ＤＡＹＯ
（見知らぬ訪問者）
　
02/03年：マヴェリック・フィルムズ
監督：ロン・リック
主演：ロニー・リケッツ
　　　 レジーン・トレンティノ
　　　 ジェフリー・サントス
　　　 アンジェリカ・パンガニバン
　　　 マンディー・オチョア
　　　 ロング・メジア
　奇をてらいすぎ、とはこのこと。
　一応、ロン・リック＝ロニー・リケッツによる、いつものアクション映画ながら、設定がヘン。というか、アイディアのベクトルを間違えている。第三次世界大戦が起こったあと、その余波のうちに生存者たちが暮らすとの今さら的アナクロ近未来で、まず墓地、教会、街並みなど、現在とそのままだから苦笑い。物乞い集団の出現程度で荒涼さを表わさないでほしい。ロニーが新車のごとき四駆車に乗るのも同様で、ピコピコ人物に反応の腕時計がハイテクの小道具では、オイオイ、セコいぞー。
　ジョージ・ミラーの『マッドマックス２』にほど遠い。
　ロニーがアンジェリカ・パンガニバン演じるら致された妹を探す内容で、ただそれだけの物語。しかも身代金目的というわけでなく、何か重要な秘密を握っているわけでもなく、ルエル・ヴェルナルとジェフリー・サントス演じる親子の悪党は、アンジェリカを閉じこめるのみで、一般的な誘拐題材のレヴェルにも達しない。
　肝心のアクションはどうかだが、腕っぷしの強さによるロニーのファイティングは関節技をつかってけっこうみせるものの、銃撃戦のいい加減さはパターン通り。ロニーの銃からは無限に弾がでるし、簡単に当たるし、相手の弾はなぜか当たらない不思議さよ。
　ロング・メジア演じる盲目の男がユーモラスにロニーを助けてコメディー要素をプラスも、マジな緊張感と笑いの緩和によるバランスに計算がなく、観客の呼吸を無視の構成にいら立ちすらおぼえる。
　マンジョー・デル・ムンドとマンディー・オチョア演じる警官がイメージ悪く登場し、ともにルエルの手下ながら、マンジョーが正義を実行はキャラクター的にまずまず。マンディーの単細胞ぶりは、およそ脳ミソがないみたい。
　まったく、ストレートに描いたほうがはるかにマシだったのではとの印象で、駄作も駄作。さっぱり生かしきれないバック・グラウンドではなく、ユニークな戦いかたなどにアイディアを盛りこめば、もう少しみれただろうに…
　まあ、ドン・ペポトとノグ・ノグ演じる安ホテルの従業員がロニーの部屋へ忍びこんでコソ泥や、クリス・ダルス演じる神父をチンピラどもが痛めつけるも、聖職者に対してはバチが怖くてとどめを刺せないあたりがフィリピンっぽいかな。
　もっとも相手役がレジーン・トレンティノだけに、セクシーさ爆発なら文句のないところ。フリーの押しかけ娼婦役で、ロニーとホテルの階段をすれ違うときの超ミニスカがゾクゾク。ロニーの部屋へくるや、目の前でダンスを始めてパラりとシャツを脱ぎ、白いブラの胸元からオーラを発する。オッと、スカートをおろしたらどんなパンティーをはいているんだろう、と想像をもたげるだけでドキドキ興奮が高まったのに、ジェフリー一味が襲ってきて、パンティーをみせないうちに中止が残念。いったんロニーと一緒につかまり、ルエルからレヴィー・イグナシオとボーイ・ロケ演じる傭兵に手柄の報奨として渡されると、いよいよ裸にむかれるぞとの予感にワクワク。レヴィーの誘惑作戦に転じてスキをうかがうのだが、いつまでたっても服を着たまま踊りつづけ、一体どーなってんのよー。
　レジーンの魅力はヘビの生殺し状態との結果。
　ルエルが仕切る売春組織にはグレンダ・ガルシア演じる中年のママがいて、イヴニングの衣装から大人の色気を放つも、もっと挑発的なショットがほしかった。
　グレンダの管理下でビジネスと割りきれない女性を演じるのが、ちょっとキュートなプレシャス・ヴァレンシア。Ｔバックなどのダンサーたちがステップの店内で接客のとき、ファッションが過激じゃなくて不満なうえ、ロニーとレジーンがホテルから脱出の銃撃戦のシーンでは、ロニーたちが踏みこんでくる部屋にヨボヨボの老人客と一緒で、老人が心臓マヒで倒れるワン・ポイント・ギャグを加えるも、バス・タオルを巻いてボディーを隠しすぎ。グレンダのもとから逃亡し、荒くれ子分たちにつかまると、肌もあらわに手ごめを受けるぞと鼻息を荒く待つも、ボコボコに暴行のみ。普通ならビリビリッと服を破られるでしょう。
　とこちらも期待はずれ。
　アンジェリカは人気アイドルだが、さしてかわいくない。
　女優陣の見せ場すら中途半端で、正直、ひどい作品だった。

※　ダンス・ディーヴァことレジーンは、のちにダンスのインストラクション・ヴィデオ『ＳＥＮＳＵＡＬ　ＤＡＮＣＩＮＧ　ＢＯＵＮＣＥ　ＷＩＴＨ　ＲＥＧＩＮＥ』を発売したが、これはほぼ１００％納得の素晴らしさ。腰の部分が紐のノー・パンを強調するレザーのピタパンでなまめかしく踊る動きでのプロポーション浮きぼりが悩殺のうえ、白いシャツとパンティーという下着にロング・ブーツを履いた衣装でのクリップがたまらない。途中でバシャッと水を浴びてビッショり濡れると下着を貼りつかせ、フィニッシュは一気にシャツを脱ぎ捨て、乳首のまわりに銀ラメを塗った堂々のトップレス。レジーンのパワーは天国級だと確認の次第。