“ＣＨＩＣＫＳ”
　
　年：タガログ・イラン・イラン・プロダクションズ
監督：フィリップ・サン・ホセ
主演：ロルナ・トレンティノ
　　　 リオ・ロクシン
　　　 アーミー・オーストリア
　　　 マニー・ルナ
　　　 デニス・ロルダン
　　　 ヒル・ゲレロ
　　　 レイ・デラ・クルース
　　　 ラディン・カリオス
　ありきたりな水商売につとめる女性たちのドラマ。
　同じアパートに暮らす三人のホステスは、シルヴィア（ロルナ・トレンティノ）が田舎に住む家族を養うため、ベリア（リオ・ロクシン）が母（ルスティー・カルピオ）の入院費のため、サロメ（アーミー・オーストリア）が婚約者であるマンディー（ヒル・ゲレロ）の学費のためにクラブで働く。シルヴィアとベリアにも恋人ができて、それぞれブッチ（マニー・ルナ）は男娼なのを隠し、リト（デニス・ロルダン）は犯罪シジケートを抜けたくて逃走中。三組そろって結婚式をあげると、リトが元仲間の銃弾に倒れてベリアだけが悲劇をむかえる。でも母の無事に退院を喜ぶ。
　なんてことない内容ながら、大箱クラブのようすがおもしろく、中年や初老の客を三人が手玉にとるのがありがちな手法にニヤニヤさせる。客が「アーミー・オーストリアみたいなホステスがいい」といい、シルヴィアに「ロルナ・トレンティノに似ている」やベリアに「リオ・ロクシンみたいだ」のギャグはさして笑えない。ダンス・ホールにとらばーゆするや、こちらも大箱が興味を引き、警察の手入れでつかまる設定もでてくる。幼い妹が二人いて、母親のみで父親不在のシルヴィアの家庭がさもありなんなら、アパートの隣人のゴタゴタがいかにも。シルヴィアがカネもちをつかまえようと裕福な出身のふりをしたため、かえって自分がカネもちぶって近づいてきた、実は貧乏な男につかまる構図も定番かもしれない。ブッチがホモ売春中だったのは、なるほどフィリピンっぽい。サロメが嫉妬深くてマンディーを小間使いのようにあつかうのみならず、ちょっとでもほかの女性に関心を示すとボコボコに引っぱたく猛烈ぶりに、やっぱりフィリピーナとうなずく。ベリアとリトの出会いが強引な引ったくりをつかまえたことなのは、軽犯罪グループの存在を示す。ベリアの母が精神病らしく、病院に異常者がいっぱいの描写は誇張がすぎるように思える。
　とにかく期待の焦点は、いまやすっかり演技派に成長のロルナ・トレンティノ、リオ・ロクシン、アーミー・オーストリアの三女優のもっともフレッシュに魅力が輝いていたころの共演につきる。絶えず三人ともが短パンで太腿をあわらに美脚のわかるかっこうで登場し、アーミーはあぐらをかいたり、太腿をマッサージでたたいたりにオッと視線を引きつける。リトとのベッドではシーツをバストにあてている。とくに興奮は水着シーンになり、まずリオがスク水っぽい青のワンビースで砂浜を走り、ボディーが濡れているのでピタッと貼りつかせ、ラインをくっきりにする。アーミーがピンクのワンピースでナンパ中のマンディーに蹴りを入れる。とくに誘惑的なのはロルナで、プールの水の中からザバッとブッチに抱きあげられ、赤いビキニが大胆なうえ、キュッとお尻に食いこんでいる。ラストのビーチ・パーティーでは三人が赤、青、ピンクのワンピースで踊り、ロルナはお尻をクネクネとふってみせる。ほかにニーナ、ローズマリーと名のるマンディーに声をかけられる女性二人もワンピース水着を披露する。
　エンド・クレジットがなくブツ切れで終わり、途中にも欠落が数ヶ所あるのみならず、全編に傷みの雨が降っていて、もう現存プリントはズタズタのボロボロ。それでもロルナ、リオ、アーミーの若かりし水着姿の映像が焼きつくわけで、残っていたことに感謝したい。