（命ある限り）
92年：ボナンサ・フィルムズ
監督：ペペ・マルコス
主演：ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア
ドーン・スルエタ
カルミナ・ヴィリアロエル
ジョニー・デルガド
ロイ・アルヴァレス
ロイ・ヴィンソン
じゃっかんのロマンスを加味した正義と復讐のポリス・アクション。
ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニアが主役のパトカー警官を演じ、たまたまロイ・ヴィンソンがリーダーを演じるグループによる中国系住民をターゲットにおく誘拐事件の現場に遭遇で、リク・ヴァリオン演じる相棒を殺される。チャーリー・ダヴァオ演じる上司から新しいパートナーだと配属をうけたのが、ドーン・スルエタ演じる婦警。まさか女とはと下にみると、パトカーを暴走でボンを驚かせるドーンがかなりのじゃじゃ馬。スーパー・マーケットの強盗退治で危険な銃撃戦に合わせないため、ボンがドーンをパトカーのハンドルに手錠でつなげば、ドーンがパトカーごと店内へ突っこんでくる。なんて反目を重ねながらも、お互いに引かれるときめきを感じていく。ボンがルト・トゥアソン演じるガール・フレンドにフラれ、ドーンがケヴィン・デルガド演じるボーイ・フレンドの嫉妬に嫌気がさす。ジョシー・タグレとカテリーン・ゴー・キエン演じる親子を人質にとったザンドロ・ザモラ演じる凶悪犯をティーム・プレーでやっつけるなどあって、二人が尊敬と愛情で結ばれる、との基本は実にありがちな話。冒頭にリト・レガスピ演じる警官がジョニー・デルカド演じる上司の指示で、当時は同僚だったロイに焼き殺されるシーンが置かれる。ドーンがジョニーの名づけ子で、リトの娘。マリタ・ソベル演じる母の心配をよそに、父の死の真相を探るために警官を志望の事情が明らかになり、やっと始まりと結びつく。ボンとドーンが協力しあって当時の資料を調べるのを、ロイ・アルヴァレス演じるボンと犬猿の仲の悪徳警官が気づく。ボンたちがレネ・ホーキンス演じる当時の関係者を訪ねると、レネがかかわりになるのを拒むも、証拠品をくれる。あっさりレネが殺され、麻薬所持のでっちあげでボンが逮捕に。といった流れで、ボンの部屋にはオデット・カーン演じる大家の姪でカルミナ・ヴィリアロエル演じる年ごろの少女が住み、いつもボンにあこがれている。ボンの着がえをのぞいたり、キスをうける夢をみたりだったが、ボンへ罪をなすりつける証拠偽装の目撃によって事件にからんでくる。
フミルデ・“ミーク”・ロハスのストーリーをもとに、フミルデとジュン・ラワス、ホセ・バルトロメの三人がかりのシナリオが、人間関係をたくみに練ったようだ。
でもオデットがとめるのも聞かず、チャーリーへ会いに署へきたカルミナが不運にも悪徳警察のロイにみつかり、惨殺のあとが無茶苦茶に変ぼうする。護送中のボンの脱獄をドーンが助け、いくら脚を狙うとはいえ、仲間であるはずの警官を撃つのはどんなものか。ボンたちがカルミナの葬式へくると、そこに警察が張っていないわけないだろうとの疑問がわく。悪徳ロイ一味の襲撃でオデットなどの参列者が皆殺しは、いくらなんでもひどすぎる。
結局はボンとドーンがリトの仇のロイをやっつけ、悪徳のロイとジョニーも退治ながら、自らも傷つくだけの単純な内容。いっけん頭をつかったようでいて、肝心のところでつかっていないダメさ加減。一応、ペペ・マルコスのテンポのよい演出やアクロバティックな見せ場でまずまず楽しめるものの、次第点には達しなかったのではないか。
細かい部分でも、たとえば「家族がいるから」とおよび腰なレネに対し、チラリとでも家族を登場させれば悲劇が深まっただろうに、そうした配慮を欠き、どこか手抜きを感じる。
ただし制服や私服に身をかためたドーンは、もう全身をなめたいほどにキュート。ボンとのベッド・シーンで不自然にシーツをボディーに巻いたかっこうは不満ながら、フェロモンがムンムンと漂ってきてビンビンに悩殺をうける。
まさにドーンあっての映画。
カルミナもボンに押し倒されるイメージで服を脱ぎそうになるから、ちょっとだけドキドキ。
あと犯罪者一派を演じたレス・コルテス、キング・グチェレス、マンジョー・デル・ムンドなどの役者たちが強烈な個性で脇をかため、存在感を放つ。
