ＤＲ．Ｘ　ＯＮ　ＴＨＥ　ＡＩＲ
　
98年：ファルコン・フィルムズ
監督：フェリックス・ダライ
主演：レオ・マルティネス
　　　 デイジー・レイエス
　　　 クリセルダ・ヴォルクス
　　 　アリシア・レーン
　　 　ダニー・“ブローニー”・パンサリン
　低俗なセックス・コメディーである。低俗というのは決してけなしているわけじゃなく、エロ・グロ・ナンセンス、いやグロは好きじゃないが、エロとナンセンスは大歓迎。ようは、いかにくだらないかを評価したい。
　でまあ、これは次第点にやや達せず、なんてところだろうか。
　レオ・マルティネス演じるセックス・カウンセラーのラジオ番組が大受けし、レオのしゃべりで性的興奮をかきたてられた女性リスナーが急増する。本を出版でもベスト・セラーになるが、レオによって妻からのセックスの強要にへきえき状態のコンラッド・ポー演じる夫が、ボーイ・ロケ演じるヤクザに頼んで良俗を乱すと反対運動を起こさせる。またラジオ局を脅迫のうえ、ついにはレオの拉致におよぶものの、警察の出動で一件落着。一方でレオはラジオのしゃべりとは裏腹に妻をイカせることができず、妻は欲求不満を感じていた…
　との内容で、ストーリー自体はハチャメチャなわけではない。ギャグのほうもミニ・スカートの中を足の先に鏡をつけてのぞこうとする、ベルティン・ラブラ演じる田代まさし並みの低級スケベのプロデューサーがいたり程度で、とくに爆笑を呼ぶギャグはない。ルシタ・ソリアノ演じる母からオカマのごとく、エルニー・サラテ演じる将軍の父から体育会系的に育てられ、実はレオがマザコンだったと告白のラストも、もっと面白くできたんじゃないか、といささか残念。
　ナンセンスの部分では落第である。
　でも登場する女性たちを次々と、前かがみになったときのシャツの奥から乳首がのぞきそうな胸の谷間を撮ったり、スカートからパンティーをちらつかせたり、下着を濡らせたりで、フェリックス・ダライ監督などスタッフがどこまで意識においたかはわからないが、それこそ田代まさし以上のドスケベぶりをうかがわせ、エロ部分はなかなか好みだと嬉しくなる。
　とくに興奮をくれたのはイナ・アレグレ演じる主婦で、掃除や洗濯のときのチラリズムにワクワクもの。子どもを抱きながら料理のショットでは、ポロンとオッパイ丸だしに、思わずアッと声をあげそう。パンティーをはいたままシャワーを浴びるシーンになると、濡れてパンティーが貼りついたスケスケのお尻のアップにはじまり、タプタプ揺れる乳房で視線を奪ううえ、パンティーに浮きあがる陰毛の黒ずみまでバッチリ。裸のまま歯磨きをすれば、その歯ブラシで脇の下や陰毛をゴシゴシ。フェロモンがプーンと漂ってくるのも納得の次第。夫（セックスの相手はすべてイメージでレオが演じている）の前でボディーをくるんだバス・タオルをほどいてはチラッチラッ、とオッパイをおがませ、これは悩殺もの。
　次にビンビンなのがヴェロニカ・ヴェロン演じる主婦で、とにかく巨乳だから、プルンプルン揺れる光景にドキドキを誘発。シャツを脱ぐと寝転がって片手を両乳房にあてて乳首を隠しながら、もう片手でスカートをおろしていくポーズが、身体のエロティックなゆすりかたも手伝って実に刺激的。もちろん乳首はちゃんと露出だし、アップにも迫って、もーう、吸いつきたい。
　でもイナやヴェロニカはそれほど美形じゃないので、ちょっと不満が残る。夫からの相談のエピソードで妻を演じたアリシア・レーンは、そこそこかわいさに期待が高まったが…　身体に巻いたバス・タオルをほどくときに乳首がみえそうになって誘惑ガーンなものの、スケスケのスリップがもう一つスケていないし、水をかけられてオッとうなったのに、ボディーにピタッと貼りつくショットが存在しない。オイオイ、ダメだよ、もっとスケベ根性をだしてくれよ、とナヨナヨの感じに終わる。
　黒いスリップ姿をみせるシンディー・モレノは、オマケ程度の扱い。
　それでストーリーにからんでくる役柄にあたる、コンラッドの妻を演じたクリセルダ・ヴォルクスだが、スリップで眠るシーンに始まり、泡風呂に入ったり、シャワーをあびたりも、乳首が一瞬チラッとみえたり、横チチがうかがえたりする程度の露出。いつものクリセルダより、ずっと控えめにアレレ。まあ大胆ならヌケるわけじゃないが、これだと個人的にもっとエロっぽく撮れるぞと演出を代わりたいほどで、ポルノじゃないから我慢しよう。
　肝心のレオの妻を演じたデイジーだが、やはりスリップの寝姿で登場し、ラジオを聞きながら悶えるシーンで布団から下半身をだすと、ヒップラインを意味深にクネらせる。ああ、これでお尻に貼りついたパンティーならドピューッものの感動だったろうになあ、と想像にふけりながらも、シャワー・シーンに変わり、パンティーをスルスルッと脱ぎ捨てるショットが…　なのに、続くシャワーを浴びるショットでは下のほうにパンティーをはいたままがのぞき、ちゃんと撮影に注意してよ、とシラけがもたげる。でもブラをパラッとはずす瞬間など、あっ、デイジーが上半身裸に、と鼻息が荒くなるし、一人でシャワーを浴びる設定において、ブラをとったあと乳房を手で隠すのはヘンだろう、なんてモヤモヤを感じつつも、乳首がみえる寸前の角度から乳房をゴシゴシ、それも石鹸をあててモミモミ洗う光景には、あのデイジーが…　と考えるだけで頭がパーになりそう。
　とはいえラストのデイジーとレオとのセックス・シーンなど、撮りかたに工夫がほしいぞ、と叫びたくなるほどで、エロの部分も大切な女優の描写には甘さが残る。
　だからこそ、映画は次第点にやや達しなかったわけである。