ＨＥＴＯ　ＡＫＯ，　ＬＡＬＡＫＩ
（野郎、私はここよ）
　
99年：エル・ニーニョ・フィルムズ／シャンテン・フィルムズ・プロダクション
監督：セザール・ＳＢ・アベーリア
主演：アリオーナ・アモール
　　　 サブリナ・Ｍ
　　　 フェルナンド・モンテネグロ
　　　 メロニー・ゴメス
　　　 ジェーゴ・サルヴァドル
　　　 シャンハイ
　アリオーナ・アモールをヒロインにすえたレイプの復讐劇だが、セザール・ＳＢ・アベーリアのダメ演出で、ほとんどみどころがない。
　パンガシナンを舞台にとり、警察署長の息子であるレックス（フェルナンド・モンテネグロ）がリーダーの不良グループは、バーで引っかけた女性（メロニー・ゴメス）をまわし、暴行で亡くなると死体遺棄で犯行を隠すワルぶり。女子大生のイネス（アリオーナ）を誘拐レイプにおよび、すきをみてイネスが逃げだして、一緒に住んでいる伯父のバスチャン（エルニー・フォルテ）と伯母のコンチャ（グロリア・ヴィダリオン）が警察に訴えるも、仲間には国会議員の息子がいるうえ、警察署長が自分の息子の事件なので捜査を怠る。それで証拠不十分なために裁判で無罪に。イネスは伯父夫婦に送られてマニラへでるが、実はウソで、ひそかにパンガシナンへ戻ると、色っぽい娼婦に変装で犯人グループのメンバーを誘い、次々と殺していく。
　なにがダメかといって、まずレイプのシーンを省略なため、イネスの悲劇がうまく伝わってこない。誘惑の過程で衣装が厚化粧の金髪のカツラをかぶっての黒いレザーのベストとミニスカに網タイツ、中国ふうのヘアー・スタイルのチャイナっぽいもの、赤いセパレーツのミニスカ、肩紐なしの黒いバストを強調のシャツに黒いピタパンと刺激を意識したコーディネートにもかかわらず、プールのトイレで刺殺、山の中へ連れだしての山小屋で服を脱いでの刺殺、安いバーで挑発のうえでの刺殺にヌードのショットを欠き、アリオーナの出演の意味がセロ。ちょっとメイク・アップや髪型が違うだけで、誰もがイネスと気がつかない設定にも無理が生じる。しかもイネスに好意をよせて味方に転じるアラン（シャンハイ）をレックスが撃ち、そのピストルをイネスが奪う方法が安易すぎるなら、イネスがレックスを撃ったあとに警察が到着のおマヌケさ。
　国会議員の息子の葬式に市長があらわれるのが伏線で、国会議員がバスチャンを脅しにくるセコさのうえ、警察署長がバスチャンを痛めつけ、バスチャンとコンチャが市長に直訴する。市長が警察署長に非難をのべ、自らイネスに投降を説得に、この市長だけが正義漢なのは、パンガシナン州マンラキ市のアルフォンソ・Ｖ・ソリアノ市長本人がゲスト出演によるためだろう。
　終わってみればアリオーナは厚化粧で変装の際にバス・タオルをボディーに巻き、黒い下着をつけるのと、スリップで寝ているのと、軽い罪にしか問われず、軽傷ですんだアランとデートのビーチでビキニの水着になるくらいしか魅力がでず、ヌードの期待はどうなるのと不満を残す。ビキニのパンティーが濡れて貼りつくのは、それなりに視線を奪うも…。
　レックスの妻のジジ役でサブリナ・Ｍが顔をだし、ほとんど活躍の場がないキャストにおいて、レックスと遊ぶビーチで黒いワンピースの水着を披露と、レックスたちに殺されるバーの女を演じるメロニー・ゴメスが乳首のポッチの浮かぶ黄色いＴシャツを着たうえ、強姦を拒むときに黒いブラをみせ、かついで運ばれる死体状態で黒いパンティーがのぞく程度のセクシー描写。これだと、なぜＲなのかの疑問が起きる。
　ホント、ウルトラ駄作とはき捨てるのみ。
　ただ、レックスたちと飲むのにジジがＪ＆Ｂをもってくるのが小ガメもちの趣味のようで、レックスの仲間たちがビールを買ってくると銘柄がスタグだから、少し階級差のわかるのが興味深かったかもしれない。