95年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：エマヌエル・Ｈ・ボルラサ
主演：チャーリン・ゴンサレス
マット・メンドーサ
グロリア・ディアス
ジャクリン・ホセ
フリオ・ディアス
アルベルト・マルティネス
クリスティン・ガルシア
ガーリー・エストラダ
チャリーナ・スコット
マリトニ・フェルナンデス
ディンディ・ガリアールド
グライデル・メルカド
マリタ・ソベル
ロメオ・リヴェラ
ドン・ペポト
マルス・ラヴェロによる人魚の物語をチャーリン・ゴンサレスで映画化。ヴィルマ・サントス版でも監督を担当のエマヌエル・ボルラサがフランク・リヴェラと脚色のうえ（マニン・ボルラサ名義）、再びメガホンをとっている。
フリオ・ディアスとシャクリン・ホセ演じる夫婦の間にチャリーナ・スコット演じる人魚の娘が生まれ、いじめをうけたチャリーナをジャクリンが海へ逃がす。グロリア・ディアス演じる人魚に救われたチャリーナは美しく成長し、チャーリンが演じるようになって、ガーリー・エストラダ演じるハンサムな半魚人が恋をする。ガーリーを好きなマリトニ・フェルナンデス演じる人魚のいやがらせに、チャーリンが人魚の洞窟を去る。たまたまヨットにいたマット・メンドーサ演じる青年がチャーリンをみかけ、人魚とわかっても愛情が盛りあがって、ビーチにある家へ連れていく。クリスティン・ガルシア演じるマットの前のガール・フレンドはアルベルト・マルティネス演じる愛人がいるにもかかわらず、財産を狙ってロメオ・リヴェラとマリタ・ソベル演じるマットの両親に取り入っている。チャーリンを人魚と気がつくと、アルベルトを使って拉致し、水族館の見世物に売る。マットたちが助けだして海へ返すや、ちょうど人魚の洞窟がダイナマイト・フィッシングで崩れ始める。ガーリーと結ばれて親切になったマリトニが、ディンディ・ガリアールド演じる大ダコの母から魔法の貝を奪い、チャーリンにさずける。この貝の力で脚を得たチャーリンはマットと婚約するも、秘密を知ったクリスティンが改心を装って貝を取りあげ、粉々につぶしてチャーリンを人魚に戻す。そのあまりの陰湿さにマリタもあきれ、クリスティンをみはなすと、一連の流れを母貝のミラーで眺めていたマリトニとガーリーが遠隔操作のマジックでクリスティンとアルベルトを人魚と半魚人に変え、チャリーンを人間にする。
いったいこの話は子ども向けなのか、大人の童話なのか、非常に迷うところ。とにかく残酷シーンがいくつか目立つから、決して子ども用とは判断しかねる。フリオが漁民たちによってボコボコに殴り殺されたり、水族館で芸をしないチャーリンをアルベルトが鞭で打ったり、水族館から救出で銃撃戦を繰り広げ、再会をはたしていたジャクリンが撃たれて車椅子生活になったり、洞窟の落石で大きな岩がディンディの頭に当たったり。
まあ人魚の中にはオッパイをだして泳ぐものがいるから、肌色のニプレスを貼っているのがわかるも、大人のファンタジーなのだろう。
ダイナマイト・フィッシングへの批判は環境問題の現われながら、マットがビール缶を海へ投げ捨てるのは、どこか作者たちが本当に環境問題を理解していない証拠に思えてくる。ピーター・ベンチリーの本を投げ捨てるのは単純にパロディーか。
もっとも興味の焦点はチャーリンのセクシーさだが、これは正直なところ、最初から期待していなかった。女性にとって一番魅力的なパーツであるはずの脚が隠れているからで、個人的に人魚というキャラクターは大嫌いなものの、意外にも嬉しいショットがあった。洞窟と水族館の二度におけるアクロバット・ショー的な泳ぎでもほとんど輝かなかったチャーリンながら、二本脚を得たあとにアマブレ・キアンバオ演じるインストラクターの指導でファッションを改造したり、テーブル・マナーを教わるシーンにおいて、プールのシチュエーションを含むではないか。青いワンピース水着からはみごとなチャーリンの長いおみ脚がバッチリになり、うっとりするほど理想的なプロポーションに視線釘づけ。やっぱり、こうでなくっちゃ。
クリスティンは人間役だけに期待があったが、ベッドでマットに迫るときにスリップのガウンにとどまり、水着女性がいっぱいいるプールにおいて、ひとり水着じゃないからアレレ。マリトニは人魚役なので下半身がそそらず、ディンディにいたってはタコのコスチュームに入ったままで、まったくボディーがみえずじまい。結局チャーリンのワンピース水着のみが誘惑光線を放ったようだ。
なお人魚役にグライデル・メルカド、ミア・プラッツ、アナ・バウティスタ、ルーファ・メエ・キント、スーザン・ロサダ、ドーンリン・ピエテ、ローリーン・パレンシア、半魚人役にジーノ・イルストレ、ロイ・デ・グスマン（ロドリゴ）などの名前が読め、グライデルやルーファはさすがにスターの片りんをうかがわせる。
