ＤＯＯＭＳＤＡＹＥＲ
　
00年：ＡＢＳ−ＣＢＮエンターテインメント／カントリム・エンターテインメント／イーグル・ピクチャーズ／ロードランナー／マイケル・セラーズ・プロダクション
監督：マイケル・ジョン・サーナ
主演：ジョー・ララ
　　　 ウド・キアー
　　　 ブリジット・ニールセン
　　　 ジャヌアリー・イサアク
　　　 アレクサ・ジャゴ
　　　 ＴＪ・ストーム
　　　 ラフィル・イスヤノフ
　　　 ペイジ・ローランド
　　　 ダニエル・マギサ
　　　 レーモンド・バガチング
　ＡＢＳ−ＣＢＮが制作のアメリカ映画で、チャロ・サントス・コンショの名前がエグゼクティヴ・プロデューサーにあるから、合作と推測される。フィリピン大学の映画研究会の作成による自国の作品の封切りリストを調べるに、２０００年、２００１年に題名がみあたらず、フィリピンでは外国映画あつかいと考えられる。ちょうどサンリオが制作の『戦場の小さな恋人たち』や角川が制作の『ルビー・カイロ』みたいなものだろうか。タイトルのだしかたはエンド・クレジットが明らかにフィリピン映画のそれで一般的なアメリカ映画とは異なり、やはりフィリピン資本をうかがわせるし、レーモンド・バカチングの特別出演など、フィリピン映画そのもの。ただしメキシコ・ロケのようで、メキシコ人のエキストラが目立ち、スペイン語の台詞が聞かれ、メキシコとの合作かもしれない。まあ、はっきりしたことはわからないながら（調べたら、フィリピンとイタリアの合作のようだ）、これまでのＡＢＳ−ＣＢＮの合作『ＧＯＯＤＢＹＥ　ＡＭＥＲＩＣＡ』や『ＬＥＧＡＣＹ』、アメリカとの合作『ＶＩＴＡＬ　ＰＡＲＴＳ』のように舞台をフィリピンに置かない点が特徴をなす。興味の中心はジャヌアリー・イサアクの出演になり、おそらくサンドラ・ゴメスから改名後、最初の仕事じゃないだろうか。実に小柄なジャヌアリーが大柄な白人を相手にきびきび鋭いアクションをいかに決めるかだが…
　旧ソ連邦を思わせるキリル文字の読める国から核兵器が横流しされ、大ガネもちがこれを買って、世界制覇をたくらむ。プロトコル23という核兵器の不法な拡散の捜査にあたる国際エージェントが活躍し、陰謀を阻止との物語。典型的な核保有国のごう慢な連中がつくった内容をにおわせる。ちょっと００７シリーズに通じるイメージでもある。ジョー・ララ演じるエージェントがペン型ミサイルの新兵器をもらうところなど、さながらジェームズ・ボンドとＱにそっくり。ストーリーはジャヌアリーがかつてのジョーの恋人で、今はダニエル・マギサ演じる科学者の妻なのだが、ダニエルの爆殺によって犯人の背後にいるウド・キアー演じる黒幕の命をつけ狙う。一方のジョーは正面からウドに近づき、ジャヌアリーの狙撃を救ったきっかけで信頼を得て、核研究の基地へ迫ろうとする。宗教対立を軸にすえる反米網との対戦ならまだしも、フランスの富豪の権力欲が原因では、バカバカしいことこのうえない。だから七日間とタイムを区切ったサスペンスの中、わざとつかまったジャヌアリーがあやうく実験台のえじきや、生きていたダニエルの犠牲によって核ミサイルを発射寸前で停止など、いかにもフィクションとして手堅くまとめた以上の迫力を呼ばないのが残念といえる。正直、イマイチの作品。
　それでジャヌアリーだが、ほとんどを黒づくめのピチピチ衣装で動き、まずまず視線を引きつける。メキシコのバーでの銃撃戦における黒いピタパンで魅力を発散のあと、カジノのあるウドのクルーザーへ海から潜入のとき、ウドの邸宅へロケット砲を放つとき、ＴＪ・ストーム演じるウドの部下と格闘のときなど、プロポーションくっきりに暴れる。バイクでの追跡後にみせる不敵な表情も捨てがたい誘惑。でも『００７／トゥモロー・ネバー・ダイ』のミシェル・ヨーほど輝かないのは、こじんまり型のボディーのせいだろうか。得意のとび蹴り、まわし蹴りで頑張っているものの…
　とにかく全裸のベッド・シーンがあるのは特筆にあたいする。実際、ジャヌアリーが脱いだと知って、そこだけを楽しみにみたのが本音。ジョンの回想のセックスで抱き合い、身長差の大きいジョンの体に乗ったり、乗られたりで、巧みに腕の位置によって乳首が隠れ、チラリとうかがえれば肌色のニプレスがわかるながら、なんといっても素っ裸だけにワンワンのポーズで斜め横からのお尻が丸みえ。ギョロっと目が大きく、それほどタイプじゃない女優なのに、やはりハダカにはカッカ興奮を抑えきれない。いや、ジャヌアリーがすっぽんぽんだとの情報を得て、すでに映画の鑑賞前から想像で勃起したほどで、ファンだったんだなあと自己認識の次第。
　大胆さではロンドンでジョンのパートナーとなる女性役のアレクサ・ジャコのほうが上をいき、バイクをおりて黒いレザーを脱ぐと銀ラメのピタパンに変わり、キュッとヒップラインを浮かべて挑発のうえ、ジョーに迫る室内で全裸のうしろ姿にモロのお尻がカッコいい。ただしアメリカ白人顔なので、個人的にセクシーさが半減する。
　ウドの妻役にはブリジット・ニールセンが出演。いつもの長身にボーイッシュなショート・カットで色気を放つも、さすがに年をとった印象は否めない。『ドミノという女』の頃のチンポをビンビンに刺激のフェロモンはどこへやら。
　あとプロトコル23の指令部にいる秘書役のペイジ・ローランドがいわゆる西洋の美人にあたり、そそるシチュエーションを欠くのが惜しかった。

※　この作品は『ドゥームズデイヤー』の題名でヴィデオ発売されたことがある。