ＨＩＢＬＡ
（針にとおす糸の長さ）
　
02年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ヤム・ララナス
主演：リカ・ペラレホ
　　　 マウイ・テーラー
　　　 リッキー・ダヴァオ
　　　 アントニオ・アキタニア
　リカ・ペラレホとマウイ・テーラーは既に『Ｔａｔａｒｉｎ』で共演しているが、豪華キャストに混じった脇の扱いだった。それがマウイがセクシー女優に転じ、本格的なヌード対決が実現したのだから、話題沸騰を招いたのは当然。公開前からかなりの宣伝が繰り広げられていた。
　いざ、できあがった作品だが、みごとなまでのオッパイ合戦、といった印象である。レズっぽい雰囲気もドキドキさせてくれる。
　だが作品の評価は、となると…
　撮影監督も兼任したヤム・ララナスの画面づくりはさすが。リサール州タナイ市の奥に広がるロケ地であるシティオ・マヤガイの山間の風景にまず圧倒される。わりとマニラに近い位置なのに、こんな雄大な自然が残っているとは。
　そこでのジョーイ・パディーリアとメル・キムラ演じる両親とともに手づくりの機織りをするリカの生活ぶりが興味深い。
　これらみごとな背景に反して、人間ドラマはまたも定石的な展開で薄っぺらな内容。
　マリア・アルテサ・ボルハとウェンディー・ハンター演じる仲よし少女がいて、ウェンディーのほうは都会で金持ちになりたいとの野心を抱くティナ・モナステリオ演じる義母の希望によってマニラへ移住することになり、二人は別れ別れに。
　ひとり寂しくマリアが水浴びしている姿がリカに変わってときの流れを示し、ウワー、さっそくオッパイが丸だしだあ。座った全裸の横からみたラインがそそるし、乳首のアップまであり、カメラがリカのボディーをなめるように撮るから、たまりませぬ。リカにはアントニオ・アキタニア演じる恋人がいて、セックスを迫られるも拒むことで消極的な性格を暗示するのだが、シャツをまくられて、またもオッパイがポロリ。
　成長したウェンディーであるマウイがリッキー・ダヴァオ演じる父と一緒に戻ってきて、ドラマが始まる。マウイは積極的な性格の女性で、都会でよからぬ連中とつきあったからリッキーが連れ帰ったとの設定で、映画はマウイの開放的な面がリカに影響を与えていく心理の過程を描こうとしているようだ。川につかって泳ぎ、しりごみするリカを水の中へと誘うシーンで、青いタンク・トップが濡れてマウイの乳首が浮かびあがる。リカのほうは白いブラウスなので、余計に乳首がくっきり。
　二人とも実においしそう。
　さらにアントニオが着がえをのぞくシチュエーションで、リカはパンティー一枚になって、これでもかとオッパイ。
　物語はティナが忘れられずに欲求不満気味のリッキーが、ノー・ブラのリカの前かがみなった胸元をみて興奮するシーンで、ほとんど先が読めてしまう。マウイがアントニオを誘惑して、完全にわかったも同然。
　その前に川でリカとマウイが接吻する描写があって、ここは心臓がバクバクと高まるほどの刺激。唇がふれ合い、舌が入り、舌先がもつれる。女同士のディープ・キスだけでカチンカチンのバイアグラ使用状態にしてくれるなんて経験は、そうあるものではない。
　マウイがアントニオに抱かれるのをリカが目撃するシーンで、白い紐なしブラをはずしてマウイのオッパイが迫ってくると、なんでこうもキュートなの。
　リカとリッキー、マウイとアントニオがセックスに発展するのは予想どおりだが、処女喪失のリカと、変態だったアントニオに無理やりお尻の処女を奪われるマウイがカット・バックででてくるところは、全編のハイライト。リカのモロだしになった横チチと、マウイのガバッと堂々の露出のオッパイによだれダラダラ。セックスがおわって寝転んでいる全裸のリカにはイキそう。
　アントニオがリッキーを刺殺しにきて、やっぱり血生臭い話にするのね、とフィリピン映画の相変わらずのワン・パターンさにあきれ感がもたげる。リカが必死でとめていったんはおさまりかけるも、逆襲したリッキーがアントニオを撲殺し、後悔の念から火のついた家の中へリッキーが入っていくクライマックスは、驚くほど説得力がない。それにしても心理のひだの映像化を狙ったようでいて、まったくうわずみしか表現できないのだから、ヤム監督は一体どう考えているのだろうか。
　いやはや、低レヴェルな愛憎劇だ。
　しかしながらリカとマウイのオッパイは文句なしだったから、とりあえずは満足といえよう。並んでみるとやっぱりリカのほうが美人だなと思うし、全裸のショットもあるから、競演の結果はリカの勝ち、とのイメージ。
　リカとマウイにチュッチュ！