ＯＫＡＹ ＫＡ ＦＡＩＲＹ ＫＯ… ＴＨＥ ＢＥＧＩＮＮＩＮＧ ＯＦ ＴＨＥ ＬＥＧＥＮＤ
（エンテン・カビソテ 第四部 私の妖精を守りなさい 伝説のはじまり）
07年：オクトアーツ・フィルムズ／Ｍ−ゼット・ＴＶプロダクション
監督：トニー・Ｙ・レイエス
主演：ヴィク・ソット
クリスティン・ヘルモサ
オヨ・ソット
ジセル・トエンギ
イアン・ヴェネラション
フランシン・プリエト
マイケル・デ・メサ
カルロ・アガシ
ホセ・マナロ
アイサ・セゲラ
ジョーイ・デ・レオン
ジョマリ・イリアーナ
クリスティン・レイエス
ついに『ＥＮＴＥＮＧ ＫＡＢＩＳＯＴＥ』も四作目で、さすがにあきてくる。
わりと前半は快調にみせる。１８９８年にエンテン（ヴィク・ソット）がどこでもドアのごとき鏡で時間移動し、ホセ・リサール（ジョマリ・イリアーナ）に迫る悪霊を退治のうえ、鏡で時間をへだてながらスペイン占領下の兵士たちと腕を引っ張り合ったすえに戻るのを、エンテンの幼い娘のアダ（ミカイリア・ラミレス）をからめて描く。エンテンの母のチョレン（カリダッド・サンチェス）が営業するリゾートへエンテンが妖精である妻のフェイ（クリスティン・ヘルモサ）と、フェイの母である妖精の国の女王にあたるマジェンタ（Ｇ・トエンギ）と、使用人のホセ（ホセ・マナロ）とアーミー（ルビー・ロドリゲス）の夫妻と、子どもたちででかけるのに、エンテンの息子のベノク（オヨ・ソット）が警察になっていて、同僚の警官（イアン・デ・レオン）とともに犯罪シンジケートと銃撃戦をダブらせる。すでに襲撃戦のときに身体の消える人物（カルロス・アガシ）が登場で謎を示していたが、タクシー強盗のバヤニ（イアン・ヴェネラション）と相棒の女性（フランシン・プリエト）をら致で吸血鬼のごとくプリンシペ・ベノク（マイケル・デ・メサ）が噛み、バヤニがタオン・バニキに、女性がドラゴン・レディーに変身で本筋につながる流れをうかがわせる。リゾートで遊ぶエンテンの一家のほうは、妖しい瓶の液を体にぬる人物（ティタ・スワルディング）が出現で、同じく仲間の男（ノノン・デ・アンドレス）とともにアスワンというフィリピン土着のモンスターに変わる。異様な夜の空気におびえる一家にチェレンが「ここに幽霊はいないよ」と安堵させるが、でも「アスワンはいるよ」で大あわて。アスワンの軍団が妊娠で陣痛の女性（キャンディー・パンギリナン）の家を襲い、エンテンのファミリーが巻きこまれてのドタバタをくり広げる。
タオン・バニキとドラゴン・レディーにエンテンが連れ去られてのメインにあたる後半がタルくなる。リサール州刑務所をでた護送車が襲われ、囚人（ディック・イズラエル、ディンド・アロヨ）を拘束や、刑務所のテロリスト（ジェラルド・エヘルシト、テリー・ババサ）の脱走にエンテンがかかわる。まさかの犯罪加担にオヨたちが困惑だが、本作はシリーズをさかのぼり、エンテンとフェイが結婚前の設定がでてくる。フェイを好きだったプリンシペがまだあきらめきれず、エンテンを引きはなしてフェイの奪還を狙っている。記憶を失ったエンテンにタイム・ロード（ペケ・ガリアーガ）が砂時計で時間を逆行させ、新婚当時に連れていく。１９８７年に放映されたエンテン・カビソテの元のＴＶシリーズである『ＯＫＡＹ ＫＡ， ＦＡＩＲＹ ＫＯ！』の映像へまぎれこみ、若いころのヴィク・ソットや、まだ子役の長女役のアイサ・セゲラ、フェイ役のアリス・ディクソン、マジェンタ役のチャリト・ソリス、プリンシペ・Ｋ役のバヤニ・カシミロ・ジュニア、ピポイ役のラリー・シルヴァなどがでてくる。だから第二作の『ＥＮＴＥＮＧ ＫＡＢＩＳＯＴＥ ２ ＯＫＡＹ ＫＡ ＦＡＩＲＹ ＫＯ… ＴＨＥ ＬＥＧＥＮＤ ＣＯＮＴＩＮＵＥＳ！』