ＧＩＮＴＯ’Ｔ　ＰＩＬＡＫ
（金と銀）
　
98年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ロミー・Ｖ・スサラ
主演：ルディー・フェルナンデス
　　　 ロサンナ・ローセス
　　　 ジェー・マナロ
　　　 ボン・ヴィリアフエルテ
　　　 ルエル・ヴェルナル
　　　 ディック・イズラエル
　　　 ロルダン・アキノ
　　　 ベルティン・ラブラ
　　　 スーザン・ジェーン・リッター
　世の中をなめたような腹立たしい男女を主人公におくため、さっさと死ねばいいわけで、少しもサスペンスを伴わない犯罪劇といえる。ルディー・フェルナンデスとロサンナ・ローセス演じるカップルは、美人局が常套手段になり、ロルダン・アキノ演じるシンジケートのボスをうまくかもるところから始まる。ロナンナがバーのダンサーもつとめ、偶然その店へロルダンが客でやってきて用心棒のルディーとケンカに発展も、ディック・イズラエル演じる悪徳弁護士が仲間なので、巧みに警察を丸めこむ。ベリア・フロレス演じるがめつい大家から家を買うと、金を払ったあとに待ち伏せし、ちゃっかり奪い返すのだから、なんと共感を抱かせない奴ら。ホント、あっさり殺されちまえ。
　あとでルディーが公園で吸い殻を投げ捨てるショットもでてきて、こういう公共道徳のかけら持ち合わせない人物には、本当にむかっ腹がたつ。最低の主人公だ。
　場末から高級店へロサンナがとらばーゆし、そこでウィルソン・ゴー演じるタナカなる日本人の紹介を受けてドラマが動きだす。気前のいいタナカだったが、ジェー・マナロ演じるケンジなるヤクザのボスがフィリピンへやってきて、状況が一変。ちなみにジェーの日本語がムチャクチャなのは相変わらずなうえ、ヤクザのミーティングのシーンで、アキラ・ネモト演じるメンバーの一人を除いて全員が何をいってるかさっぱりわからず、まったく困ったもの。
　ジェーに使いこみがバレるのを恐れたタナカが大金をネコババでロサンナのところへくると「一緒にマレーシアへ行こう。結婚してくれ」と迫るも、持病の心臓発作で突然死。ロサンナがタナカのカネを持ち逃げし、ジェーたちが追ってくる展開なわけである。
　いきなり高級ホテルへ宿泊や、ブランド品を買いこんだり、とにかくキャッシュを手にすれば無駄遣いしか考えないバカっぽさは、いかにもフィリピン人で苦笑い。ショッピング中にカネを入れたケースを奪われてルディーが追跡のあたりは『ゲッタウェイ』を連想したが、主人公への感情移入が皆無なため、まったくハラハラ感が起きない。
　ホテルへジェー一味が襲撃にくるシーンは、雑魚の手下から奪ったルディーのガンの弾がですぎで、あきれるほどご都合主義。
　ロサンナの育ったルシタ・ソリアノが尼僧のチーフを演じる孤児院へ舞台を移し、子どもたちがいるというのにジェーたちと銃撃戦を繰り広げるクライマックスにいたっては、善良な人たちの近くへトラブルを持ちこむんじゃない、と大声をだして怒鳴りたくなる。
　もう、サイテー！
　結果的にジェー一味の内部情報をつかんでボン・ヴィリアフエルテ演じる刑事と取り引きし、捜査協力なものの、ルディーとロサンナが逮捕を逃れるのはあまりにも甘い。うまく抜きとった金額を孤児院へ寄付といった行為で悪事を帳消しにしようとの意図がミエミエなのも嫌らしく、とにかくムラムラとイライラのみを誘発のバカ作品と吐き捨てる。
　しょーもなー！！
　まあ、それでもロサンナのセクシーさがけっこうムンムンと漂う点が嬉しい要素。とにかく二度のステージ・シーンがビンビンにそそる。最初はスケスケのスリップの下に黒いＴバックのパンティーのかっこうで、客席からの「ハダカになれ」の声にブラをはずしてみせる。
　ウッ。
　高級店に移ると赤いヴェールとスケスケのワンピースの下に赤いＴバックが食いこんでいて、ススス、スゲッ。オッパイの隠れるあたりは残念だが…
　やはり二度の美人局のシーンでは、ロルダンを相手の冒頭がバス・タオルを巻くまでなものの、変態の中国人にあやうくレイプをうける寸前の危機一髪的シチュエーションのほうがやってくれる。ベッドに倒されるとうしろから襲われ、ワンワンのポーズでボディコン衣装をまくられてパンティーを丸だしの瞬間が興奮を誘う。
　ルディーがホテルのバーで他の女とダンスしたため、嫉妬でロサンナがこれまでのタカビーな態度をあらためてルディーとラヴラヴを確認し、セックスの前にシャワーを浴びるショットでは、黒いワンピースを脱いで黒いＴバックのパンティー一枚となったロサンナのうしろ姿が浴室の中にみえていて、キャーッ、ステキー。そこへジェーたちが現われ、気づかずにバス・タオル一枚ででてきたロサンナのタオルをいきなりルディーがバサッとはぎとり、ヌードに視線を奪われた瞬間に逃げるのだが、全裸かと思いきや、パンティーをはいているのが、アレレ、なーんだ。でもオッパイを手で隠しながら走るも、タオルがボディーをはなれるタイミングで乳首がモロみえに、うーん、チュッチュしたい。
　ロサンナのセクシー・パワーで、とりあえずは見せ場を確保できたようだ。
　あとホテルのロビーで知り合い、ルディーとバーでデートにきょうじる女性を演じたスーザン・ジェーン・リッターが、ちょっとかわいくて興味を抱かせる存在。尼僧を演じたアロット・マルセロ、ミナ・ダヴィッド、マイラ・クリエスタの三人のうち、一人だけチャーミングな子がいた。