（抱いて）
97年：セイコ・フィルムズ
監督：リコ・マンボ （アボ・Ｑ・デラ・クルース）
主演：クラウジャ・コロネル
レアンドロ・バルデモール
マハリア・メンデス
ロイ・ロドリゴ
シタ・アスタルス
ジョジョ・アベリアーナ
ロマノ・ヴァスケス
フランシス・エンリケス
アーチー・アダモス
クラウジャ・コロネルの本格的なデビュー作である。とにかく彼女の存在ばかりが際立って、他の要素はどうでもいい。
開巻、まずどこかの山村が登場し、娘たちが切り落とした椰子の実を川で洗うシーンが展開する。さっそく濡れたシャツが乳房に貼りつき、ノー・ブラのクラウジャの乳首が浮きあがってみえる。ダイナマイト・ボディーと呼んで間違いない肉感的な裸体の予感が早くも走り、生つばゴックン。
母危篤の知らせにスケスケ状態のオッパイを揺らせながら駆けつけたあと、臨終に立ち会った彼女は、これをきっかけに都会へでる。はあん、よくある無学の娘が都会で売春に走ってしまうも、愛する男が現れて立ち直る物語だなあ、と予測がつく。実際にストーリーの進行にしたがって予想通りだったことがわかるが、本当にフィリピン映画はどれも同じような内容が好きだなあ、と少々あきれる。まあ、現実にこうして売春に走る者が多い社会背景の反映だろうが、この作品などライト感覚のコメディーなのに、厳しい環境においても笑ってすごそうとの国民性のいったんのようなものがうかがえて興味深い。
そんなことはさておき、クラウジャさえ画面から誘惑をくれれば、こちとらは何の文句もない。
その前にもう一人のセクシー・スターのマハリア・メンデスが登場し、パンティー一枚になったり、シャワー・シーンを披露ながら、クラウジャの前ではかすんでしまうので、ちょっとかわいそう。マハリアの客につく近視の男が、メガネをなくしてマネキンを勘違いで抱くあたりのギャグは、相変わらずの程度の低さに苦笑い。
クラウジャはマハリアを頼ってでてきたのだが、最初は型通りに美容院へ勤めたりに、失敗の連続をくり広げる。家政婦に住みこんだ先では庭の水撒きの水をかけられ、またも乳首がスケてみえる。これはもう、雇った一家のオヤジならずとも、夜這いをかけたくなるというもの。
デパートで万引きの冤罪にあいそうなところで助けをうけたのが縁で、レアンドロ・バルデモール扮するマハリアの友人と親しくなり、彼に処女を捧げる。ここは白い下着姿からレアンドロにブラをはずされ、ついに豊満な乳房が全開に。
うむ、巨乳なばかりでなく、美乳。さささ、さすがだ。
なんとレアンドロは売春斡旋業で、彼によってイイ女に磨かれ、高級娼婦として客をとる流れ。ホテルへ入るとシャワー・シーンがあり、ボリューム満点と評すべき全裸に目が釘づけ。やっぱりダメだと逃げ帰るも、素っ裸のまま服をつかむところでは陰毛までみえそう。
レアンドロの部屋へ戻ってみると、なぜか彼は風呂に入っていて、クラウジャは自分も脱いでＴバック一枚で浴槽へ。カットが変わればなんと全裸で、濡れたお尻に石鹸の泡がしたたる。ほとんど意味なしヌードのサーヴィス精神が嬉しい。
続くクラウジャがプロになる決心をするシーンでは、これまたなぜか一人で部屋に全裸で横たわり、覚悟を決めたように起きあがり、おいしそうなお尻を丸みえに窓のほうへ歩いていく。
いやはや、このあたりでノック・アウトもの。
プロに変身のクラウジャがパンティー一枚で客を誘惑のシーンなど、そんなに人間って単純に変われるものかと感じるが、たわいもないストーリーだから許そう。レアンドロの客である中年女のシタ・アスタルスとクラウジャの客であるアーチー・アダモスが気まずい状況で遭遇のエピソードなど、コメディー路線狙いでとってつけた感があるのは、まあ仕方がないか。
物語はロイ・ロドリゴ扮する前の女が忘れられない男をクラジャが立ち直らせようと努力の展開が加わり、方向性を変える。ロイのその気を鼓舞のためにクラウジャがボディコン・ミニで踊り、さらに脱いで青いビキニになるあたりは、なまめかしさにうっとり。ロイの身体をふいてあげるときの下半身にフィットしたタイツ姿が魅力的だし、この前後に二度あるノー・ブラの乳首とパンティーが浮きでてみえるスケスケ衣装が爆発寸前まで追いこんでくれる。全裸をみせられたあとでも、肝心の部分がみえないことで興奮のるつぼだから、クラウジャ恐るべし。
それでもロイが心を開かないのは納得できない内容だなあと思っていると、交通事故がきっかけとなって一気に二人が結ばれる展開は、再び安易な設定にあきれるばかり。
もっとも、この作品は意外にもこれでハッピー・エンドにならない。海岸でビキニのクラウジャがロイとたわむれていると、そこへ偶然にもマハリアとレアンドロが遭遇。マハリアもビキニになって合流するのだが、レアンドロが嫉妬を起こす。結局クラウジャは売春から足を洗うことを決心したレアンドロと結ばれ、貯めたお金を友人たちに分けてあげて、新規一転、再出発を決める。なんか、さらに安易となった気がしないでもないが、よしとしようではないか。
映画はロイと別れたのを打ち明けにクラウジャがレアンドロの部屋へやってくるシーンがあり、またまたなぜか入浴中。男のヌードも二人してみせてられてヘキヘキだったが、クラウジャがＴバックになって浴槽に入るのだから、これはダメ押しのサーヴィスがあるぞ、との期待が盛りあがる。カットが変わるれば、やはり全裸になっていて、しかも浴槽からあがるときのタオルが肝心の部分を隠しているものの、陰部のドアップまででてくる。
まいった。やってくれた。降参！
『ＩＮＩＴ ＳＡ ＴＡＧ−ＵＬＡＮ』でアラ・ミナが登場したときに優るとも劣らない衝撃を受けた事実を告白せざるをえない。
以後、クラウジャに引っ張りまわされる運命にあるなあ、と覚悟が必要になる。
なお、ＳＥＩＫＯ ＦＩＬＭＳという、このホームページにある別コーナーに紹介したくなるような名前のプロダクションは、いったいどういう会社なんだ？！
