ＧＡＮＴＩ　ＮＧ　ＰＵＳＯ
（心の報酬）
　
95年：マホガニー・フィルムズ
監督：フランシス・“ジュン”・ポサダス
主演：ステラ・ルイズ
　　　 ガンドン・セルヴァンテス
　　 　デニス・ロルダン
　　 　エフレン・レイエス
　　 　キング・グチェレス
　　 　カロル・ラウデン
　　 　ジョニー・ヴィカール
　　 　クロイド・ロビンソン
　　　 エドウィン・レイエス
　　　 ララ・モレナ
　女囚ものはセクシーＢ級アクションのパターンの一つになり、フィリピン映画にもあったようだ。刑務所の中のエピソードは全体の四分の一ほどなので、正確には女囚もののジャンルに入らないかもしれないが、エロティックな復讐劇には違いない。
　まず冒頭からやってくれる。海岸でマリン・スポーツを楽しみ、ステラ・ルイズ演じる主人公はハイレグ・ビキニ。そのあと射撃の練習シーンがきて、今度は濡れたＴシャツで海の中でたわむれる。ガンドン・セルヴァンテス演じる恋人に抱きあげられたときのお尻に食いこむ白い水着のパンティーがすごいが、ブラをつけていないために乳首がスケて丸みえで、そのまま海岸を走ったり、砂浜でキスしたり、これは全裸よりも挑発的。
　ストーリーじゃなくてステラを楽しむ映画なんだな、と納得が起きる。
　ステラ演じるのは銀行員で、勤め先に強盗が入ってドラマが開始。支店長であるガンドンに頼まれ、被害額を二倍に証言する。この依頼を話の際のセックスが濃厚で、ステラのオッパイ露出が嬉しいし、二人の性器がピッタリ・フィットの挿入感が伝わってくる。ただしガンドンの裏筋やアヌスがみえそうなカットには、ゲーッ。照明でぼやかしているながら、やめてくれー。
　あとで事態を相談のシーンでも、風呂に入っている全裸のステラは腕と脚の組みかたでうまく大切な部分を隠すのに、ガンドンのお尻のアップがドバッには、サイテー。
　デニス・ロルダン演じる指揮官や、エフレン・レイエス演じるチーフなど警察内部に犯人グループと通じる者が潜み、偽証がバレそうになる。調査委員会にかけられると、ローラ・ルナ演じる委員長にちょっとそそる要素が漂い、色っぽいシーンを期待したが、ムムム、なかった。
　ごまかしは無理と悟ったガンドンは、警察と取り引きに転じ、罪をすべてステラ一人になすりつける。それで女囚ものに発展の流れ。
　有罪の判決がおりたとき、裁判所でメンスが始まる表現がなまめかしい。
　さっそく刑務所の描写に変わるや、のっけからやってくれる。何人もが全裸でシャワーを浴びる光景が映しだされ、中央にステラがいる。陰毛をみせて歩く者もでてきてドキッなうえ、ステラにレズのモーションをかける二人など、あまりにブスでなえそうなれど…。カメラはステラの濡れた全裸をなめるように撮り、乳首もお尻もバッチリにウハウハも、意外と素っ裸を全体的にながめれば、安産型だなあと感じる。ジョニー・ヴィカール演じる所長がのぞきにきて、ステラに目をつけるが、この中を対象に選ぶとすれば当然だろう。まあ、若い女性のみという刑務所も不自然だが…
　カロル・ラウデン演じる女囚にレズの強要や、おばさんの看守の暴力から助けてもらう展開を経て、このカロルが途中で出所でステラの復讐に手を貸すながら、最後までからんでこないのはヘン。すごく構成的に弱い作品といえる。
　集団脱獄に失敗し、今度は所長の誘惑作戦に変更で外に連れださせ、四駆でカー・セックスのときに自由になることに成功。脱獄シーンでは薄いスカートで川に入り、パンティーをみせまくるも、あまり魅力的でない。所長とのセックスもイマイチ・ビンビンを呼ばないが、殴られた所長が翌朝に目ざめてみると、全裸で頭からパンティーをかぶされ、木に縛られて周囲の見世物状態に笑いが生じる。権力で女を性の奴隷化できると考えるヤツには、これくらいの処置が妥当だろう。
