ＨＥＡＶＥＮＬＹ　ＴＯＵＣＨ
　
09年：ＤＭＶエンターテインメント
監督：ジョエル・Ｃ・ラマンガン
主演：パオロ・セラーノ
　　 　グウェン・ガルシ
　　　 マルコ・モラレス
　　　 ジョアシュ・パレハド
　　 　ジェフリー・サントス
　　 　パオロ・リヴェロ
　　 　ジョン・アパシーブレ
　ジョエル・Ｃ・ラマンガンによるホモ風俗もの。『ＷＡＬＡＮＧ　ＫＡＷＡＬＡ』と同じく犯罪にからめるながら、ややゆるい内容に思える。
　看護学校の学生のロデル（パオロ・セラーノ）は“ヘヴンリー・スパ”とのマッサージ・パーラーにつとめ、学費を稼いでいる。たまたまハイスクールの同級生のジョナルド（ジョアシュ・パレハド）と出会い、同じ店への仕事を斡旋。すぐにジョナルドは男相手のマッサージに伴うホモ売春をうけいれ、顧客からのチップで家族の家計を助ける。店は元警官のサー・トン（ジェフリー・サントス）が仕切り、マッサージャーの男たちへ暴力をふるい、ピストルをチラつかせる凶暴な性格。オカマのママ・オレンジ（ジム・ペバンコ）がトンにへつらいつつ、危ない状況のおさめ役をはたす。トンはお気に入りのマッサージャーのピポイ（マルコ・モラレス）と麻薬取り引きにかかわっているらしく、ロデルがジョナルドに「ピポイに気をつけろ」と忠告。それでジョナルドがピポイの接近を拒む。一方で市長（ジョン・アパシーブレ）の愛人のシーラ（グウェン・ガルシ）がいて、市長のごう慢なセックスに不満で、たまたまシーラを世話するオカマのサンディー（パオロ・リヴェロ）が店でロデルの客だった関係で連絡を入れ、ロデルがシーラとセックス。快感に満足のシーラが定期的なお相手を頼んでロデルがサブ収入をえる。やがてロデルはジョナルドへ思いを伝え、ジョナルドも応じて同性愛をはぐくむながら、シーラとの情事が市長にバレてボコボコに殴られたロデルが入院。銀行から家の立ち退き命令がきたジョナルドがピポイに相談で、麻薬のすすめを断わることができずにラリってピポイと警察に逮捕され、これがトンとピポイの仕組んだ罠になり、留置場でアナル・セックスの無残なレイプをうける。
　置屋のごとくマジック・ミラーの窓ごしでひな壇にパンツ一丁で並ぶマッサージャーを選ぶのにはじまり、マッサージ・パーラーというホモ売春の場所が興味深く、シング・アンド・ダンスがアナル・セックスをさすなど、エクストラ・サーヴィスの説明が妙な納得を呼ぶ。ジョナルドに昔の恋人に似ていると告白のオカマの客がついたり、口のきけない客が店にきたり、自宅への出張も可能といったマッサージャーと客のようすがヘンにおかしい。ジョナルドがカネをもって帰るのに妹のドリーン（リレット・ペマノ）が喜び、新しい携帯電話にハシャぐあたりがフィリピン人なら、母（イルマ・アドラワン）が出どころを疑る家庭描写や、ロデルの部屋に同居人（アリクリス・ガルーラ）が戻ったり、複雑な両親の環境をもつロデルが実家のエリアを訪ねて隣人のおばさん（ラクエル・ヴィリアヴィセンシオ）に会うなどの盛りこみがドラマに深みを与える。ロデルとジョナルドがビーチへの旅行で歩くあぜ道で渡り鳥がエサをあさる浅い沼の風景が荒涼なムードをかもし、さすがジョエル・ラマンガンと確かな力量にうなずく。
