徹底した反日姿勢がリッパだ！
韓国／独立記念館
独立記念館は、韓国のほぼ中央にある。ここは韓国で、絶対の行きたいスポットの一つであった。教科書の侵略記述を改めない日本に腹を立てた韓国が、かつての日本軍による残虐行為を蝋人形にして展示している。それは血生臭い、スプラッター映画級の光景が再現されているという。
見るしかないでしょう。
我ら、元祖パルパロ富田、フェロリン杉浦、不肖・林の反日施設見学好きの三人は、山の中にあるから適当な定期交通手段が見つからず、ソウルに住む友人のクォンさんに連れて行ってもらうことにした。
「どうして、そんなところへ行きたいの。民俗村とかロッテワールドとか、いいところは他にいっぱいあるでしょうに」
との問いかけに対し、
「めぼしいところは全部行っちゃって、残るのは独立記念館だけなんです」
と説得し、承諾をとりつけて。民俗村もロッテワールドも、実は行ったことなかったのだが…
高速道路をクォンさん自慢のデボネアでとばし、約二時間半ほど。駐車場から正面の門をくぐり、広大な中庭の向こうにそびえる独立記念館の本館は、予想をはるかに上回るバカでかいものだった。駐車場には観光バスが何台も並び、教師に引率された学童たちが列をつくって歩いている。聞けば韓国では、中学生くらいのときに必ず一回はここを見学させられるという。なるほど、人生のいちばん多感な時期に反日感情を仕込んでいるわけか。なかなか、よくやっとるわい。
正面玄関には、これまた三メートル以上はあろうかと思われる韓国の国民的英雄の像が三体、その威容を誇っている。中央には、やっぱりこの人、安重根。ソウルの安重根記念館に入って以来のファンである我々は、さっそく像と同じポーズで記念撮影。
残りの二体も、当然ながら抗日運動の獅子たちである。国民的英雄の全員が日本に殺された人たちという、この一貫した韓国の精神が大好きだ。中の一名は僕もその名を知らない人物で、昭和天皇が訪韓した際に弁当箱でつくった手製爆弾で暗殺しようとし、誤って滑って転び、爆死してしまった人とか。
日本国民がみんな尊敬している
歴史上の人物は誰ですか？
展示物は、とにかく朝鮮半島の歴史を先史時代からひもとく、正直なところリッパな内容であった。好太王碑文の実物大レプリカ、白村江の戦いの再現など、興味を引きつけられるものばかり。さすがの良識派を自認する（？）クォンさんも、自国の歴史を振り返っていると愛国心がにじみ出るらしい。いろいろと僕らに質問してくる。朝鮮出兵のところへ来て、豊臣秀吉の肖像画を指さし、
「この人の日本での評価はどうですか？」
「さあ？ 晩年は悩軟化症だったっていうしね」
と覚めた僕ら。
合戦する加藤清正の絵を指さし、
「この人はどうですか？」
「どうかなあ。熊本じゃ人気があるかもね」
クォンさんは納得してないようだが、それ以上つっこまずに先へ進む。征韓論のところへ来て、西郷隆盛の肖像画を指さし
「この人はどうですか？」
「さあ？ 鹿児島じゃ人気あるんじゃないの」
ますます納得いかない様子のクォンさん
日韓併合のところへ来て、暗殺される伊藤博文の絵を指さし、
「この人はどうですか？」
「うーん？ 千円札の肖像画からも下ろされちゃったしね」
ついにクォンさんが、こう質問してきた。
「では日本で、みんなが尊敬している歴史上の人物って、いったい誰ですか？」
「えっ？」
僕らはハタと戸惑い、困ってしまった。
「そんな人物は……、
いないよね」
そう、どう考えてもいない。戦前には偉人とされた楠木正成にしても乃木大将にしても、
今やその評価は地に落ちている。これが民主化ということかもしれないが…
もっとも僕らにすれば、暗殺された伊藤博文のことなどどうでもよく、興味は暗殺した安重根のほうにある。指が一本かけていたという、その手形の展示を見ながら、
「これをＴシャツにプリントしたら、売れるよね」
などと不謹慎なことばかりいっている。
この感情むき出しの
愛すべき展示館
そうこうするうち、ついにハイライトにやってきた。虐殺コーナーである。
「ここか、ここか」
と日本語で大声を出して騒ぐ僕ら。
日本語の響きを聞いて、驚いた周囲から返ってくる視線が、あからさまに冷たい。
「オイオイ、まずいぞ」
でも、気にしない。
展示はさすがに残酷なので、おおっぴらだと刺激が強すぎると思ったのか、窓から覗い
て見ることになっている。内部の赤い照明が、より異様な効果をあげている。銃剣の先を
女性のはらわたに突き刺す日本兵の姿を見ながら、
「すげえ、すげえ。実際はもっと残酷なことをやったぜ、きっと。何たって、帝国陸軍だぜ」
と僕らはハシャギまくる。完全に周囲のムードぶち壊し状態。韓国の見学客たちも、あきれて文句もいえないといった感じ。
「いやあ、それまでは歴史に関する品々を冷静に展示してきた素晴らしい博物館なのに、ここだけ感情むき出しでいいよねえ」
と訳のわからない感動もしている。
最後に土産物コーナーに寄って、
「弁当箱爆弾のオモチャとかキーホルダーはないのか」
「安重根の手形Ｔシャツはないのか」
とあくまで騒ぐ僕らの対し、きっと内心クォンさんは「連れて来るじゃなかった」と後悔していたことだろう。
とにもかくにも、来てよかった。期待を裏切らないスポットだった。
帰りにクォンさんへのお礼もこめ、チョナンのネンミョン屋によってクォンさんオススメの全身ごと火事になりそうな極辛ネンミョンを食べ、オニャンで温泉につかってきた僕らであった。
