ＦＯＲＥＶＥＲ　ＭＹ　ＬＯＶＥ
　
04年：リーガル・エンターテインメント／グッド・ハーヴェスト・プロダクション
監督：ホヴェンタン（ホヴェン・ムナル・タン）
主演：オヨ・ボーイ・ソット
　　　 ナディーン・サモンテ
　　　 クリステル・アイナ・フルガー
　　　 チェリー・パイ・ピカチェ
　　　 トントン・グチェレス
　　　 リン・シャーマン
　　　 リチャード・クアン
　　　 アラン・パウレ
　　　 ピンキー・アマドール
　　　 パウル・サラス
　　　 ジェード・ロペス
　紹介文に『ロミオとジュリエット』と『シックス・センス』をたしたような内容とあった。まず、それだけで駄作に思えてくる。
　オヨ・ボーイ・ソット演じる誘拐による殺人で亡くなった青年が、ナディーン・サモンテ演じる恋人のことを忘れられず、天国へいかずにこの世をさまよう。同様にクリステル・アイナ・フルガー演じる木に引っかかった弟の凧をとろうと転落で命を落とした少女が、トントン・グチェレスとチェリー・パイ・ピカチェ演じる両親の愛を確かめきれず、なんとか自分の存在に気がついてもらおうと努力する。似た話の作品はフィリピン映画にも『ＡＮＧＨＥＬ　ＳＡ　ＬＵＰＡ』を思いだすし、いくらでも例があるわけで、またもオリジナリティーの乏しい駄作を繰り返したものよ。リリー・モンテヴェルデのストーリーにもとづくグレン・マルセロの脚本がイマイチ。
　冒頭しばらく、家から車で去るチェリー・パイたちをクリステルが「おかあさん」と追いかけ、車が無視していくあたりの非情感はそこそこにでている。観客に設定を隠しながら、リン・シャーマン演じる尼僧に連れられた子どもの亡霊が異様に立って現実をながめ、ホラー映画の印象を与える手法は決して悪くない。リンの一家が焼かれたイメージや、ナディーンが夜に火をともしたロウソクをいっぱい立てる絵づくり、天国へ向かう水をはった通路の幻想性など、けっこう買える。リチャード・クアン演じる牧師が聖水をまく雰囲気もまずまずで、ホヴェンタンの演出が頑張っているといえる。イーザー・パストールの音楽センスもなかなかのレヴェルと評価できる。でも結局は特殊現象によってオヨがナディーンと交霊をはたし、クリステルがチェリー・パイの愛情をかみしめて昇天するだけの単純さ。ありきたりなうえに、バカバカしいことこのうえない。著しくテンポも悪く、ただ退屈を招くばかり。
　ああ、つまんねえ。
　ただしオヨの回想の中にナディーンの水着シーンがあるのは、予想外なので二倍嬉しかった。人気アイドルながらも、さして好みじゃないナディーンだが、ネック・ホルダー型の黒いハイレグ・ワンピースでビーチを走り、みごとなプロポーションをくっきりと浮き彫りにする。くびれのカーヴの鮮やかさは絶品に近いなめらかぶり。雑誌で水着の写真をみたリンにもセクシーなシチュエーションがほしかったが、それは余計な要求か。あとクリステルの姉を演じるジェード・ロペスがローライズぎみのジーンズをはいて視線を奪い、個人的には太めのチェリー・パイとオヨの母を演じるピンキー・アマドールの熟女に萌える。
　とにかくナディーンのボディー・ラインが一番のみどころだったようだ。