12年：ＡＢＳ−ＣＢＮフィルム・プロダクションズ／スター・シネマ・プロダクション
監督：メエ・サリーナ・クルース
主演：ピオロ・パスクアル
アンジェリカ・パンガニバン
ライアン・アイゲンマン
スモーキー・マナロト
ノヴァ・ヴィリア
ライアン・バン
リト・レガスピ
ドミニク・オチョア
ピオロ・パスクアルとアンジェリカ・パンガニバンの顔あわせによるロマンスもので、一般大衆向けの典型的なしょーもない内容。ドタバタのコメディー・タッチがくだらなさでなく、しょーもなさになっている。こころざしの低いくだらなさは大好きなのだが、しょーもなさばかりは評価の対象外といえる。
まず開巻に慎重な性格で、運命の出会いを信じて待ち、処女のままのマジョイ（アンジェリカ・パンガニバン）と、ずるがしこくて要領がよく、プレイボーイのレオ（ピオロ・パスクアル）を示すところで駄作の予感がもたげる。偶然にヴァレンタイン・デーにレオをみかけたマジョイがひと目ぼれも、適当にレオが遊びのつきあいから、すぐに傷ついたマジョイがレオを避け、今度はレオが本当の愛を自覚の展開とさっしがつく。
不動産販売会社の社員のレオが、さして努力もなくライヴァルのマリオ（ライアン・アイゲンマン）をだしぬき、副社長（アル・メンドーサ）の称賛をえるあたり、現実味もゼロに思える。
たまたまレオの交際関係のひとりだったディアンヌ（ウェンディー・ヴァルデス）がレオとの結婚を切実にのぞみ、これを絶対に実現させようとディアンヌをクイニーと呼ぶキング（スモーキー・マナロト）、エース（カルロス・アガシ）、ジャック（ジョロス・ガンボア）の三人の兄がレオの拉致をねらう。マジョイには韓国人の若者のジ・スン（ライアン・バン）が一方通行でほれるも、マジョイの気持ちを奪った色男がレオと知り、制裁のために韓国ヤクザの四人組をやとう。マリオとの生活に不満のたまった妻のレイラ（レジーン・アンヘレス）がバーで誘惑の相手がレオの部下のチッコイ（ケチャップ・ユーセビオ）で、マリオがレイラの浮気のかたきをレオと勘違い、と三者がレオを追っかけてのシチュエーションがさっぱり笑いの題材をなさないまずさ。
レオの秘書のミッチ（カカイ・バウティスタ）と仲よくなったマジョイがレオの仕事を手伝ったつもりが、かえって足を引っぱる設定もユーモラスさをはずす。
とにかくメエ・サリーナ・クルースの演出が悪い意味でのバカっぽさに観賞意欲をそぐばかりか、拳銃で発砲の暴力を持ちこみ、誰にも当たらないながら、ものすごく印象の低下をまねく。ジ・スンのマヌケなテコンドーもどきの範囲内にヴァイオレンスをとどめるべき。
一応はマジョイの祖母のピラル（ノヴァ・ヴィリア）が祖父のペペ（フレディー・ウェッブ＝写真のみの出演）と出会った運命の話や、マジョイを応援の兄のボーイ（ヤヌス・デル・プラド）とその妻のアビー（フレンチー・ディー）の存在がジャマにならないあつかいだったり、レオのボケた父（リト・レガスピ）を介護の兄（ドミニク・オチョア）が父の悲惨さを引きあいに、レオを自己中心的といさめる部分のまじめさをあっさりに抑えるくらいがまあまあかな。マジョイに片想いのボケナスが以前だと日本人だろうが、韓国人の点と、ディアンヌの三人の兄にボーイとアビーがフェースブックでレオを調べる方法が時代をあらわし、エースとジャックが不動産購入の顧客をよそおうためにアラブふうにバケたり、マジョイが家族とケーキ店をいとなみ、レオにヴァレンタインにケーキを贈る風習がちょっと興味をそそる。
メル・メンドーサ・デル・ロサリオ、シグ・マラシガンのストーリーによるメル・メンドーサ・デル・ロサリオ、シグ・マラシガン、アンジェリ・ペッスマルの脚本、ジェネリサ・Ｆ・レイエス、アイス・デ・グスマンの追加脚本はレオの車のナンバーや、マジョイの信じるお告げの降雨などの小道具的要素のきっかけづくりやつじつまあわせにアイディアをしぼり、人物像をおろそかにした姿勢がうかがえる。
アンジェリカ・パンガニバン、ウェンディー・ヴァルデス、レジーン・アンヘレスのセクシーさに個人的な期待が盛りあがったが、こちらも残念な結果。アンジェリカはパープルのタイツに下半身のラインがはっきりと浮かばず、ジムでエクササイズや公園でイチャイチャに不満がつのり、家で食事のシーンにややヒップラインがでる程度。公園で騒ぎを起こした原因を説明で警官（ジョジット・ロレンソ）があきれる濃厚なジェスチャーに、もっとプロポーションの強調がほしかった。ちなみに公園で逃げる数組のカップルの露出も控えめに終わる。エンド・クレジットのバックにレオとの初夜があるが、スリップを着たままのみ。
レジーンは家で黒いスリップを披露にとどまり、ウェンディーは飛びおり自殺未遂の屋根で白いタイツだが、やはり下半身の線があいまいで興奮にたりない。
あとフレンチー・ディーと、不動産の顧客のタン夫人役のマーニー・ラプスはデブ。不動産会社のスタッフを演じるエリカ・クルース、ミカー・ヴィリエーノ、ジョベーリエ・ラプス、ピーチー・メルカドのうち、レオの部下のひとりがかわいくみえる。
