ＥＴＯ　ＮＡ　ＮＡＭＡＮ　ＡＫＯ
（私は再び今ここにいる）
　
00年：ミレニウム・シネマ
監督：アイク・ハルレゴ・ジュニア
主演：ロビン・パディーリア
　　　 ヴィーナ・モラレス
　　　 トロイ・モンテロ
　　　 キャンディー・パンギリナン
　　　 アラン・パウレ
　　　 リンゼー・クストディオ
　　　 ローズマリー・ヒル
　　　 チャーリー・ダヴァオ
　　　 ボーイ・アブンダ
　　　 クリス・アキノ
　　　 チンゴイ・アロンソ
　　　 ロエット・パディーリア
　　　 ヴァンジー・ラバラン
　よくもまあ『ボディガード』をヌケヌケといただいたものだ、と相変わらずアメリカ文化圏にあるフィリピン映画にあきれる。マネるなら向こうはホイットニー・ヒューストンが出演なわけで、ヴィーナ・モラレスがヒロインとは、ちょっと弱いんじゃないか。個人的に彼女が好みのタイプでないせいもあるが、コンサート・シーンなど、やや衣装は背中のでたセクシーなものの、まったく魅力に乏しい。大事なのは歌だから、もしポップス・フェルナンデスかレジーン・ヴェラスケスが演じていたら、もう少し面白くなったかもしれない。
　主演のロビン・パディーリアが自ら共同でストーリーにも参加で、名コンビのヴィーナを指名したのだろうと想像する。
　ロビン演じるボディー・ガードはテロリストから政治家を守るための特殊訓練を受けた人物と設定され、ヴィーナ演じる歌手兼女優とは幼なじみ。少年時代に結婚の約束をかわしたほど仲がよかったとの関係になっているのが、本家とは異なるアイディア。二人には当然かつてのときめきが蘇るが、ヴィーナにはトロイ・モンテロ演じる大金持ちの恋人がいるし、大衆から人気を博しているし、手の届かない存在になってしまったことにロビンが悩む。そしてグッと自分の気持ちを押し殺し、プロに徹するところに、おそらくヒーローとしての魅力を感じたのだろう。とにかく抑えた演技でクールな男の魅力をだそう狙い、女性層には受けるかもと判断する。
　でも意味深に脅迫状を送りつけてきた熱狂的なファンが真の殺人者でないことは途中でバレバレなうえ、なら誰が本当の犯人かの真相も思ったほど意外性に乏しいし、中途半端な印象に終っている。しょせんはイミテーション企画だから、こんなものかという感じ。
　それでもフィリピンぽい興味がいくつか含まれ、コメディエンヌのキャンディー・パンギリナンなど笑いをとる担当が、これでもかとうるさく騒ぎまくるのが、らしいなあとうなずける。タガログ語をネーティヴに話さない者には騒音にしか聞こえない部分が多いが…
　ショー・ビジネスに対するあこがれの強さも日本とは違い、現実が厳しいと、シンデレラのような世界に引かれるのかなあと勘ぐるところ。ただし芸能人が玉の輿に乗りたがるのは、日本もフィリピンも同じようだ。
　ところでヴィーナがＴＶのトーク番組に出演のシーンにおいて、もう一人の歌手であるリンゼー・クストディオがなかなかの美人で、気になってしょうがなかった。