“ＣＯＶＥＲ　ＧＩＲＬ”
　
81年：ゴールド・ラベル・プロダクションズ
監督：ジュン・Ｐ・カブレイラ
主演：ロルナ・トレンティノ
　　　 ベット・バウティスタ
　　　 アーミー・オーストリア
　　　 エディー・ガルシア
　　　 アン・ヴィリエガス
　　　 ウェンディー・ヴィリアリカ
　　　 マニー・ルナ
　フィリピン映画ならではのくだらないコメディーで、低俗ぶりが心地よい作品。
　エディー・ガルシア演じる出版社のオーナー兼編集長が大変なプレイ・ボーイときている。雑誌のカヴァー・ガールに起用してほしいと女たちのセールスがあとを絶たず、その立場を利用で食いまくるとの設定。エディーは浮気がばれるたびに、ベット・バウティスタ演じる恋人から痛い目に合わされる。
　これにたまたま結婚騒ぎを通じてからんできたアーミー・オーストリア演じる男まさりのじゃじゃ馬娘を、実は「可憐さがある」といってなだめ、カヴァー・ガールに起用のエピソードと、偶然、助けたロルナ・トレンティノ演じる貧困の娘の美しさに気がつき、カヴァー・ガールに起用のエピソードが核をなす。
　白人の女（メアリー・ミラー？）とベッド・イン中に、突然、夫が帰宅でエディーがお尻を散弾で撃たれ、まだ完治前にデブ女のカヴァー・ガールへの売りこみがきて「まるで象じゃないか」とバカにしたため、女の押し倒しでヘアー・ブラシの上へ尻餅をつき、ギャーッとのギャグがまず笑える。エディーのお尻の手術で看護婦の動きが妙に冷静だったり、ジーンズのアーミーがクン・フーで男どもを次々と粉砕したり、エディーがアーミーとセックスにおよべば、あまりに激しくて辟易をもよおしたり、けっこう愉快。エディーがニュー・ハーフ（ファニー・セラーノ？）をナンパは、最初からバレバレでイマイチかな。
　一方で幼い妹を二人（レアー・ヴィクトリアとベイビー・ジェーン？）かかえ、満足に食べものを買えずに困っているロルナの環境は、飲んだくれの叔父がクズ拾いで稼いだ妹たちの小銭まで暴力で取りあげ、悲惨さをリアリズムで描いていて、ドッと暗くなる。ナンセンス部分のバカっぽさとの対比を狙い、あとでエディーがロルナに示す、めずらしく良心的なやさしさを際だたせたのだろうが、欲情で叔父がロルナをレイプのあと、ロルナが思わずハサミで刺しているから、叔父がどうなったかわからずじまいで中途半端なのが惜しい。アーミーの家庭では、母と妹が働いているのに、アーミーの恋人だけ怠けものっぽく、このダメ男ぶりがいかにもフィリピンらしい。
　アーミーとベットが女同士で愛し合い、外見は女らしく変わるも、レズと悟ったアーミーが新しい相手をつくった恋人に「私は同性愛者だから」と告白で去ったり、エディーがベットとよりを戻す結末は、とにかく無難にまとめた印象ながら、けっこう楽しめたといえる。
　もっとも、セクシーな要素を散りばめる点が、最大のみどころ。いきなりエディーと白人女のセックスに始まり、白人女が夫のノックであわててドアへ向かうとき、赤いキャミとヒップに食いこんだ紐パンティーなので、あとへの期待が盛りあがる。ディック・イズラエル演じる友人の斡旋でエディーがプール・サイドでカヴァー・ガール候補四人に会うシーンでは、それぞれ黒いワンピース、黒い首紐ブラのビキニ、青い三角ブラのビキニ、黒い三角ブラのビキニが視線を奪ってくれる。うち一人とベッド・インすると、上半身ハダカでもオッパイのでないのは、当時の検閲上しょうがないか。成人指定じゃないんだから。ところでこの相手役の女性を演じるのは、アン・ヴィリエガスとウェンディー・ヴィリアリカの、どっちだろう？
　アーミーはファンだけに、ムズムズ挑発をお願いしたいところながら、酔って寝ている間に恋人からセックスされるとき、ジーンズを抜きとるショットでパンティーがみえないうえ、はだけたシャツにブラがチラつくのみで、かなり不満。カヴァー・ガールの撮影でもドレスばかりで水着がなく、そりゃないでしょうと落胆させる。
　ベットはアーミーに迫られるレズの愛撫において、大胆な胸元のシャツが生つばゴクリ。アーミーにバストの谷間をペロペロなめられ、おいしそう。ラストの中央にワンピース水着のロルナ、左にドレスのアーミーというカヴァー・ガールの三分割ショットの中では、右にブラウンの超ビキニを披露で、みごとなナイス・ボディーに完全悩殺を呼ぶ。また、だからこそほとんど半裸に近い、この肝心なあたりをほんの少し隠しただけの水着によるカヴァーの撮影シーンが本編に登場しないのはなぜ、との疑問がわき起こり、ああ、ビキニのベットをたっぷりとおがみたかったなあ。
　とにかく大満足なのはロルナ。叔父にブラの上半身をのぞかれ、レイプの際にスカートがまくれて太腿まであらわで鼻息が荒くなったあと、カヴァーの撮影シーンがみごと。水色のワンピース水着であれこれポーズをとり、浮きでるラインのセクシーなこと、さながら妖精のよう。ハイレグのビキニでは身体を横にし、お腹に縦線の入るヘソのまわりの引き締まった筋肉がマジでさわってみたい肌の質感。水上バイクにまたがっての赤いセパレーツは遠景なのが残念だが、首紐ブラのビキニでビーチを正面から歩いてくる姿ではスリムながらもくびれがあり、下半身の発達したプロポーションがバッチリわかって、うーん、抱きつきたいじゃないか。
　ロルナの魅力で映画の価値が三倍あがったといえる。
　なお『タクシー・ドライバー』や『タワーリング・インフェルノ』の音楽をラヴ・シーンのムードづくりに使うのは、ちゃんと著作権をクリアしたのだろうか？