　でも店を追いだされたマッサージャーのエンゾ（アアロン・カダワス）の死体があがる記事がタブロイド紙に載るのはよいも、あまりにトンの性格が異常で、悪の存在の単純さがスケールを縮める。現実味に反するフィクションっぽいなあとのイメージが先行し、ロデルがシーラの協力でジョナルドを留置場からだしたあとのシメが弱い。ロデルがジョナルドをハメたことでハロウィンの日に店内でトンに抗議のうえ、殴り合いでジョナルドがトンをナイフで刺すと、マッサージャーたちが次々と続いて全員で刺しまくる。どことなくマッサージ・パーラーの限られた空間に舞台を移した『ＢＵＬＡＫＬＡＫ　ＮＧ　ＭＡＹＮＩＬＡ』の小型版に思える。オレンジが全員を逃がすとトンのピストルで自殺の際に、ツバを口のまわりにたらすあたりの迫真さを買うが、トンから奪った装飾品を質に入れてジョナルドが家を失うピンチを救い、母と妹にホモを告白でロデルと新生活に旅だつハッピー・エンドが、こんな安易さでいいのとモヤモヤを抱かせる。マニー・Ａ・ヴァレラとジョエル・Ｃ・ラマンガンのストーリーにもとづくエンリケ・ラモスの脚本が練り不足。
　題材がマッサージ・パーラーの内側だけに男のヌードの満載がゲロゲロのポイントで、まず最初に店内を紹介のシーンからチンポを丸だしの男が歩き、ロデルがサンディーを顔で背中をこすってのマッサージで二人ともが全裸をみせる。店へリクルートの前に自宅でマッサージの基本を伝授でロデルがジョナルドのパンツを脱がせ、ジョアシュ・パレハドのアヌスが露出寸前なうえ、交代でロデルもパンツを脱ぐ。オレンジがジョナルドを面接はパンツの上からチンポをさわり、自宅の部屋でジョナルドがパンツをはくとき、ジョアシュのチンポがモロ。まだ同性愛を打ち明ける前にホテルへ一緒に泊まってジョナルドの真っ裸にときめくロデルが「パンツは？」と聞き、眠るロデルの体をジョナルドがなでて、朝にロデルがバスタオルを巻く全裸でお尻をだす。ビーチでロデルとジョナルドがパンツ一丁でブリーフを濡らしてたわむれ、ホテルでアナル・セックスの座位と四つんばいのバックがリアル。ふたたび店内で水浴びのマッサージャーのチンポがのぞき、麻薬で意識もうろうのジョナルドがピポイをマッサージの幻想的なシーンで気持ち悪さがきわまる。全裸のピポイがチンポをブラつかせ、正常位で重なって全裸のジョナルドとチンポをこすり合わせる。フラッシュでごまかす映像処理にフェラがぼやけるも、マルコ・モラレスとジョアシュのチンポにギョギョギョ。留置場でのホモ・レイプはジョナルドを犯す男のお尻がアップで動く。
　もちろんグウェン・ガルシの出演で女性のヌードを含むのが最大のプラス要素で、しかも予想以上にエロい。市長とセックスで乳首が引きつけるオッパイが大胆に迫り、ロデルのマッサージに全裸でうつ伏せに寝るとお尻をもまれ、仰向けに転じてオッパイを堂々の全開に加え、騎乗位のセックスで腰を激しくピストン運動する。本当に挿入かと驚くほどのなまめかしい密着感が刺激的のみならず、大きめなのに揺れない乳房の質感がみごと。終わってのガウンをはおったノー・ブラの胸元もそそる。浴室の洗面台に座ってロデルとセックスは絶品のオッパイが明らかに下半身のビンビンを招き、鏡にはお尻が映り、たちあがってバスタオルを巻く瞬間に陰毛がチョロり。ホテルでジョナルドを入れての３Ｐで立ち愛撫はフラッシュふうの映像処理がジャマながら、オッパイがおいしそうだし、市長がロデルといる家へ踏みこむときにシャツとパンティーの下着姿で、パンティーがくいこむハミケツの着衣が興奮を誘う。腰と足首の刺青が好みに遠く、さほどファンでもないグウェンだが、ここまで素っ裸をおがませてくれればまずまず拍手。
　欲をいえばリレット・ペマノがそこそこかわいいし、ジーンズやミニスカにムズムズなので、ハダカがみたかったかな。