ＣＯＭＭＡＮＤＯ　ＩＮＶＡＳＩＯＮ
　
85年：シルヴァー・スター・フィルム・カンパニー
監督：ジョン・ゲール（ジュン・ガリアールド）
主演：マイケル・ジェームズ
　　　 ゴードン・ミッチェル
　　　 ケン・ワタナベ
　　　 パット・ヴァンス
　　　 カロル・ロバーツ（テッチー・アグバヤニ）
　アメリカ合衆国用に制作のフィリピン映画で、合作の部類に入る。ジョン・ゲールの名義でジュン・ガリアールドが監督。現像は香港のラボなので、香港のスタッフがかかわるかもしれない。
　個人的にはカロル・ロバーツの名義でテッチー・アグバヤニの出演に期待がかかる。
　ヴェトナム戦争を題材に、フランス軍が撤退の末期にダイヤモンドの財宝をヴェトナム軍に奪われ、この争奪戦をからめつつ、主人公のアメリカ兵のブラディー大尉（マイケル・ジェームズ）が横暴でも、正義漢なあたりにアメリカ合衆国の観客を意識におく内容になる。
　ヴェトナム軍のジャップ将軍（ケン・ワタナベ）をブラディーの小隊が拘束も、気がつけばブラディーがダイヤモンドを手に倒れていて、小隊の部下が全滅。軍法会議で検事のテリル中尉（パット・ヴァンス）が亡くなった小隊に所属した兵士のひとりの兄なため、ブラディーを恨んでダイヤモンド目的の有罪と決めつける。弁護側の証人にジャップ将軍が必要との主張に、ブラディーがジャップをつかまえるため、テリルの監視とともに前線へ戻る。
　いささかきっかけが強引で、ロッド・デーヴィスのストーリーにもとづくロッド・デーヴィスとポール・ヴァンの脚本がリアリティーを欠くが、そこはＢ級ゆえん。ブラディーとテリルの対立にくわえ、キー・サーン（トニー・リー）が率いる共産軍と闘うというヴェトナム部隊、ラグランジュ（ジェラルド・トッド）が率いるダイヤモンドを探すフランス部隊、ジャップ将軍の愛人のアキナ（カロル・ロバーツ）などがからんで進み、戦闘が小ぜり合いばかりなのもＢ級といえる。
　ブラディーを信じると登場のアメリカ軍の将軍（ゴードン・ミッチェル）が最初からムンムンと怪しく、やたらジャップが「ジュネーヴ条約に違反だ」と主張や、ダイヤモンドをエサに周囲を動かす狡猾な人物に設定も、やや威厳が足りず、このあたりもスケールを縮める。
　ジュン・ガリアールドの限界をうかがう。
　とにかくアキナがふたつのタイプのアオザイみたいな衣装であらわれ、ブラディーと説得力なくラヴ・シーンを盛りこむながら、なぜか脱がないままにキー・サーンと同士討ちで亡くなって不満が残る。テッチー・アグバヤニのヌードをみたかったなあ、とはずれもいいところ。同じカロル・ロバーツ名義の作品でも『ＲＥＳＣＵＥ　ＴＥＡＭ』では、しっかりと素っ裸を披露したのに…。
　アキナのアメリカ合衆国願望は、やはりアメリカ合衆国の観客のプライドをくすぐる狙いかなと思う。

※　この作品は『コマンドー・インベイジョン』の題名でヴィデオ発売されたことがある。