ＣＯＢＲＡ
　
97年：リーガル・エンターテインメント
監督：アルトゥーロ・“ボーイ”・サン・アグスティン
主演：ダン・フェルナンデス
　　　 アラ・ミナ
　　　 リト・レガスピ
　　　 パキト・ディアス
　　　 ロミー・ディアス
　　　 ルエル・ヴェルナル
　　　 マイク・ガヨソ
　ずいぶん強引な展開のＢ級アクションである。典型的なタフ・ガイが主人公で、本人が望まないながらもシンジケートとの対決を迫られる。
　まずダン・フェルナンデス扮するコブラと呼ばれる主人公が、先祖から受けついだヘビのコブラを模したペンダントを持っていて、これがまったくストーリーに関わってこないのがヘン。コンパクト状になったペンダントを開くとコブラがぞろぞろ集ってくるという意味深なシーンがあるのに、これだとただのこけおどしでしかない。
　軍隊で手柄を立てた設定になっていて、冒頭などその戦闘シーンでドンパチをみせるのだが、これも後半の展開にほとんど生きていない。ただのキャラクター設定の粋にとどまっている。
　対決相手のシンジケートが二つあることも、双方の関係がはっきりせず、エピソードが別々にからまないままなのが納得できない。シナリオが甘いのだろう。えん罪で逮捕された主人公と刑務所の中で知り合ったロミー・ディアス演じる人物との友情や、悪を暴力で駆逐しようとするマイク・ガヨソ演じる神父との絆だって、もう少し描きかたがあったのではないか。主人公をおびきだすためにルーシー・キント演じる母を殺す展開も、ありきたりなうえ、残虐なイメージをあおっているだけ。ラストにいたってはいくら悪党との対決のためとはいえ、無理やり車を奪うのはみていて共感できず、そこに乗っていた子供を守ろうとするのも、完全なる本末転倒。しかも悪党を退治しながら、自ら瀕死の重傷となった主人公が、その子供にコブラのペンダントを渡すのは、どうひいきめな判断でもムチャクチャすぎないか。
　とにかく主人公の腕っ節の強さとハデな銃撃戦をみせればそれでよく、あとは適当に割り切ったと感じさせるばかり。ダン・フェルナンデスに魅力が乏しいのも残念なところ。
　ただしこの作品には主人公の恋人役でアラ・ミナが出演という嬉しい要素がある。まだ洗練される前のアラだから、最初の登場シーンでは主人公の姪役のジョセル・オラリアとあまり容姿的に変わらないのではと思えるほどなうえ、アップになると掘りだした芋のようでビックリ。しかしさすがダイヤの原石、海岸のシーンではビキニ姿にキラキラ光るものを感じさせる。のちのアラから考えるとセクシーさを抑えたビキニで、それほど目を見張るような露出ではないが、豊満ながらもキリッと引き締まった胸元や、キュッとくびれたウェストにドキドキ。主人公に抱きあげられるところでのお尻のアップも圧倒的に視線を奪う誘惑にあふれる。濡れたアラの肌は磨けばいくらでも輝く要素を秘めているようだ。
　もしアラの水着シーンがなかったら、いっさい見どころを欠く映画だったのではないか。