ＧＵＳＴＯ　ＫＯ　ＮＡＮＧ　ＬＵＭＩＧＡＹＡ
（もっと幸せになりたい）
　
00年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：マリオ・Ｊ・デロス・レイエス
主演：ポップス・フェルナンデス
　　　 アルベルト・マルティネス
　　　 ディーテル・オカンポ
　　　 パトリシア・ハヴィエール
　　　 アントン・ベルナルド
　　　 ボジョー・モリナ
　　　 ジョン・アルシーリア
　　　 アリソン・ヴィー
　出演者の中ではポップス・フェルナンデスの名前だけが巻頭のクレジットに入り、これは彼女のために企画された作品だとわかる。ちゃんと主題歌も歌っていて、彼女の魅力を最高に引きだそうとの意図はよく理解できる。
　映画はサスペンス・タッチで展開し、けっこう楽しめる内容。まずアルベルト・マルティネスとパトリシア・ハヴィエールが猛烈にセックスを繰り広げるシーンに始まり、カメラは騎乗位でもだえるパトリシアの乳房もお尻もアップにとらえ、アッと驚きをくれる。ポップスとパトリシアのどっちが好みかと問われれば、正直なところ二人ともイマイチだと思うが、どこか引かれる要素を持っていて、それはセックス・アピールに違いない。パトリシアのほうはプロポーションがバツグンで、しかも惜しげもなくヌードを披露のサーヴィス精神が大好き。
　セックスのあい間には事故を起こす車の様子が挿入され、血まみれのポップスが歩いてくる。ディーテル・オカンポ扮する男が運転の車に救われるも、病院へ行くことなく降りてしまい、車中に忘れたハンドバッグには拳銃が入っている…　と謎を呼ぶ出だしはかなりゾクゾクを呼ぶ。
　ポップスがシャワーで血を洗い落とすところに変わり、すりガラス越しに全身がみえ、おそらく肌色の水着をきているのだろうが、思わず目を凝らす。ポップスがヌードにならないのはわかっているも、『Ｓｈｉｎｄｉｃ　Ｌｉｖｅ』で着用の全身にピッタリとフィットの衣装を思いだすと、容貌に少しぐらい不満はあってもついビンビン状態に。ポップスはポップスなりに、ああ抱きたいなあ、との欲望をくすぐるセクシーさだ。
　映画は記憶のカットをフラッシュでインサートの方法を多用し、しかもポップスだけじゃなく脇にからむ人物にも適用で、なかなか本筋がみえてこない。こんなにわかりづらい構成をとるフィリピン映画は珍しいのでは、とも思えるが、マリオ・Ｊ・デロス・レイエス監督のウムをいわせぬ強引さに、まずまずの映像センスもプラスでグイグイと引きずられる。冒頭でポップスを助けたディーテルがやたらポップスのまわりをかぎまわり、一眼レフで隠し撮りをしていたり、といった意味深なシーンがどんどん積み重ねられていく。
　まあリチャード・マシスンの小説じゃないが、出だしがよいとオチが難しいもので、なーんだとの終りかたになるのは仕方がないか。ようはポップスはボジョー・モリナ演じる男友だちと浮気状態にあり、アルベルト演じる夫もパトリシアと浮気で双方が不倫なのだが、政治的な野望を持つアルベルトは離婚を避けたい、なんて愛欲劇の構図で、本当になーんだというようなもの。これにアリソン・ヴィー演じるマッチョ・ダンサーがからんで同性愛にも踏みこむが、とくに社会的な問題意識を含むわけじゃない。男同士のセックスにパトリシアも加え、３Ｐ、４Ｐとなる描写は妙にリアルで気持ち悪いが…　というか映画はアリソンが踊るシーンや、シャワーを浴びるところなど男のハダカも執拗に映しだし、勘弁してくれよー、って感じ。ポップスのファンには女性も多いから、サーヴィスのつもりだろうか…
　最後はポップスがボジョーを殺したのかどうかの容疑が明らかになり、本当に彼女のことを愛しているのは誰かが示され、その人物の手助けを得ると、変態のアルベルトに罠を張って解放される結末。
　だからなーんだ、との落胆はぬぐえない。
　それで十分にポップスの魅力がでたかといえば、ちょっと判断に苦しいところ。個人的にはスケベな興味しかないから、プール・サイドのシーンなど、そんなに露出が多くなくてもいいから、せめて水着になってほしかった。同じマリオ監督とのコンビ作でいえば『Ｌｉｎｌａｎｇ』のほうを高く買う。
　やっぱりパトリシアのヌードは大歓迎で、ポップスには悪いが、彼女のほうに拍手を贈りたいのは好みの問題。後半にもアルベルトと争いを繰り広げるシーンで惜しげもなく全裸をみせまくり、風呂からあがったときの石鹸の泡水がしたたる濡れた肌、盛りあがりかたの曲線がみごとで乳首をツンツンつねってみたくなる乳房、腰のあたりの広がりと割れぐあいがそそるお尻など、ものすごくおいしそう。怒りをあらわにするときの表情がいかにもブスだ、とわかるのがつらいが、オッパイ丸みえだから許しちゃう。