（動物の美しさ）
97年：カラ・フィルムズ・インターナショナル
監督：マウロ・ジア・サモンテ
主演：ロシータ・ロサル
ヴィク・ヴァルガス
レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ
ロイ・ロドリゴ
ミゲル・モレノ
イザベル・レイエス
サブリナ・Ｍ
無垢な野生の動物たちに比較すれば、人間はなんと醜いのか。というテーマのもとに、マン・ハンティングのようなゲームを繰り広げる映画は、かつて『ダーティ・ハンター』なんて作品があったが、いずれもショッキングな内容を強調のようでいて、さっぱり衝撃性が足りない内容だった。カラウイト島を舞台にとるこの作品も、いきなり身もふたもないいいかたをすれば、駄作に終わる。
でもセクシーなシーンをいくつも散りばめるから、見どころは存在する。
カラウイト島はパラワン島の北東部にかたまるカラミアン諸島に属し、その一番大きな島にあたるブスアンガ島の北西にある小島。アフリカから連れてこられた動物たちがサファリ・パークのように放し飼いにされ、映画は多少ここの観光宣伝的な要素が感じられないわけではない
物語はヴィク・ヴァルガス扮する軍隊くずれの男が妊婦を助け、島へ渡ってくるところに始まる。妊婦は女の子を産むと死んでしまい、男手一つで育てることになる。大自然の中、動物たちと暮らす様子が描かれる。
少女が成長でロシータ・ロサルが演じるように代わると、大胆に露出したままの乳房が誘惑的な魅力を放つことになる。ヴィクが毛皮の服を着せて乳房を隠してやるのがうなずけるし、胸元からオッパイをポロッとだしそうに眠る姿をみて、思わずグイッと生唾を飲んで我慢も納得。
それにしてもターザンにでてくるジェーンのような格好で野生の少女を演じるロシータは、幼い顔だちと、それに反比例するみごとなお椀型の乳房で、まさにはまり役。おそらくロシータにセパレーツの野生の毛皮を着せて、大自然の中を走りまわらせたくて、マウロ・ジア・サモンテ監督などの製作者たちは、この映画を思いついたのではないかと想像させるほど。わき水の泉でのラヴ・シーンでは、全裸でキュートなお尻もみせ、個人的には好みではないが、ロリコンっぽいのが趣味の人など、けっこう興奮するのではないかと思う。
島に都会から無軌道な連中がやってきて、物語は荒っぽい展開に転じる。男三名に女二名という不自然な構成のグループは、最初からケンカばかりをくり広げ、シチュエーションの設定に説得力が乏しい。それでも女二人を演じるイザベラ・レイエスとサブリナ・Ｍが全裸で泳ぐシーンがきて、まあまあウハウハをくれる。イザベラはオッパイと陰毛をそれぞれ手で隠しながら水からあがってくる姿が妖艶であり、水うち際でお尻をだしながら誘惑のサブリナもドキドキもの。このあとのシーンで、全裸でガウンをはおったはずなのに、イザベラがガウンを脱ぐと黒いパンティーをはいていたり、全裸で沖まで泳いでいったはずなのに、沖で男とたわむれるところでサブリナがパンティーをはいているのはヘン。さすがフィリピン映画だけあって、大ざっぱである。
スリムな体型ながらも形のよいオッパイが魅力的なイザベラは、さらにトップレスのシーンの披露をけっこうくれるものの、イマイチ迫力に欠ける。太めのサブリナのほうが、水着姿では豊満なボディーを薄い布で包み、魅了開花のようだ。
映画は当然、男たちのロシータの奪い合いへと進み、相手のいない設定のミゲル・モレノが、一応やさしいところを示す。イザベラの恋人役のレイ・“ＰＪ”・アベリアーナがロシータの処女を奪いそうになるのを、イザベラが救ったりもする。さらに野生の動物たちのハンティングを開始や、ダイナマイトを持ちだしたりで、彼らをどうしょうもない非人間的な連中に描いてゆく。欲望がもつれ、サブリナの恋人役のロイ・ロドリゴがミゲルを撃ったりも。
こうしたいざこざでロシータや動物たちに危機が迫っているとき、まったくヴィクが現場に現われないのは、いくらなんでも構成的にヘタすぎないか。ご都合主義もはなはだしい。
結局、ロシータに導かれて自然の中の生活に目覚めたサブリナが島に残ることを決め、ロシータもミゲルとカップル成立かと思わせながらも、島を出航の船から飛び降りて戻ってくる。最後はサブリナとロシータのセパレーツのセクシーな毛皮姿に視線を集めておしまい。
まあ、どうでもいい物語だと切り捨てて、なんの問題もないだろう。
