ＤＥＳＰＥＲＡＤＡＳ　　ＡＬＬ　ＴＨＥＹ　ＮＥＥＤ　ＩＳ　ＬＯＶＥ
（投げやりな女たち　必要なのは愛）
　
07(08)年：リーガル・エンターテインメント／リーガル・マルティメディア
監督：ジョエル・Ｃ・ラマンガン
主演：ルッファ・グチェレス
　　　 ルーファ・メエ・キント
　　　 イサ・カルサド
　　　 マリアン・リヴェラ
　　　 ウェンデル・ラモス
　　　 ジェー・Ｒ
　　　 ＴＪ・トリニダッド
　　 　ウィル・デヴォーン
　　　 ルイス・アランディー
　　　 ライアン・アイゲンマン
　　　 ノヴァ・ヴィリア
　題名から察するにアメリカ合衆国のＴＶシリーズ『デスパレートな妻たち』を意識におくと思われるが、個人的にアメリカ合衆国のＴＶドラマに興味はないし、みる気もないので、どんな影響かを比べることができない。でもジョエル・Ｃ・ラマンガンの監督作であり、ルッファ・グチェレス、ルーファ・メエ・キント、イサ・カルサド、マリアン・リヴェラの共演となれば、期待せざるをえない。
　冒頭にノヴァ・ヴィリアのナレーションで母親のマーゴットの男性遍歴が語られ、四人の男性との間に四人の娘を産んだ説明で、それぞれバックに娘役となるルーファ・メエ、イサ、ルッファ、マリアンの少女時代のプライヴェート写真がでてくるのが興味をそそる。あとでマリアンの役であるコートニーの父親のアントニオは、ＣＭ撮影の現場へコートニーがプロデューサーの父を訪ね、オカマっぽい父に「セックスなしはイヤだ」というシーンで、演じるチャーリー・ダヴァオが顔をだすが、ルーファ・メエの役であるパトリシアの父親で、ビジネスマンとの設定のフィリップや、イサの役であるステファニーの父親で、役者との設定のエミール、ルッファの役であるイサベラの父親で、将軍との設定のポルフィリオは、演じるエルニー・サラテ、エミール・サンドヴァル、ボン・ヴィバルが写真のみの出演になる。
　高級住宅地に並んで建つ四棟の一軒家に暮らすミドル・クラスに属する、四名の種違いの姉妹がくり広げるドタバタ劇。
　セックス・カウンセラーで作家のイサベラは、幼い息子のピーター（ポール・ヴィンセント・マグボホス）がいるが、夫のデーヴ（ウェンデル・ラモス）とセックスに励むも、デーヴがイサベラの欲求をもてあまし気味で、しかも友人のマンディー（ルイス・アランディー）とホモなのを発見する。弁護士のステファニーは子どもがほしいのに、医者の夫のリチャード（ＴＪ・トリニダッド）が疲れてすぐ眠り、大人のムードの演出にも反応せず、セックスレスに悩む。シングル・マザーのイサベラは、幼い娘のアレクシス（ソフィア・マリア・バアルス）を育てつつ、アレクシスの父親のニック（ＪＲ・ヴァレンティン）を避け、歌手でモデルのヴィート（ジェー・Ｒ）とつき合うが、ヴィートの求婚を断わり、自由を優先のかたわら、経済的な危機にひんする。未婚のコートニーは恋人のパトリック（ウィル・デヴォーン）とラヴラヴなのに、愛犬のチチのほうをもっとかわいがり、ヒンシュクをかう状況。とのキャラクターづけで、四人ともが強烈な個性を発揮し、とくにガードマン（ギルバート・ゴンサレス）にくってかかり、駐車場のポールを突破で破壊といった自己中心的なイサベラや、他人の迷惑に無神経なコートニーなど、本来は不愉快な人物のはずなのに、あまり腹が立たないあたりがジョエル・Ｃ・ラマンガンの表現のうまさ。
　イサベラとヴィートがヨガのまねごとでパトリシアをけむにまいたり、コートニーが体重計に乗って、増えた驚きで住宅街へ大声を響かせたり、ウィルの家にきての食事でステーキをチチに与え、犬アレルギーのウィルの母（ジーナ・アラハル）が失神にウィルの父（ティルソ・クルース・３世）が大あわてや、デーヴがパトリシアのもちものに大人のオモチャをみつけたり、ウィルのバスケット・ボールの観戦で、コートニーがウィルを応援の女性が三人いるのを気にし、チチがコートへ飛びだして試合を中断させたり、イサベラがセックス・ライフの解説を書いた自著の宣伝でＴＶのトーク番組に出演で、ホスト（メンゲー・コバルビアス）との話が終わるや、本をうるさく批判の観衆の女（マルー・クリソロゴ）と本番中にとっくみ合いのケンカをはじめたり、父親のいないことでアレクシスがイサベラに「処女マリアなの」と聞いたり、いよいよ結婚のコートニーが会場の教会を間違い、異議を叫んだので花嫁（Ｉ・Ｃ・ヒリアネス）が花婿（エドセル・アルカ）をビンタなどの珍シチュエーションで笑わせながら、不自然なネタが妙に浮かないあつかいがさすが。
