ＣＨＩＮＡＴＯＷＮ　２　“ＴＨＥ　ＶＩＣＩＬＡＮＴＥＳ”
　
(93)年：フォー・Ｎ・フィルムズ
監督：マヌエル・マルコス、ロジャー・バレーロ
主演：ドーン・スルエタ
　　　 モンソール・デル・ロサリオ
　　　 バルド・マーロ
　　　 エフレン・レイエス・ジュニア
　　　 アトイ・コー
　　　 トビー・アレハル
　　　 ラヴリー・リヴェロ
　　　 ザンドロ・ザモラ
　　　 クリスティン・エスケラ
　　　 カレン・サラス（サブリナ・Ｍ）
　　　 シーラ・ソンクアン
　チャイナ・タウンを舞台にとる、ごちゃまぜのアクション。
　サンボアンガで起きたアメリカ人の人質事件にモンソール・デル・ロサリオ演じる拳法の達人が、エルニー・サラテ演じる将軍によって解決役に呼ばれる。モンソールにはサブリナ・Ｍ（まだカレン・サラスとの芸名になっている）演じるスチュワーデスの恋人がいるが、ルーイー・カタナ演じる日本のヤクザにその恋人を殺される。一方でロベルト・タルビーなどが犯人を演じる中国系女性の誘拐を、バルロ・マーロ演じる刑事が救出にあたる。ザンドロ・ザモラ演じる悪徳警官を逮捕もする。モンソールとバルドが友人同士で、ルーイーと手を組んだエフレン・レイエス・ジュニアがボスを演じるシンジケートの撲滅に乗りだす。これにモンソールがサブリナの仇のルーイーを殺し、クリスティン・エスケラ演じる新聞記者が取材を申しこみ、犯罪の陰にあったラヴ・ストーリーとの記事を書く。ラヴリー・リヴェロ演じる妹、ニロ・ヌキ演じる弟との関係がギクシャクしていたバルドの家庭が絆を取り戻すなどの設定がからむ。
　とにかくバルドが警察嫌いのグループに皮肉られて大喧嘩を繰り広げたり、クリスティンがバーで迫られたのをモンソールが助けたり、バルドとモンソールが強盗をやっつけたり、本筋と無関係な見せ場がいくつも用意されている。というか、なにが本筋なのか、いささかはっきりしない構成。
　脇にいろいろな人物が現われ、モンソールとバルドが師範をつとめる空手道場の入り口でアトイ・コー演じるストリート・チルドレンがのぞきながら練習をまねる。「カネがないから入門できない」といい、アトイがモンソールにあこがれる。知人の従兄妹というドーン・スルエタ演じる女性とモンソールが出会い、ドン・ウマリをリーダーとする痴漢集団に襲われたドーンをモンソールが守り、二人にロマンスが芽ばえる。ドンがルエル・ヴェルナル演じる組織のボスの配下で、ルエルがエフレンと協力体制にある。トビー・アレハル演じる情報屋がバルドのためにネタを集める。
　ジェニー・リンピン演じる女性を始め、誘拐があいつぎ、ついにポチョロ・モンテス、ロニー・フランシスコ、ノノン・タルヴォが演じる中国人コミュニティーの代表がモンソールとバルドを用心棒に雇い、クライマックスを迎える。モンソールとバルドがルエルを退治するのだが、ここはモンソールがこん棒の妙技を披露のほか、ＢＭＸの'93年世界チャンピオンという少女のシーラ・ソンクアンが出演。ルエル一味と自転車でチェイスを展開し、数台もの車を飛び越えるなどのアクロバット技を決める。さらにエフレンの本拠を襲って全滅に追いこみ、爆発する窓からバルドが回転着地をみせる。いかにもあの手この手のアクションがテンコ盛り状態。ルエルとエフレンが死んで一応、本筋はおしまいかと思ったら、ドンがアトイを殺し、かわいがっていたモンソールが残忍さへの怒りにふるえる。しかもザンドロがニロをさらってバルドをおびきだすという、二つの対決が残っている。
　マヌエル・マルコスとロジャー・バレーロは、おそらくサーヴィス精神に徹しようと考えたのだろう。全体の話のふくらみなんて二の次で、単純に個々が流れる中にハデさが加わればいいと。それはジェリー・Ｏ・ティラソナの荒い構成の脚本にも感じる。結果、高級中華のディナーを食べたというよりも、安い点心をいっぱいだされたような印象になったといえる。
　まあモンソールとドーンが寺院にお参りなど、中華系の慣習を入れるのはフィリピン人の好奇心か。ワザとらしくトビーが中国ふうのメイクで顔をつくっているが、バルドはともかく、エフレンやドン、ポチョロはそれほど中国系にみえない。ましてドーンとラヴリーにいたっては、具の大きなエキゾティック系の美人で、さすがに中国系には無理がある。
　もっともドーンを目的にみた映画だから、その魅力が輝いていれば一切文句のないところ。ほんのお飾り的な役柄で50分近くたってやっと登場になるや、ジムでエクササイズにいきなり視線を奪われる。レオタードのボトムにシャツを巻いているのが惜しく、ドンにつかまりそうなときのタイツのような白いピタパンも、太腿までの長さのシャツがボトムを隠していて残念だが、ちゃんと水着のシーンが待っている。プールへザブンと飛びこむと、ひと泳ぎしただけですぐにプール・サイドへとあがってきて、ワンピース水着がボディーにピッチリとフィットし、ヴィーナスのごときプロポーションがくっきり。
　これだからドーン、大好き、チュッチュ。
　ドーンに負けないほど美貌のラヴリーにもプールのシーンがあり、ボトムが短パンの露出が少ないタイプなのがラヴリーっぽく、興奮にはほど遠いものの、とにかく上から落ちる水にあたるかっこうがそそる。
　ドーンがモンソールとダンスのあとに別れて、本当にドーンは彩り的配役だったのねとあきれるや、今度はモンソールがクリスティンとプールへいく。ミス・フィリピン'93の次点だったというクリスティンは個人的に好みをはずれるとはいえ、まあまあかわいいし、赤いワンピースが実に刺激的。お尻の形くっきりに食いこませて水からプール・サイドへあがり、全身のラインが果実のようにおいしそう。
　基本は点心の屋台中華なれど、ちゃんとアワビかフカヒレ＝ドーン、ツバメの巣のスープ＝ラヴリー、杏仁豆腐かデザート＝クリスティンがついていた感じ。
　Ｂ級グルメでした。
　Ｂ級にドーンは、素材としてもったいないか。