（処女の血 隊長）
99年：グッド・ハーヴェスト・アンリミテッド
監督：リコ・マリア・イラルデ
主演：モンソール・デル・ロサリオ
クラウジャ・コロネル
マーク・ヒル
カロイ・“ロガグ”・アルデ
チャーリー・ダヴァオ
ジョルジア・オルテガ
マリネラ・モラン
ヴェヌス・ヴァルガ
ゾルタン・アモーレ
ルスヴィ・ブランコ
おそらく『ゾンビ』や『バタリオン』あたりの影響を受けたアクション・ホラーだろうが、正直なところかなり面白い。モデルとなった元の作品を越えている。
舞台は1849年のパラワンに始まり、マリネラ・モラン扮する山の娘がマーク・ヒル扮する隊長に率いられたスペインの軍人にレイプのあと、無残に殺される。スペイン統治下では当たり前のように起こった事件かもしれず、オッパイをあらわのマリネラにまずドキドキ。その死体から目玉をとりだし、リリア・クンタパイ扮する呪い師が魔法をかけると、隊長の顔がみるみる変貌し、吸血の化け物になる。
舞台が1999年の現代へ移るや、ははーん、あの化け物が蘇るんだなあ、とストーリーの予想がつき、実際その通りなのだが、こういう映画に意外性を求めてもしょうがない。細部にアイディアがあって、演出がきびきびしていれば楽しめるもの。
発掘現場に謎の棺が出土で、関係者が調査を依頼し、欲にかられた一人がきっとお宝を収めるに違いないと勝手に開けると… 黒い帽子に黒いヴェールで顔を隠し、全身黒ずくめの隊長が現われ… 最初の餌食に男から心臓をとりだし、ムシャムシャ食べるシーンはスプラッターの定番なので、とくに感心しない。まずは型どおり、発見者たちがゾンビにかわる。
映画は“隊長”の神話を研究中のチャーリー・ダヴァオ扮する教授がパワランへとやってきて、その助手を演じるのがお目当てのクラウジャ・コロネル。メガネをかけてダサい大学生のキャラづけを狙うものの、美人は美人で、その魅力は下着姿で寝るシーンから隠しようがない。クラウジャには何度か悪夢に悩まされる描写が重なり、その中には例の呪い師も登場で、17世紀の隊長と関係の要素をひめる事実を暗示ながら、この謎は最後までうまく生かされたとはいいがたい。ただし悪夢の内容が全裸でいばらに包まれるポーズから、あの豊満な乳房に葉っぱや蔦がからまり、振りほどくと乳首がモロで、ものすごく卑猥。まさにビンビン誘発の内容でうれしくなる。クラウジャの写真をみた隊長の幻想がそのまま悪夢に変わるシーンでは、シャワーを浴びながら自ら乳房をもんだり、乳首をつまんだりのうえ、陰毛もチラリとのぞき、その陰毛の上に手をあてただけのアップもでてくる。クラウジャのセクシー攻撃に興奮死しそう。また教授が宿泊するホテルのマネージャーをジョルジア・オルテガが演じ、彼女がレズとの設定で、クラウジャと女同士のラヴ・シーンを繰り広げるのも拍手。プールに落ちて上着を脱がせるとクラウジャの乳房がポロッと全開のうえ、ベッドではパンティー一枚のクラウジャのボディーにハチミツをたらせ、乳首やお腹をペロペロなめるから、みているこちらは我慢できない。欲をいえばエキゾティックなジョルジアのヌードも、実は以前よりずっとおがみたかったけれど、なかなか期待にこたえてくれない。まあ、クラウジャだけで１２０％満足なので、それ以上望んだらバチが当たるか。さらにホテルのスタッフの一人を演じるヴェヌス・ヴァルガにもセックス・シーンが用意され、騎乗位でもだえるところをうしろから撮った半ケツのあと、前にまわって乳房が丸みえ。もっとも、どうしても巨乳かつ美乳のクラウジャと比べるため、乳首がついている位置などイマイチに思えるのはお気の毒。これらのセクシーなシーンはアクションに彩りを添えるばかりでなく、単純なストーリーに起伏を与え、進行的にいらないといえばそれまでだが、決してムダではないと感じる。
個人的にはクラウジャのヌードのみが、本音をいうと目的なのだから…
主人公はアクション・スターのモンソール・デル・ロサリオで、教授を発掘現場へ案内することで事件に巻きこまれる。まずゾロゾロ襲ってくるゾンビたちから逃れて倉庫に立てこもるあたりが、なかなかのサスペンス。教授がゾンビになったところを隊長が心臓をえぐる展開も、それなりにショック演出に成功といえる。その倉庫からの脱出劇もハラハラもの。
ホテルでモンソールがクラウジャと合流のあと、一緒に亡くなった教授の資料を調べるのはよいが、いつ恋が芽生えたのか強引な設定でラヴ・シーンに発展し、またもクラウジャが乳房をボヨヨーンと露出。もうステキ、大好き、狂っちゃいそう。
隊長はホテルも襲ってきて、ジョルジアやヴェヌスが殺されるのは定石パターン。ルスヴィ・ブランコ扮するヴェヌスの幼い娘を連れたモンソールたちはゾンビの群れをかきわけて逃げる。ショット・ガンで撃つばかりでなく、モンソール得意の肉体アクションがプラスだけど、相手が人間でないため、すぐに生きかえってくる。さあ、これをどう退治か、というわけで、サスペンスが徐々に高まってクライマックスを築き、とにかくラストまで十分に持続。リコ・マリア・イラルデ監督の力量はかなりのレヴェルと評価できる。
最後のやっつけかたにも、それなりにアイディアが盛りこまれる。
確かに特殊メイクやＳＦＸなど、予算の関係もあってちゃっちいかもしれないが、だからどうなの、とほとんど気にならない。Ｃ級ホラー・アクション（なんてジャンルの区分けが仮にあるとして）ではトップにランクの作品だと断言したい。
まったくフィリピン映画はあなどれない、と再確認の次第。
