ＤＵＤＵＲＵＧＩＮ　ＫＯ　ＰＡＴＩ　ＢＵＴＯ　ＭＯ！
（お前の骨まで切り刻んでやる）
　
01年：フォワード・グループ（日本）、トゥルー・カラーズ・フィルム・プロダクションズ
監督：ジェリー・Ｏ・ティラソナ、ジャッキー・ウー
主演：ジャッキー・ウー
　　　 ジョン・レガラ
　　　 アヤ・メデル
　　　 アリオーナ・アモール
　　　 ルー大柴
　　　 塩田泰久
　『ＴＯＴＡＬ　ＡＩＫＩＤＯ』の続編である。日本のフォワード・グループとフィリピンのトゥルー・カラーズ・フィルム・プロダクションズが製作なので合作だろうが、フィリピンでは２００１年８月に封切られたものの、日本では劇場未公開のままのようだ。
　共同監督を兼ねるジャッキー・ウーを主演に、あのダンシング・クンフーとでも呼びたい、音楽に乗って軽やかなステップを踏みながらファイトのワザは今回も健在で、けっこうワクワクさせるから、たいしたもの。
　舞台はセブになり、その美しい海岸風景だけでなく、人々の暮らしぶりにも目を向け「ここにはここの生活があるようだな」との台詞をジャッキーにいわせるあたり、フィリピンの多様性を認めようとの姿勢が評価できる。ジャッキーはビーチ・リゾートを計画中だが、現実の開発業者が彼みたいな営利優先ばかりでない姿勢の者ならホントにいいのになあ、と思ってしまう。実際は大手の日本企業が乗りだそうものなら、ロクなことにならない。
　まあ、覚せい剤取り引きに手を染めるシンジケートがジャッキーのジャマに入るのは、また同じような展開。死体をさらして現地ののろいのウワサを利用を、ジョン・レガラ演じる亡くなった妻の兄と、塩田泰久演じるマニラで合気道を教える親友の協力を得て、壊滅させるわけである。
　続編にありがちな無理が目立つのは、アヤ・メデル演じる妻と瓜二つの女性が登場することで、双子じゃないんだからとあきれるばかり。ジョンがアヤとつき合っているジャッキーをみて「なんで妹とそっくりの女性と」と怒りだし、絶交をいいわたす心理にも説得力がない。
　またジョンがセブへ向かうフェリーの中でアリオーナ・アモール演じる女性とフランコ・ゲレノ演じるその友人の男性を助けるものの、罠であることが丸わかりで、これは最初からバラしておこうとの意図だろうか。
　ルー大柴演じる、日本人観光客にたかる男がワルとわかる設定は、まったくといっていいほど生かされない。
　塩田が指圧で人間をコントロールする秘術があることをジャッキーに伝え、アリオーナからジョンがそれにかけられ、ジャッキーをやっつけにくるあたりはラスト近くまで引きずるかと思ったが、あっさり正気に戻り、今度はジャッキーがかけられるや、フリをしていただけとの展開も肩透かし。塩田と対決で直るのかと期待したのだが。
　そんなわけでセブの名所の一つである道教寺院での対決はイマイチ盛りあがりに欠け、もう少しアイディアがほしかったなあ、というのが率直な印象。
　もっとも合気道の精神は今回も語られ、冒頭に加藤隆之演じる塩田の弟子とジャッキーが対戦のところで「キミはまだ大切なことを学んでいないようだな」と禅問答っぽいやりとりなど、フィリピン人にどの程度伝わるのか興味がわく。塩田のジャッキーへの「お前は前へ前へとでる傾向があるが、ときには一歩引いて、じっくりみることも必要だ。そうすれば今までみえていなかったものがみえてくる」とのアドヴァイスは、合気道のみならず、生きるうえでの大切な要素の一つとも認識できて、ついついうなずく。フィリピン人というより、アメリカ人に聞かせてやりたいもの。どうせ理解できないだろうが…
　ほとんど珍品的な作品ながら、ちょっとした台詞のよさを買う。
　終わってみれば香港映画じゃないが、ＮＧ集のサーヴィスも入り、楽しむ気になれば、楽しめる作品なんじゃないか。
　さてアヤに加えてアリオーナまでプラスだから、セクシー・シーンの倍増を予想したのは正直なところ。強引な設定まで設けて出演のアヤだが、ヌードがないのはオイオイオイという感じ。でもラプラプ像の前などセブ・シティーを歩くときのジーンズや黒いピタパンがピチッと決まるし、水上ジェット・スキーにきょうじたり、ビーチで戯れる際のビキニ、プールで泳いだあとに濡れてあがってくるビキニがともに大胆なタイプなうえ、お尻をゆすりながら歩くポーズなどオッといわせる。ラストでオッパイをプラプラ揺らせながら駆けつけるシャツとジーンズ姿にも目がテンになる。
　さすがアヤ。
　アリオーナはジョンとベッドをともにする状況がでてくるのに、黒いワンピース下着以上に脱がないのが意外。それでもフェリーのシーンでの黒いピタパンにそそるボディー・ラインをうかがわせ、ホテルのレセプションでジョンと会うときのバストを包む光沢素材のタンク・トップが刺激的。ジャッキーにクンフーで蹴りを入れようとしてお尻をポンと叩かれ、倒される際の黒いピタパンも色っぽいが、最後にジョンと対決のシーンで、光沢素材の黒いピタパンなのは、好みのファッションだけに悩殺される。
　アリオーナにもそこそこ満足。
　やっぱり、みたかいのあった作品だ。