ＨＩＮＤＩ　ＰＡＨＵＨＵＬＩ　ＮＡＮＧ　ＢＵＨＡＹ
（捕らわれものになる人生はイヤだ）
　
(89)年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ジョーイ・デル・ロサリオ
主演：ドーン・スレータ
　　　 ロビン・パディーリア
　　　 ジョニー・デルガド
　　　 マーク・ヒル
　　　 ラウル・アラゴン
　　　 ロベルト・タラビス
　　　 フィリップ・ガンボア
　　　 ルエル・ヴェルナル
　　　 ディック・イズラエル
　　　 ユーラ・ヴァルデス
　犯罪者のロマンスを描くＢ級アクション。
　ロビン・パディーリアがおたずねものを演じ、ザンドロ・ザモラなどが演じる悪のライヴァルや、パキト・ディアスなどが演じる対立するグループをやっつける。一方でマーク・ヒルやドーン・スレータが演じるゲリラがいて、軍隊をテロ攻撃している。たまたまロビンがマークと出会い、一触即発のいがみ合いから和解で手を組む。その現場をクリス・ダルス演じるとなりの住人が目撃して通報。警察が逮捕にきてロビンとドーンがつかまるが、護送中にゲリラたちが襲って手錠につながれたまま一緒に逃げる。これにアメリカで子どもの病気の治療をうけさせたいも、カネがなくてベッキー・ミサ演じる妻から責められっぱなしの、ずっとロビンを追っているジョニー・デルガド演じる警官のエピソードがからむ。
　夜に小屋へたどりついて石で打ち切るまでロビンとドーンが手錠で一つだから、オシッコはどうしたんだろうとの疑問がわく。いったんゲリラの本拠へきてジョニーたちと戦闘になり、またもロビンとドーンだけ逃走は、さすがにご都合主義が気になる。食堂でドーンが色目をつかって下心野郎に勘定をまわすのはコメディー要素。ロビンとドーンの銀行強盗は、ちょっといい加減な展開に思える。
　漁村で暮らすラウル・アラゴン演じる父とルシタ・ソリアノ演じる母のもとへロビンが戻ってきて、クライマックスを迎える。ユーラ・ヴァルデス演じる幼なじみがロビンを大好きで、帰りを待ちわびていたのだが、ドーンをみてショックをうける。恋慕が嫉妬に変わる部分は、ジョニーへチクるなどのドラマへつなげてほしかったところ。当然、嫌い合っていたロビンとドーンに愛情が生まれて、マークを裏切ったドーンが脅迫観念にかられる。マークが現われてロビンの両親を殺し、ロビンがマークを殺しの憎しみ連鎖においてロビンが両親の死を、ドーンがマークの死を悼む時間もなく、ルエル・ヴェルナル、ディック・イズラエル、キング・グチェレスなどが演じるゲリラが船でやってくる。ロビンが単独で大勢を全滅させる無理な襲撃戦で腕が吹っ飛ぶ残酷シーンを加えるのは、ジョーイ・デル・ロサリオの趣味だろう。今度はジープでジョニーたち警察の部隊が取り囲み、数珠つなぎのように続くドンパチがそれほどテンションを昇華させないのが演出の弱さに感じる。降伏勧告を拒んで抵抗にでたロビンが蜂の巣になり、それをみてドーンも銃をかざし、一斉射撃を浴びる。おそらく『俺たちに明日はない』か『明日に向って撃て』あたりを意識した終わりかた。ジョーイや脚本のアウグスト・ブエナヴェントゥラは、青春映画にしたかったに違いないと推測する。
　まあ、どうってことないできなものの、目的はドーンの魅力がでているかどうかが本音といえる。尼僧のかっこうで聖書の中に隠していた小型銃をだして軍の車へ発砲の登場場面からすでに、その口径だと威力はないよと指摘したくなるが、キラキラ美しさが輝いている。ロビンとモーテルにしかたなく泊まり、ロビンに「ハダカなんか興味ない」なんていわせながらも、シャワーからバス・タオル一枚を巻いてベッドへ入るや、シーツの下でバス・タオルをはずすのに興奮を抑えきれない。ロビンの実家でセックスになって、肝心のパーツがみえなくても下半身を刺激してくれる。欲をいえば海岸の村へ住むのだから、泳ぐところをみたかったが、とにかくドーンに悩殺をうける。
　ユーラもけっこうかわいく、女優の存在に鑑賞価値があったようだ。