ＢＡＢＡＥ　ＳＡ　ＤＡＬＡＭＰＡＳＩＧＡＮ
（渚の娘）
　
97年：グッド・ハーヴェスト・フィルムズ
監督：ステファン・ダロッシ
主演：イネス・ヴェネラション
　　　 サブリナ・Ｍ．
　　　 トフィー・カルマ
　　　 フィリップ・ヘンソン
　　　 ジーナ・パレニョ
　　　 オレステス・オヘダ
　　　 エヴァンジェリン・パスクアル
　　　 アーチー・ヴェントサ
　イネス・ヴェネラションの本格的なデビュー作であり、前半は彼女の魅力が爆発する。
　どこかの漁村が舞台で、バタンガスとリドで撮影したようだから、架空の街との設定だろう。海女姿のイネスが海中からあがってくる。フィリピン映画ではよく同じような乳首をスケさせた若い海女が登場するのだが、実際にいるのだろうかと疑ってしまう。もしみかけたら目が点になるだけでなく、下半身に変化が起きるから、まず冷静ではいられないだろう。映画の前半でイネスがレイプされそうになるシーンがあるのもうなずけるところ。
　イネス演じる娘はトフィー・カルマ演じる漁師と恋仲で、岩間や網の陰でのラヴ・シーンで、さらにはっきりとスケた乳首をおがませてくれる。二人が見晴らし塔の垂直の階段をあがるシーンでは、真下からイネスを撮影していて、スカートから白いパンティーにセクシーなヒップラインをのぞかせる。このあとフィリップ・ヘンソン演じる彼女に横恋慕する男に襲われるシーンでは、肌着が濡れて貼りつき、乳房の全体の形があらわになって、オッパイ丸みえよりも興奮させる。イネスによだれがでそうになる。
　トフィーがお尻をみせながら水浴びのシーンがあるのは余計だが、女性ファンへのサービスだろう。
　トフィーはかつて船の中でオナニーに夢中になっていたために、父親を誤ってダイナマイトで事故死させてしまったという過去を持つ人物に設定されている。このあたりダイナマイト漁に対する批判であり、赤潮の被害のことも取りあげられていて、環境問題への関心の高さをうかがわせる。
　大量の魚がダメになって生活苦に追いやられ、トフィーはマニラへでることになる。一人残されたイネスは、しかたなくフィリップと結婚し、その初夜でトフィーとのセックスを思いだす。全裸のフィリップがお尻もみせてイネスを抱きながら脱がせていくと、初めてイネスの生の乳首があらわになる。イネスが自ら全裸になるところでは、キュートなお尻を暗闇に浮かびあがらせながら、騎乗位になって腰を動かす。これに魚の解体の光景をダブらせるイメージのつくりかたが鮮烈であり、やっぱりイネスが自分を愛していないと悟ったフィリップが、全裸で海へ飛びこんでいくシーンがよく悔しい気持ちを伝えている。ステファン・ダロッシ監督の才気が現われたところである。
　舞台はマニラへと変わり、“エドサ・エンターテインメント・コンプレックス”の外観が映しだされる。内部はどこか他の店だが、トフィーがゴーゴー・バーのウェイターになっていることがわかる。
　ステージではサブリナ・Ｍ演じるダンサーが踊っていて、それをみるトフィーのイメージの中で、サブリナがイネスへと変わっていく。黒のセパレーツの水着で、前かがみになってお尻をつきだすとクネクネ動かす姿を背後から撮っているのが興奮をくれる。しかもサブリナとイネスの二人ぶんみれるのが嬉しい。
　もっともイネスの魅力を堪能できるのはここまでで、あとはアクション映画へと変貌をとげる。
　暴力団に襲われそうになったサブリナを助けたことで、トフィーは彼女と親しくなる。最初のラヴ・シーンでサブリナはスリップ姿を披露し、二度目のときは上半身裸になってくれる。でもニプレスを貼っているのがはっきりみえてしまって、ガックリ。この作品でのサブリナは、ちょっとサーヴィスがよくない。
　暴力団の連中が故郷にリゾート建設をもくろんでいて、赤潮の被害も彼らの毒薬によるものであると知ったトフィーは、故郷へと帰ってくる。
　それにしてもフィリップが暴力団の手下になっていて、トフィーらと激しい銃撃戦を展開の内容は、いくら映画の見せ場をつくるためとはいえ、あまりにも現実離れしすぎていないか。フィリップがダイナマイトで死ぬのもご都合主義で、実は環境問題を正面から描こうとした作品でないことも明らかに。
　別に深い問題意識を期待したわけではないのだが…
　まあ、イネスのセクシーさがまずまず描けているのだから、それでよしとしよう。