ＧＡＮＩＴＯ　ＡＫＯ　ＭＡＧＭＡＨＡＬ
（私の愛しかた）
　
99年：リーガル・エンターテインメント
監督：マニー・カスタニェーダ
主演：アリス・ディクソン
　　　 ルストム・パディーリア
　　　 ジゼル・トエンギ
　　　 ブーツ・アンソン・ロア
　　　 オリヴァー・ハートマン
　　　 マリアンネ・スンガ
　罠にはまって事業に失敗し、詐欺罪で夫が服役のため、中流の暮らしから転落する妻の物語。いかに試練の期間を乗りきったかを正面から描く。
　アリス・ディクソンが妻を演じ、銀行の差し押さえで豪邸を追いだされて小さな借家に移り、ルストム・パディーリア演じる夫と面会でもめるなど、いらだちを適度に絶叫型の演技で表現する。収監前にルストムがオリヴァー・ハートマン演じる高校生の息子に「母と妹を守れ」と託すも、オリヴァーが同級生からイジメをうけ、ガール・フレンドも両親の命令で「会ったらダメだといわれた」と避けるといった、フィリピンにも日本なみの偏見が存在の事実を示す。ブーツ・アンソン・ロア演じる母がアリスに離婚をすすめ、親子対立へ発展。ブーツがオリヴァーに「ウチへいらっしゃい」と誘ったため、深刻さを増す構成はパターン通り。オリヴァーが不良たちとつき合い、アリスの非難に反抗で家出も同様。マリアンネ・スンガ演じる娘が交通事故に遭遇など、不運の連続が深刻さの助長へつながる展開は、まったく定番ともいえる。一方でＧ・トエンギ演じるアリスの親友が救いの手を差しのべ、とりあえずの生活資金をくれるばかりでなく、自分が経営の会社へアリスを就職させる。「おカネよりも愛が大事」とＧに励まされたアリスだが、メル・キムラ演じる同僚への冷たい仕打ちに対し、アリスが「カネの亡者」とＧを批判する逆転の構図がいかにも。かつてＧがルストムを好きだった過去は、それほど生かされない。
　まあ、ブーツの不理解を訴えてアリスと和解し、オリヴァーの元へガール・フレンドが戻り、Ｇがメルへやさしさを示すのだから、ホント予定調和の進めかた。ルストムの無罪がわかって釈放になるラストまで、実に破綻のない流れといえる。それだけに、よくできていると解釈可能だが、正直なところ、つまらない。
　マニー・カスタニェーダの演出には、とくにみるべき要素がうかがえずじまい。
　また、大ファンのＧが魅力をだしきっていないのも、しごく残念なポイント。美人ぶりの刺激がイマイチ不足ぎみ。アリスの友人役のジョゼフィン・バルネット、Ｇの友人役のアイリーン・モヘ、シーラ・タニャン、ケイ・サンタリナといった脇の女優陣も、ちょっとかわいいだけに、もっとセクシーに迫ってほしかった。