（ペテンの王様 正解は一つ、十個は間違い）
05年：リーガル・エンターテインメント
監督：マック・Ｃ・アレハンドレ
主演：ベアウィン・ベイリー
リカ・ペラレホ
パオロ・コンティス
ジェー・Ｒ
ナディーン・サモンテ
ノヴァ・ヴィリア
チューズデー・ヴァルガス
ビアンカ・キング
ジョエル・トーレ
マイク・“ペクト”・ナクア
アル・タンタイ
ピンキー・マルケス
パオロ・パライソ
メル・キムラ
ジョレル・タン
レニー・サマー
フィリピン映画得意のドタバタ・コメディーで、ベアウィン・メイリーのほか、中堅スターが顔をそろえる。
惑星のＣＧがタイトル・バックに入り、まだ冥王星が入るのがご愛嬌。同じ日に同じ病院で生まれた男の赤ちゃんがマルス（火星）、女の赤ちゃんがヴェヌス（金星）と名づけられる。男の赤ちゃんのほうは出産時に母親が亡くなり、父親のロテル（ジョエル・トーレ）がショックをうける。そのせいかロテルはマルス（ミゲル・タンフェリックス）にやさしさを欠くも、祖母のグラシャ（ノヴァ・ヴィリア）が愛情をそそぐ。ヴェヌス（エリア・ゲヴァラ）の家はカネもちでバースディー・パーティーが盛大なら、マルスの一家はロテルが出稼ぎにいく貧乏さで、生活に差があるものの、ヴェヌスとマルスは大の仲よし。いたずら好きで、よくウソをついてグラシャや姉のマリテス（レンズ・ジョイス・フアン）などを困らせるマルスは、いつしか同級生のポポイ（セバスチャン・“バスティー”・アルカンセス）たちから“ペテンの王様”とからかわれるようになる。両親（アル・タンタイ、ピンキー・マルケス）の都合でヴェヌスが引っ越していく、との導入部が快調に展開し、本筋での期待を盛りあげる。
大人に成長で配達員に就職のマルス（ベアウィン）は偶然にみかけたミンディー（ナディーン・サモンテ）に一目ぼれで、アタックを夢みるも、うまくいかない。あるとき自分のダメさによっていかにマリテス（チューズデー・ヴァルガス）がめい迷惑しているかを知り、マルスが家をでる。いくつかの職業につくが、失敗ばかりのエピソードをはさみ、警備員になればＴＶのモニターから霊が出現に遭遇は『リング』のパロディー。しゃべる隕石が落ちてきて『ダルナ』に変身が続けば、教会で瘤女と会うのはアン・カーティスが主演のＴＶドラマのもじり。ちなみにセクシーなほぼ全裸のグラビアで何度かお世話にあずかったレニー・サマーが瘤女役で出演も、素顔に戻るところでさほど美人じゃないのに驚く。ボーリング場に勤めた際、客できたヴェヌス（リカ・ペラレホ）と再会でメインの話へと進む。やっとお目当てのリカの登場にときめき、しかもいきなりヘソだしミニスカにドキドキ。ヴェヌスが大きな会社の役員なうえ、部下にミンディーがいるとわかってマルスが興奮をおぼえる。無意識のうち、にわか恋のキューピットになっていて、近所のジョジョ（クリス・マルティン）の片思いの女性マリー（クリシー・ハレニョ）への告白を成功させるなど、次々と感謝の声をもらう。家に帰ればマリテスがあこがれの男性グレグ（パオロ・パライソ）に接近のきっかけをつくる。マルスが仲間のアドニス（ジェー・Ｒ）やボク（ペクト）をヴェヌスに紹介すれば、かつての幼なじみポポイ（パオロ・コンティス）が許婚のモニカ（ビアンカ・キング）の存在にもかかわらず、ヴェヌスに関心を示す。アドニスとヴェヌスをくっつけようとマルスが考え、ヴェヌスもその気なのに、アドニスがはっきりしない。ならばミンディーにアドニスを押しつける奇策をマルスとヴェヌスが仕組むと、意外にも二人が意気投合のため、マルス、ヴェヌスともにふられる。それまで恋の対象にみてこなかったマルスがヴェヌスへの気持ちにめざめてみれば、ヴェヌスはすでにポポイの求婚に承諾のあと。結婚式場へかけつけるのに間に合うかのパターンのクライマックスを築く、全体はとくに新しい構成じゃない。最初からマルスとヴェヌスのハッピー・エンドはミエミエながら、まわりくどいシチュエーションでみせるもの。アクの強いベアウィンのキャラクターに、チューズデーがズッコケのバック・アップを加え、芸達者のノヴァやジョエルが要所をしめる、ときに笑えるギャグがあれば、ときにはずすギャグを含む平均的な喜劇。退屈を呼ばないマック・Ｃ・アレハンドレの演出はまずまずかもしれない。マッチョのジェーが控えめなあつかいで、個性を殺したイメージなのは、それほどマイナスでもないだろう。
かわいいリカがベアウィンに負けずとひょうきんな芝居を繰り広げるのがファンには嬉しい要素だが、やはりビーチのシーンでの水着が魅力を引きたてる。チューブ・トップのビキニがキュートなうえ、ボートで立ちあがる際にお尻のアップのショットが二回もでてくるのにごちそうさま。人魚のセレナになる幻想の中では、脚がはえたら腰にパレオを巻いているのが惜しいも、三角ブラの胸元が視線を奪う。久しぶりのリカの水着によだれがたれた次第。
ナディーンはビーチでショート・パンツをはいた競泳っぽいワンピース水着の披露をくれる。雑誌では大胆な水着を公開ずみのビアンカにもセクシーさがほしかったところ。あとクリシーやリカの妹役のジェード・ロペスもかわいいだけに、今後の活躍が楽しみになる。
