともに「あと二センチで危なかったぞ」との台詞をいわせるシチュエーションがあるのは、そこそこ練ったかな。
　とにかく期待のナネットのセクシーさがどうかだが、兄との初夜でスリップになり、ややパンティーがスケているあたりにゾクゾク。エディー一味がスリップのまま連れ去り、夫である兄の前で犯すとき、スリップをまくられそうでドキドキ。でもディンドなどの輪姦でスリップをビリビリッと裂かれないのがサーヴィス不足。雨が降ってきて濡れたあと、森の中で自殺をとめられるシーンへと続き、スリップが貼りつき状態じゃないのが、さすがにダメだしになる。マスクをつけた歌手として同じ店に登場し、再びエディーをとりこにするステージでは、ダンスを真下のアングルから撮り、スカートの中のパンティーがバッチリだから、一応は視線を奪ってくれる。ただし肝心のベッドではボディーにシーツを巻いていて、チェリー・パイも弟とのセックスでシーツをとらず、納得までいかない。
　結局、女優の魅力も映画の評価をあげなかったようだ。
　なお、非情に殺されるナネットの母を演じるナティー・サンチャゴ、車椅子生活をおくるエディーの妻を演じるルシタ・ソリアノ、ナネットが歌うバーのマネージャーを演じるオデット・カーン、弟に兄の死を教える知人を演じるエヴァ・ラモスなど、おばさんたちが妙な存在感を放っている。