でアリス・ディクソンがマジェンタを演じたのかとの納得がいく。このシリーズでもアーミー役はルビー・ロドリゲスだとわかる。ちなみに本作は故人となったチャリト・ソリス、バヤニ・カシミロ・ジュニア、ラリー・“ピポイ”・シルヴァに捧げられている。映画版は１９９１年の『ＯＫＡＹ ＫＡ， ＦＡＩＲＹ ＫＯ！』と１９９２年の『ＯＫＡＹ ＫＡ， ＦＡＩＲＹ ＫＯ！ ＰＡＲＴ２』の二作で、前者がベルト・デ・レオンとトニー・Ｙ・レイエスの共同、後者がトニー・Ｙ・レイエスの監督作。フェイ役はトゥウィーティー・デ・レオンになり、ＴＶシリーズのフェイ役のクレジットには、アリスとトゥウィーティーのほか、ドーン・スルエタ、ロデリック・パウラテ（男性子役）の名前が読める。ひょっとして本作の脚本のビベット・オルテサとトニー・Ｙ・レイエスはＴＶシリーズの挿入を目的の中心においたとも考えられるが、それをみていないものにすれば興味が半減になる。オリジナルを知らないパロディーというか、本人を知らないものまねみたいなもの。
犯罪者たちを集めたタオン・バニキとドラゴン・レディーが街で大暴れをはじめ、フェイがドラゴン・レディーを退治し、ベノクの協力でエンテンがタオン・バニキをやっつける。護送車の襲撃のあたりからタオン・バニキの腕がマシンガンに変わり、ドラゴン・レディーの腕が伸びてドラゴンに変形など、ＣＧが目だっていたが、宙を浮くボードに乗っての追跡といった合成は、さすがに緻密さでイマイチと思えてくる。前作で日本へ働きにでかけたアイサ（アイサ・セゲラ）をみんなで空港に迎え、ほのぼののハッピー・エンド。リサール公園へいけば、１８９８年のホセ・リサールの前にエンテンが携帯電話を落としたままになっていたのに、ルネタのホセ・リサール像が携帯電話を握っているオチをつける。
まあ、イマジネーションの飛躍が足らず、全体的にトニー・Ｙ・レイエスがテンポのよさで巧みにまとめた印象で、一応は退屈しないとの評価。
奇抜な衣装ではマジェンタのアンテナをつけたごときヘアーがおかしいが、美人のＧはやや太ったように感じる。クリスティン・ヘルモサは短パンで長い脚をおがませるのがよく、とくにドラゴン・レディーと対決のときの黒い光沢の短パンが色っぽいながら、もっとお尻にピタピタならなあと惜しくなる。一番の期待はフランシン・プリエトだが、ケソンのミスティックの前でタクシー強盗でのバストに切れ目の入った光沢のボディコン・ミニがそそり、ドラゴン・レディーに転じればバストの谷間を強調の黒い光沢のヘソだしボンデージふうなのに、さほどボディーにフィットのタイプじゃなくて興奮をさげる。あとホセがみとれてアーミーが怒る自転車に乗る女役にクリスティン・レイエスが扮し、ヘソだしの短パンで視線を引きつける。子役のミカイリア・ラミレス、ユーニス・ラグサッド、エリサ・ピネダがハシャぐリゾートの海岸には水着の女性が何名かいて、毎作、人気ＴＶのパロディーで顔をだすジョーイ・デ・レオンが『ＭＡＲＩＭＡＲ』をもじったオカマのカリマリマリナとしてあらわれ、マリマルっぽいダンスを踊るとき、ビキニの女性が三人いるのが気にかかる。ベノクの捜査に同行の婦人警官役や、アイサと到着のじゃぱゆき帰りの女性三名がかわいいから、名前を知りたくなる。エンテンの家にくる婦人警官役でレニー・サマーが、女装のインタビュアー（ウォリー・バヨラ）がクチャクチャにされる刑務所の暴動でのＴＶのレポーター役でダイアナ・スビリがカメオで主演、と女優をながめる要素は大きいが、とにかくセクシーさに不満が残る。
さてさて、シリーズも潮どきか。
