“ＧＯＲＩＯＮＧ　ＢＵＴＥＴＥ”
（ゴリオの丸い魚）
　
80年：サンパギータ・ピクチャーズ
監督：ルシアノ・Ｂ・カルロス
主演：チキート
　　　 アーミー・オーストリア
　　　 デニス・ロルダン
　　　 ヘルマン・モレノ
　　　 アイク・ロサダ
　鶴の恩返しならぬ魚の恩返しと、シンデレラを足したような話。なんていうと、なんじゃそりゃって感じだが、実際になんじゃそりゃ的なコメディーになる。
　田舎の漁村にグラビア撮影隊がやってきて、チキート演じる漁夫がアーミー・オーストリア演じるモデルに恋をする。溺れたアーミーを助けるなどで知り合う機会を得るも、ニエヴェス・マヌエル演じるアーミーの母に嫌われる。撮影隊が去ったあと、アーミー恋しでマニラへでると、ニエヴェスが会わせてくれない。再び故郷で自殺を試みたとき、かつて助けた稚魚が丸々と太った魚に成長し、いきなり人間の言葉で語りかけてくる。魚の不思議な魔法でデニス・ロルダン演じるハンサムなバスケット・ボールのスターに変身で、アーミーへ接近するや、ニエヴェスも大乗り気で結婚話へ。でも魔法は午前０時になると解けてしまう、とのストーリー。正直いってガラスの靴を残すわけじゃなく、ウィットさ不足で、しょーもない。
　アーミーにモテようと美容院へ行ってチキートが『ベニスに死す』のダーク・ボガードのごとく白ぬりにバケたり、窓の下でラヴ・ソングを歌って水をかけられたり、映画のスタントの仕事をもらって何度も崖を転げ落ちたり、ニエヴェスがデニスの股間に熱い料理をこぼしたり、チキートとアーミーがゲームに夢中の騒ぎ声を、外にいるものがセックスと勘違いしたり、どれもギャグがイマイチ。ボクシングでなんとか勝つエピソードはチャップリンの『街の灯』を意識おいたかなと思うも、動きのアイディアで比較にならない。
　漁夫の一人を演じるアイク・ロサダが、特異な個性でおかしさを放つくらい。
　でも興味の焦点はアーミーの色っぽさだから、こちらはけっこう満足のいく内容になる。撮影の際に三角ブラのビキニが挑発的で、チキートが鏡の中に幻想をみるシーンでも同じ水着で登場し、腰に巻いたパレオから太腿をのぞかせ、胸元やお腹のアップもあって視線を奪う。溺れるときは赤いワンピースで、チキートに岸へ引きあげられ、背中をさすられる姿勢でのヒップラインがキュート。ボディーにピチピチ貼りついた水着がたまらない。デニスの正体がチキートと知っても、まごころを受け入れて漁村まで迎えにくるラストでは、ストライプ柄の白いワンピース水着からボディー・ラインがくっきりなうえ、前かがみになったポーズでの胸の谷間にドキッ。ホット・パンツ、白パンなど、着衣も素敵だが、ファッション・ショーにおいて水着姿がないのはちょっと不満かな。
　撮影隊のモデルにはほかに三名にて、それぞれビキニや白、黒、赤のワンピース水着でスタイルのよさをうかがわせる。
　なお、クレジットに名前がないものの、チキートが吸血鬼の設定で吊りさげられるスタント・マンのシーンで相手役を演じる二人の下着姿の女性のうち、一人はルシタ・ソリアノ。最初に魚がマジック・パワーを示してチキートの顔を変えるとき、鏡に映るハンサム・ガイはルディー・フェルナンデス。ともにゲスト出演だろう。魚の声はジョー・（テイク・イット・アウェー）・ギノが担当し、こちらは人気コメディアンのようだ。