年：エル・ニーニョ・フィルムズ／ギフト・プロダクションズ
監督：セザール・ＳＢ・アベーリア
主演：ディディット・ロメロ
ロミー・ディアス
オデット・カーン
ディック・イズラエル
ボビー・ベニテス
アルウィン・ロヘリオ
ディディット・ロメロ主演のセクシーなドラマで、おそらく八十年代後半の制作。エイズを主題にとり、この時代からこの病気への意識があったのねと思わせる。
アンヘレスで白人相手の売春をするのが冒頭。マニラへ戻ったテス（ディディット）は斡旋業のグレッグ（ロミー・ディアス）の紹介をうけ、仲間のブレンダ（ブレンダ・アヤラ）とセリー（ミジェン・ナクピリ ？）とバー勤めをはじめる。同じアパートにはうるさいおばさんのセンチャ（オデット・カーン）が住み、しょっちゅう教会へいってばかりに夫（ヴィク・ヴァリオン）が不満をのべている。色っぽいかっこうでうろつくテスに夫がちょっかいをだしたため、嫉妬のセンチャがテスにケンカを売る。そんなセンチャは息子のラフィー（ボビー・ベニテス）の友人である若い男と浮気し、テスが現場を目撃。一方でテスの向かいの部屋には十代の少年のロデル（アルウィン・ロヘリオ）が暮らし、母（ルーシー・キント ？）から幼い弟（シャンハイ ？）と妹（メリー・グレース・ラクサマナ ？）の世話ばかり頼まれ、いつも落ちこんでいる。ひょんなきっかけでテスがロデルと話をかわすようになり、誕生日を誰も祝ってくれないと悲しむロデルに「プレゼント」と愛撫をあげる。マリファナを吸うなど不良のラフィーは先輩のバナト（ディック・イズラエル）や友人とテスのことを狙っていたが、まだ子どものロデルがテスの部屋からでてきたのを目撃で、俺たちもとレイプする。ラフィーはチンポに異常を感じ、バナトは口のまわりに血がにじむ。テスはブレンダとセリーへエイズの陽性だったと告げて田舎へ帰る。手紙を残してロデルが家出し、アルヴァイトでカネをためて、テスの実家を訪ねてみれば、エイズの発病で亡くなったあと。
とのストーリーはジェリー・Ｏ・ティラソナの脚本で、エイズの潜伏期間など、あえてだろうが、時間的にいい加減なあつかいにすませる。ドアのノックに「誰」と確認を怠らなかったテスが、ラフィーたちの侵入の際に確認なくあけるといった、セザール・ＳＢ・アベーリアの演出にもご都合主義がめだつ。
意外と残念な点がディディットのヌード描写の控え目さで、シャワーを浴びる前に下着から全裸に脱いでバス・タオルを巻くも、奥のほうにいる人物配置の構図が乳首をぼんやりとしかうつさない。ピタピタのシャツに短パン、青い紐なしシャツにハミケツぎみの短パン、黄色いキャミソールにハミケツぎみの短パンの着衣はそそるが、ロデルとプールでデートは赤いワンピース水着なのに、エキストラのワンピースの水着女性二名ともども、やはり遠くにいる人物配置が不満を招く。さらに赤いワンピースはビーチでのデートにおいて、テスとロデルのお互いの回想でもう二回でてくるも、せっかく濡れてボディーに貼りついてもカメラのアングルのヘタさが興奮度をさげる。ペペ・マルコスが編集だが、元の絵がダメだと、どうしょうもない印象。赤いパンティー一枚に脱いでバス・タオルを巻き、鏡ごしに水浴びのうしろ姿のハダカをとらえるショットは、お尻の割れ目がのぞかない位置でフレームを切るうえ、レイプでオッパイをポロリかと思いきや、乳首がみえたかどうかの微妙な露出がイライラをつのらせる。ただし乳首のスケたシースルーのスリップを着るシーンが二回あり、とくに二度目はベッドから起きあがって背伸びで乳首がくっきりに浮かぶのがよく、ゾクゾクっと下半身に刺激をくれる。
ブレンダ・アヤラはお尻のあたりだけに布をあてた全裸でベッドに寝るかっこうが視線を奪い、ミジェン・ナクピリはハミケツぎみの短パンが挑発的ながら、ともにスケチチはなしに終わる。オデット・カーンのセックスは肌が隠れるし、ただのオマケ。
それにしてもこの中途半端なハダカの盛りこみが、アキノ政権下の検閲を推測させる。
