（エリック・マッティ作品 ダブル・エックス）
01年：ＶＩＶＡフィルムズ／エリック・マッティ・プロダクションズ
監督：エリック・マッティ
主演：リカ・ペラレホ
マーク・アントニー・フェルナンデス
ラヴェン・ヴィリアヌエヴァ
セルソ・ＡＤ・カスティーリオ
ジョン・アルシーリア
エリック・マッティはますます映像センスをあげてきたかもしれない。Ｊ．Ａ．タデナの撮影も手伝い、原色がでるように意識したコントラストの強い画面設計や、背景にざわつく雑音をたくみにとりこむサウンドなど、鮮やかなもの。ルード・デ・ヴェヤラの気だるいジャズの調べもプラスで、冒頭の退屈な日常の雰囲気から、いかにもムードを五感的に伝えてくる。
またラストで破滅に追いこまれた主人公の男女のそれぞれのアップにマニラの遠景を挿入のカットなど、このようなドラマが都会のどこかで今も起きているかもしれませんよ、とのメッセージを自然な流れの中で感覚的にイメージさせる。
網戸に虫がとまっているところをカメラの移動の途中にさり気なくインサートや、細部へのこだわりにも、やってるなあ、とうならせる要素がちりばめられる。
それに生活風景において、マーク・アントニー・フェルナンデス演じる小ガネを貯める若者が、リカ・ペラレホ演じるＧ．Ｒ．Ｏ．にホレるのだが、マークの部屋が映画館のスクリーンの裏側にある設定が面白い。ここには同時にラヴェン・ヴィリアヌエヴァ演じる女性が夫と住み、ラヴェンがマークを誘惑するものの、うまくいかず、夫とのセックスをマークにみせつけたり、マークがリカを連れこんでセックスに発展を、保護者が同意を示すごとくラヴェンが笑みをうかべてながめたり、奇妙な空間をつくっている。上映中の映画のアクション・シーンを背後に反射させながらのセックスなど、はったりのきかせすぎとも感じるが、十分に興味を引きつける。
さすが。
ただし、肝心の人間描写で納得がいくだけの表現かというと、いささか不満の残る結果。マークがディスコ・パブの楽屋まで入ってリカを誘ったことにジョン・アルシーリア演じるマネージャーが腹を立て、殴り合いになるは当然ながら、拳銃をぶっ放すあたりは、いくらフィリピンでも現実的じゃない。しかも逃走をはじめ、たまたま持ってでたカバンの中に大金が入っていために組織から狙われ、リナ・レイエス演じるリカの同居人にカネをみつかるや、何とか盗んだんじゃないと組織に伝達を試みる過程で、またもやドンパチ。とくに電気店でのやりとりにおいて、オーナーが殴りかかってきて商品のテレビが破裂のハデさなど、ホントにこんなことするかあ、と疑問しか起こらない。アクション・シーンではカメラが手持ちで迫力を盛りあげようと動き、あんたは深作欣二なんて印象も残る。
それにしてもすぐに暴力に走る直情型の人間ばかりなのは、ちょっとフィクションすぎないか。
さらにはリカの気の強さとマークのひ弱さは二人の容貌や演技も活用でたくみに描かれるが、ついに決心のマークがボスのところへ贋金を持っていって銃撃戦が勃発の展開は、いとも簡単にボスがやられるので、オイオイとあきれるばかり。この面会シーンのバックや、銃弾が破裂のときのスローモーションのカットつなぎに『幻想交響曲』などの音楽をかぶせる手法も、気どりというか、インテリぽさばかりが鼻につく。
大体、この程度のストーリーで二時間は、後半が相当につらい。エリック監督にすれば以前の『ＥＫＩＳ』と比べ、フィリピン社会の問題点に迫ったとの要素では後退だといわざるをえない。
ようはセンスばかりで、中身がイマイチの作品と指摘できる。
ちなみに映画監督でもあるセルソ・ＡＤ・カスティーリオが特異な個性をいかし、ボスを怪演する。
まあ、内容よりも個人的な興味の焦点はリカだから、彼女の魅力がどうかの角度では、これまでの彼女の全出演作の中で最高のレヴェル。Ｇ．Ｒ．Ｏ．を演じると聞いただけで、みる前からムラムラ妄想がかけめぐったが、実際には期待以上だった。赤い下着姿で網タイツをはくカットや、超ミニと網タイツでモンロー・ウォークなど、うーむ、きっとかなりやってくれるぞ、とドキドキときめきをおぼえたあと、マークが初めてみかけるステージ・シーンでは、他のダンサーたちと一緒に登場し、赤いビキニで身体をくねらせる。画面の照明がチカチカちらつくのは演出効果だろうが、かえってボディーがみえづらいぞと不満。でも、さすがにセクシーだわい、と拝んでしまう。
もちろん、この程度の露出では終わらなかった。二回目のステージ・シーンは単独でたっぷりと踊り、爆発ものの感動。またもチカチカだし、カットつなぎが短いのはアートな表現を意識におくエリック監督（店のＤＪ役も担当）のテクニックかもしれないが、こんなところにセンスのよさなどいらない。落ち着いてリカのハダカを堪能させてよ、と先に文句だけ述べておこう。
いきなりお尻に食いこんだ白いＴバックのビキニ下着で現われるや、アクロバティックなダンスをくり広げ、こりゃもうお尻なんて丸だしも同然。シチュエーションが変わってムーディーな音楽が流れ、ステージの上からシャワーがふってきて、濡れたボディーでしっとりと誘惑をくれる。まさかと驚かんばかりの水のしたたるお尻のドアップに、ひょっとしてアラ・ミナをしのぐフィリピン・ナンバー１、いや世界ナンバー１の美尻かと思わせたあと、ブラに手をかける。いよいよ乳房全開かと条件反射でよだれがたれはじめ、正面を向いて片手でうまく両乳首を隠しながら、もう片手ではずしたブラを回転させる。
もう、リカったら。
ステージに白い布がおりてシルエットに転じ、えっ、これで終わりなの、と一瞬不安がよぎるも、横移動でカメラが布の奥にある鏡をとらえ、そこにはトップレスで踊るリカが映る。乳首丸みえで、ドバーッ。
約五分間のステージ・シーンは、映画の99％くらいを占める価値を放つ。
ずっとこのまま永遠に、いつまでも、いつまでも、いつまでも、いつまでも、いつまでも、いつまでも、みつづけていたい。
ああ、どうしてこんなに素敵なの。
さらにマークとのセックスのシーンで、つきあげるキュートな横尻のラインで視線を奪い、またも理想的な形のオッパイが「なんでそこにあるの」状態で、しびれを覚えるほどのときめきを与えてくれる。後半の逃走におけるピタピタのパンツ・ルックも刺激に満ち、リカ、リカ、リカ、リカ、リカ、大好き。
ほかにラヴェン・ヴィリアヌエヴァも、けっこうかわいいし、ポロンとオッパイを露出に、これまた嬉しいところ。
とにかくリカの五分間の夢のごときステージ・シーンを、何度でも食い入るようにながめていたい作品である。
