ＨＡＹＯＰ　ＳＡ　ＰＯＲＭＡ…　ＨＡＮＥＰ　ＳＡ　ＧＡＮＤＡ！！！
（みためが野獣…　美女には害虫！！！）
　
04年：ラヴ・フィルムズ
監督：アルトゥーロ・サン・アグスティン
主演：ボンネル・バリンギット
　　　 ラジャ・モンテロ
　　　 ニカ・マドリッド
　　　 ノノン・デ・アンドレス
　おそらく２メートルは超える巨漢のボンネル・バリンギットを主役にするコメディー。日本ふうにいえばウドのたい木にあたるだろうか、ずう体ばかりがでかくて、どうしようもない男を演じる。仲間を連れて威張りかっ歩し、まったく品がない。ノノン・デ・アンドレスなどが演じる他のグループともめごとを繰り返す。ラジャ・モンテロ演じる近所の商店主の娘にはデレデレで、気を引こうとおめかしのうえ、ラジャのいうことだけは素直に聞く。それでケンカの仲介ばかりのラジャのハートを、はたしてつかめるかとのストーリー。
　とにかくギャグらしいギャグを含まず、さして笑いを呼ばないのが致命的短所に思える。骸骨のようにやせたノノンがバーベルで鍛えていたり、犬男がじゃれたりのおかしさがさっぱり盛りあがらない。
　ニカ・マドリッドとフリア・テーラー演じる若い女性三名でラジャが暮らし、ボンネルとノノンがラジャをとり合い、ゴムス演じるボンネルの配下と、ノグ・ノグ演じるノノンの子分がニカをあらそう。黒人のフリアがボンネルにほれているのに、ボンネルが冷たいあたり、人種偏見というか、白い肌へのあこがれが強いフィリピン人の影響が読みとれるかもしれない。また線路にトロッコを乗せて走らせる田舎の光景や、闘鶏のようすが庶民感覚をやや伝えたかな。窓辺で歌うプロポーズもお馴染みで、ボンネルたちとノノンたちの歌合戦になるバカバカしさにおいて、フィリピン気質がにじみでたようにも感じる。
　でもムーク・ペレスとダン・デ・ジョス演じる若者がラジャとニカの恋人みたいな暗示を与えながら、最後にラジャとニカのＷ結婚式で二人とも意外な人物と結ばれるのが、まさかといえば、まさかなものの、あまりにも説得力を欠く。監督のアルトゥーロ・サン・アグスティンにすれば、してやったりじゃないかと推測するも…
　せっかくラジャとニカが出演しているにもかかわらず、ヌードがないのが最大の不満点をつくる。全員でビーチへいくシーンでは、ラジャ、ニカ、フリアのいずれもがただ座っているのみで、バストの谷間しかうかがえない。ボンネルが夢の中でラジャを肩にかついでビーチを歩くときもラジャはじっととまったままの、なんたる半端さよ。あとはラジャとニカにジーンズの短パン姿がおがめるくらい。
　こりゃ、ヒデー！
　なお『グリズリー』『大地震』『ジョーズ』『八十日間世界一周』『ロミオとジュリエット』『ウエストサイド物語』（ジェット・ソング）『南太平洋』（バリ・ハイ）といった映画音楽のスコアや『キリング・ミー・ソフトリー』などの既成曲が使われている。