ＥＮＴＥＮＧ　ＫＡＢＩＳＯＴＥ
ＯＫ　ＫＡ　ＦＡＩＲＹ　ＫＯ…　ＴＨＥ　ＬＥＧＥＮＤ
（エンテン・カビソテ　私の妖精を守りなさい…　伝説）
　
04年：オクトアーツ・フィルムズ／Ｍ−ゼット・プロダクション
監督：トニー・Ｙ・レイエス
主演：ヴィク・ソット
　　　 クリスティン・ヘルモサ
　　　 マイケル・Ｖ
　　　 アイサ・セゲラ
　　　 オヨ・ボーイ・ソット
　　　 Ｇ・トエンギ
　　　 ジェフリー・キソン
　　　 ビン・ロイサガ
　　　 ジャヌアリー・イサアク
　　　 ナディーン・サモンテ
　トニー・Ｙ・レイエスとヴィク・ソットのコンビによるファンタジー・コメディー。
　ヴィク演じるのはパソコン教室を営む普通のお父さんで、実はクリスティン・ヘルモサ演じる妻が魔法の国の王妃。ヴァンジー・ラバラン演じる隣人のおばさんが娘に暴力を振るうため、腕をカニ状態にチェンジで大あわてを招いたりする。ちょうどビン・ロイサガ演じる悪の女王が地上を支配すべく、ダムに毒薬を投じる作戦を企むも、正義の捜査官に阻止される。今度はヴィクに目をつけ、マイケル・Ｖ演じる手下を馬に化けて見張りに潜入させるが、アイサ・シゲラ演じる娘や、オヨ・ボーイ・ソット演じる息子など、ヴィクの家族と心を通わせ、仲よしなって裏切る。ならビン自身がナディーン・サモンテ演じる若いギャルに変身でオヨを誘惑し、悪事の実行をあやつるものの、オヨがアイサを傷つけたあと、クリスティンの介護で我に返って失敗。そこでクリスティンを強引に拉致のうえ、アジトへと連れ去る。一方、Ｇ・トエンギ（トンギと表記されている）演じるクリスティンの母が現われ、ヴィクとオヨに剣と弓矢を授けるや、マイケルをペガサスに変えて救出に派遣する。
　イメージ的にはとくに新しさがなく、パソコンのモニターからナディーンが悪霊となって飛びだし、オヨの口へ吸いこまれるＣＤは、どこかでみた印象。つかまったクリスティンとオヨが荒野の巨石に縛りつけられている光景も同様。澄んだ池に白い衣服のニンフたちや、ミスター・スポックがごとき耳の男がいるＧの王国と、地獄を彷彿とさせるビンの王国のようすもまったく意表をつかない。冒頭のダムでチャンバラがライト・サーベルなのは、おいおい『スター・ウォーズ』かよ、と指摘したくなる。反対にいえば、きっちりパターンをおさえていると指摘できる。ヴィクとオヨが旅の途中でディック・イズラエルがボスを演じる樹木の怪物たちや、ゴブリンをマネたような鬼と戦い、ジャヌアリー・イサアク演じるカエル人間とでも呼びたいかっこうの味方が加勢する。雪が降ってきてヴィクが凍るのは、熱帯フィリピンの幻想かと推しはかるも、おそらく一連の描写はヨーロッパのおとぎ話にヒントを得たのだろう。ゲスト出演のジョーイ・デ・レオン演じる羽根のはえたオカマがゴブリンをやっつけ、自らを「ムラウィン」と名のっているのは、大ヒットとなったＴＶシリーズのパロディー。ほかにオヨのバースディー・パーティーのエピソーグに、ジェゼベル（人魚）役でアラン・Ｋ、大男役でジミー・サントス、ファンタスティックマン役でパオロ・バリエステロス、ヘンテコな男役でアンジョー・イリアーナなどがみんなオカマの人物でゲスト出演している。
　全体的に馬というよりもロバのマイケルや、ヴィク宅の使用人夫婦を演じるホセ・ロムロとルビー・ロドリゲスが笑いをとろうとするも、あまり冴えず、ヴィクのズッコケもイマイチ。トニーにすれば、センス低下の評価に終わっている。しょせんは『ロード・オブ・ザ・リング』あたりに触発され、小品でマネたレヴェルに思えてしかたがない。
　まあ、こんなもんでしょ。
　ただしファミリー・ピクチャーなのに、女優陣が妙に色っぽいのが個人的に嬉しいポイント。ダムの占拠にやってきたジェフリー・キソン演じる悪のボスにニッキ・アリオラ演じる女性の部下がいて、容貌はそこそこだが、白いエナメルのボディ・スーツの衣装がそそる。これを退治に現われた捜査官の一人はレイラ・クスマ演じる女性で、こちらはかなり美人。バイクから降りる黒いレザーパンのファッションが実にかっこいい。二兆拳銃を撃ちながらの格闘で半コートのジャケットを着ていて下半身が隠れるのは惜しいも、嵐に濡れてなんともセクシー。雑誌でセミ・ヌードを披露のレイラだけに、本当はもっときわどいポーズをとってほしいのだが…　ニッキのほうはヒップに貼りついた食いこみがおいしそう。ダム作戦失敗のもようを地獄の釜みたいな映像でながめるビンは、黒いラメのピタピタな服で熟女のフェロモンを放ってくる。Ｇが祖母というのは魔法の民族ゆえだろうが、ヴィクよりも若いわけで、なんとムチャクチャに嬉しい配役じゃないか。エリマキトカゲのようなえりの赤いレオタードで出現し、バツグンのプロポーションがくっきりとわかる。あとの対決のクライマックスに駆けつける白いエナメルのパンツとタキシードのシャツもそそる。「フーン」と奇声をつぶやくとぼけたキャラで、Ｇはもうけ役といえる。ナディーンには挑発的なコスチュームがなく、Ｇの侍女の一人にはマリエル・デ・パルマの名前がクレジットに読め、雑誌で全裸を披露のモデルながら、よくわからないままは残念。当然ヒロインはクリスティンにあたり、こちらもアイサとオヨの母なんて年齢的にゆがんだ設定において、ベッドに寝ころぶスリップ姿にうっとりのうえ、ペガサスに乗るラストの大胆にオッパイの谷間があいたドレスが圧倒的な迫力。
　女優の魅力に酔える作品だった。
　なお遊園地で馬のマイケルを見世物にアイサたちがイヴェントを開き、オヨが参加した女の子から無料キスを次々とうけているのは、男女が反対じゃないのと苦笑いが起きた。