　自分でプロポーズを拒んだにもかかわらず、ヴィートに恋人の存在を察すると、ヴィートの携帯電話を床へ投げる剣幕でイサベラが怒るのに、フィリピーナらしい嫉妬がうかがえる。
　イサベラがオープンのスポーツ・タイプの高級車に乗り、ステファニーが知的なイメージのジェームズ（ライアン・アイゲンマン）と知り合うのが画廊で、絵画の話題で意気投合や、夫の精力不足を女医（イダ・プマレホス）に相談したり、衣装や装飾品を処分のパトリシアがルイ・ヴィトンの値踏みを考えているのが上流のあらわれ。
　お手伝いを雇うのは上流でなくともだが、ステファニーのメイド（ベン・ロペス）はともかく、イサベラのメイドのテニアン（ニルダ・アキノ）がヴィートのわたした指輪をイサベラにもらって「私が結婚」とはしゃいだり、パトリシアのメイドのエンダイ（セシル・マグカミット）がパトリシアの話にアドヴァイスと、けっこうギャグにからんでくる。
　学校でピーターが携帯電話を使用に指導が入るのは日本と同じで、パトリシアに説明の教員（アンベット・ナブス）がオカマっぽかったり、プールサイドで四人がみかけたビキニの海パンの男（アーチメデス・カストロ）に同性のつれ（エリック・アルヴァレス）が寄りそったり、コートニーがチチのガウンのデザインを依頼し、チチがマネキンを倒したのであわてる衣装店のオーナー（イサー・レッド）がオカマだったり、コートニーがショーを企画でモデルを募集し、パンツ一丁の四人の男（デンヴァー・バリオン、セノ・アレハンドロ、ラン・ドミンゴ、ロニー・ガルピオ）と面接でひとりが「パンツも脱ぎますか」といい、助手（ジュリウス・アルフォンソ）がオカマなのや、イサベラがジェームズに会うプールサイドにたむろするのがビキニの海パンの男ばかりとか、デーヴの浮気を察知とパトリシアが追跡で、相手の女性がマンディーの女装とわかったり、とジョエル・Ｃ・ラマンガンだけに同性愛のおかしさにもふれまくる。
　ヴィートにモデルを頼むも、姉妹のいさかいでコートニーがイサベラをショーに招かず、犬のことでケンカのうえ、過去を疑ったためにパトリックがコートニーのもとを去る。支払いに不誠実で損失をこうむった女性（ラクエル・ヴィリアヴィセンショ）の訴えでイサベラが逮捕され、裁判に発展も、ステファニーの弁護で無罪をかちとる。素直になったコートニーがウィルと結婚で、新しい本を書いたパトリシアは、また宣伝でＴＶに出演し、番組の女性ホスト（リン・タマヨ）とセックス談義や、ステファニーがリチャードの子を妊娠。イサベラがヴィートと婚約で、そのパーティーに母親のマーゴットが若いパートナー（ロバート・ウッズ）をともなってあらわれる、と結局はロイ・Ｃ・イグレシアスの人物配置を巧みに計算した脚本をえて、ジョエルが職人的なうまさでまとめた作品。イサベラを連行の指揮をとる警官（マベル・レイエス）や裁判長（ジェンマ・エスピリトゥ）が女性といった、フィリピン社会の女性優位がにじむ興味があるものの、深いテーマ性をこめるわけじゃなく、ジョエルの軽いお遊びのジャンルに区別できるように思える。
　ただしコートニーが乳房の異常に気がつき、その不安を隠そうとし、イサベラが留置の警察署で面会のときに打ち明けるや、パトリシアとステファニーとイサベラのみならず、女性警官までが乳房をさわってチェックする。コートニーがパトリックの愛の支えで手術をうける。ラストでルッファ、ルーファ・メエ、イサ、マリアンが乳がんの原因と予防、恐さ、早期発見の重要性を観客に向かって訴える乳がん検診の促進が、女性のみならず、愛する人を守るべき男性にも考えてほしいメッセージといえる。