　同時進行で映画はガンドンにララ・モレナ演じる新しい恋人ができたと紹介し、ララは本格的なデビュー作。階段のセックスでガンドンにパンティーを破りとられ、オッパイも露わに悶える。ステラが「覚悟はできた」とポケット・ベルにメッセージを送るシーンでも、新規に購入を決めた、まだ何も家具のないコンドでガンドンとセックス中。めくれた服に半分だけ乳首をハミハミと、けっこう頑張っている。
　いよいよステラの復讐がスタートし、口紅をつけるアップや、黒いボディー・スーツの下着にストッキングをはいていく姿に、セックスを武器に使うぞとの決意がうかがえる。
　デニスのパーティーに銀の光沢ブラと黒のエナメルのホット・パンツをはいた仮面のダンサーが登場。これがステラなのは説明の必要もない。チェーンをふりまわすＳＭっぽいしぐさが挑発的だが、ホット・パンツを脱ぎ始めるや、さすがにデニスたち登場人物同様、思わずグッと身を前に乗りだしそう。下も銀の光沢ハイレグ・ビキニに変わると、クネクネ動いてヒップラインをくっきりに迫るお尻のアップまで披露し、ほとんど全裸よりもセクシーでドドド、ドピューッの興奮。ただし、ややピンボケのカットを含むため、しっかり撮影せい、とカメラマンをしかりたくなる。
　まったくこのダンス・シーンは、全編のハイライトと呼べるだろう。
　セックスに進むや、全裸に仮面だけの姿がそそるばかりか、仮面をとられて正体がバレて、デニスに蹴りを入れる素っ裸でのアクションがなかなかよろしい。
　ところが続く肝心のガンドンへの復讐の描写が、あまりにマヌケな内容でシラけまくる。ガンドンはエフレンに助けてくれと泣きつき、エフレンが家にきたとき、車に乗ったステラが現われ、いきなり射撃する。そんなの簡単に当たるわけないので、反対にガンドンとステラの追跡をうけ、例の購入予定のコンドへ入りこみ、何だかだで追いつめられる。まったくアホの典型というか、あきれを通りこした無計画さ。相手を誘いこむなら、事前に場所を下調べなり、罠ぐらい張っておけよと思うわけで、しょせんステラにはセックス以外に武器がなく、脳みそは空っぽなんだ、との印象すらわきあがる。いざ、まさにのタイミングで銃の弾がなくなるあたりも、ウルトラ・ドジのノータリン。どうしてこんなおバカ女にキャラづけなのか、フランシス・“ジュン”・ポサダス監督などのスタッフに聞いてみたいくらい。
　結局エフレンをあやしんでいた別の警官隊が駆けつけて助かり、しっかりガンドンへの復讐をはたして逮捕も、勝手にせーで声がでないのが本音。
　いやはや、いい加減な復讐劇もあったものだ。
　またセクシーさの感動をさんざん語っておいて、最後にこういうことを指摘は矛盾もはなはだしいが、ステラ・ルイズとララ・モレナは、正直なところ、ちょっとブスすぎると苦言をていしたい。よーくみれば、ステラなど仮面をつけていると、鼻の形の悪さがわかって余計にブス。まだ自分のカノジョのほうがはるかにかわいいし、ハダカにむいてもナイス・ボディーだと再認識が起きる。まあ日本の女優やアイドルも同様だが、本人に会ってみれば「この程度」とげっそりのケースが多いから、どこでも本当に魅力的な芸能人は少ないのかもしれない。
　だと、まったく長所の皆無な作品じゃないかとの誤解を招かないため、ステラの全裸や銀ラメ・ビキニのダンスをみればイヤでも勃起だし、どうあれフェチな趣味の男にとっては大歓迎な実用作、と断言します、ハイ。

※　この作品は『真実の復讐』の題名でヴィデオ発売されたことがある。