　個人的には四名の人気女優が次々とファッションを披露のオシャレな豪華さにあって、セクシーさの押しだしに注目が集まる。
　ルッファは友人ふたり（ヴェヌス・ファハルド、チェリ・ゴンサガ）と一緒のときに、ヴィートがガールフレンド（ケート・バウティスタ）をつれているのにはち合わせのバーでの光沢ボディコン・ミニ、クレジット・カードが無効なのにキレてヒステリックに抗議すれば、ガールフレンド（モニク・メンドーサ）を同伴のヴィートが払ってくれる店でのバストがこぼれそうに谷間を切ったワンピース、招かれていないコートニーのショーへくる小騒動での肩紐なしのワンピース、高級車がなくなり、コートニーが「乗れば」と車へ誘うのを意地で断わって歩く夜道での長い脚を強調したゼブラの短パン。
　ルーファ・メエは超ミニスカや半ケツになりそうなローライズの白パン、デーヴが大人のオモチャを発見の際のガウン、バストの谷間をきわどく露出のシャツ、ジーンズの短パン、イサベラが高級車を没収される執行が重なるピーターのバースディー・パーティーでのゴールドのピタピタのパンツ、デーヴの浮気疑惑を追跡のときのスリットが入って太腿がのぞくスカート、デーヴのホモ発覚に絶望でソファーに転がり、起きあがる動きにパンティーがチラりのワンピース。
　イサはリチャードに迫るアタックでのランジェリー、リチャードが眠るベッドでの前かがみでバストの谷間がどっきりのシャツ、キスをあやまるジェームズとのデートでのバストの谷間がでるうえ、腰つきが色っぽい白スーツ、原色をデザインの肩紐なしのワンピース、妊娠がわかるときのヒップラインがでる普段着。
　マリアンは体重が増えたと叫ぶ部屋着のお尻がプルプルとゆれるジャージー、犬のことでパトリックとケンカにおけるバストの谷間がのぞくワンピース、乳房の異常に気がつくときのガウン、犬がいないと探しまわって、ヒップにジャージーをくいこませてランニングする女性にたずねたりで、雨の中でみつける騒ぎの濡れたワンピース、裁判所を傍聴での黄色いカツラをかぶったミニスカの黄色いワンピース、手術で回復後のインドふうのワンピース、などが視線を引き、長身のルッファの脚が魅力的なのは圧巻だが、期待の水着はおとなしめになる。
　冒頭のヴィートが歌うビーチにおいてのコートニーのバースディー・パーティーで四人ともがセパレーツにはじまり、ルーファ・メエの小さな三角ブラがきわどいも、全員のボトムが短パンで、自宅のベランダで日向ぼっこのマリアンのビキニのボトムが短パン、黄色いカツラをかぶったコートニーがヴィートと会うプールでマリアンの黄色いビキニのボトムが短パン、ゲイの男をみかけるプールサイドでルーファ・メエがバストの谷間の大胆な黒いブラでも、あとの三人のうちマリアンがバストの谷間をうかがわせる白いブラながら、ふつうのワンピースのスカート型、コートニーが自らモデルをつとめるショーで、ルーファ・メエがそれをながめる観客で三角ブラだが、赤いカツラをかぶったマリアンの赤いビキニのボトムが短パン、コートニーがパトリックとプールで仲よくたわむれる夢をみる中でマリアンのセパレーツのボトムが短パン、といずれもパンティーが貼りつかないし、ヒップへのくいこみがない。コートニーが父に会う撮影現場でバックにうろつくビキニのモデルたちや、黄色いカツラのコートニーのうしろに立つビキニの女性たち、ショーでコートニーやヴィートと一緒に歩く女性モデル役のマリス・デル・ムンドとクリスティナ・ペレスのビキニのパンティーが挑発的なだけに、きわめて残念。
　パトリシアとデーヴのセックスでルーファ・メエがずっとベッドの中だし、ステファニーが夫のリチャードへセックスを要求でイサが脱がないままなど、チョイ・セクシー作との評価に落ち着く。
　四人の女優では、大柄なルッファがひときわ目だつのはしょうがないか。