95年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：マック・Ｃ・アレハンドレ
主演：ヴィーナ・モラレス
ドンナ・クルース
ドニータ・ローズ
ジェネヴァ・クルース
ガーリー・エストラダ
イアン・デ・レオン
ランデル・ヴェラ・ペレス
ロナルド・ヴァルデス
エリザベット・オロペッザ
アーミー・オーストリア
ダンテ・リヴェロ
チャンダ・ロメロ
マージョリー・バレート
カリダッド・サンチェス
リチャード・ボニン
ジーナ・アラハル
アローナ・アレグレ
ジェッサ・サラゴサ
典型的な学園青春ドラマで、ヴィーナ・モラレス、ドンナ・クルース、ドニータ・ローズ、ジェネヴァ・クルースの顔合わせ。個人的にはドニータしかファンではないのだが、ヴィーナもそこそこかわいいから、この二人をみたいだけなのが本音。
まず四人の家庭描写を足早に描き、各シチュエーションを浮き彫りにする冒頭がうまい。理想の家族っぽいドンナ、母とマンション住まいのジェニヴァ、父からこづかいをせびるドニータ。ヴィーナだけ通学でジプニーに乗っていて、中流でないことがうかがえる。ランデル・ヴェラ・ペレス演じるドニータの彼氏が浮気者で、ケンカになったりだが、ランデルが花を持って謝りにくる。軽いタッチでキャンパス・ライフをエンジョイの光景が繰り広げられる。
次第に各人の悩みが明らかに。ドニータにはロナルド・ヴァルデス演じる父がいて、アローナ・アレグレ演じる妻と別居中。義理の母にあたるアローナや、ミリナ・ジャコウェー演じる義理の妹とそりが合わない。ちなみにミリナがちょっとかわいく、気になる存在。
ヴィーナはチャンダ・ロメロ演じる母親が貧民街で美容室を開いていて、ハイメ・アプラドとシャイナ・マグダヤオ演じる弟と妹の面倒をみないといけない状況にある。ガーリー・エストラダ演じる近所の若者がホの字なのに、友人の父であるはずのロナルドに恋している。
ジェニヴァはイアン・デ・レオン演じる同級生のボーイ・フレンドを持つものの、リチャード・ボニン演じる教師に夢中。それでイアンがドンナに悩みを打ち明け、二人ができてしまう。リチャードに婚約者がいると知ったジェニヴァがショックを受け、キープだったイアンの元へ戻ってくるも、ドンナに奪われたとわかって大激突に。
落ちこむドンナとイアンをカリダッド・サンチェス演じるドンナの祖母がユーモラスになぐさめるシーンがなかなかイケる。ロック・コンサートで若者と一緒にハシャぐカリダッドには、理想的なおばあちゃんといった人間味がよく伝わってくる。
ホント前半はノーテンキさが勝るのだが、後半はやや重くなる印象。
ジェニヴァは政治家の二号の娘で、父が亡くなって葬式に行き、ジーナ・アラハル演じる本妻から追い返される。このとき性格の意地悪なジーナの娘役でジェッサ・サラゴサがゲスト出演し、実にキュートで、怒った顔にチュッチュしたい。
アーミー・オーストリア演じる母の弱腰をジェニヴァが責め、ヴィーナとドンナとドニータが同行で、いざとなったら私たちが応援するからと埋葬に出席。またジェニヴァにジーナがイチャモンをつけて、三人が出馬かというときにアーミーが現われて「私だって愛した人よ」とジーナにピシャリというエピソードは、なかなか盛りあがる。
ヴィーナとロナルドの関係をドニータが気づき、ののしり合いになるあたりはマック・Ｃ・アレハンドレ監督がきちんと心理を描いていて感心なのだが、それだけに沈んでしまう部分。自分への嫌気から荒れたヴィーナがマージョリー・バレート演じる近所の先輩とホステスの仕事をしたから、チャンダがヴィーナをぶつ設定も、いかにもフィリピンっぽいリアルさがある。でもドニータが反抗のすえに父と和解し、ヴィーナとも仲直りは、安易というよりも映画だけに当然のなりゆき。ヴィーナへの愛をガーリーが告白の場が屋根の上なのが面白い。星空をながめながら屋根で語り合うシーンは日本の青春ものかホーム・ドラマにあったイメージだが、瓦ではなくトタン屋根なのがフィリピンじゃないかと妙に納得。
最後はドンナの家族の秘密発覚劇が用意される。ダンテ・リヴェロ演じる父が病気で倒れ、入院先の病院でもう一人妻がいた事実が明るみにでる。しかもエリザベット・オロペッザ演じる母がそれを認めていて、ドンナは家出寸前に。
自殺じゃないかとドニータが心配になり、ヴィーナとジェネヴァと一緒に駆けつけてみると、丘の上で泣いているドンナを発見。「早まるな」と止めようとすると「えっ！ 私が？ 死ぬわけないでしょ」とのオチは、なんかほほえましい。
ようするに四人ともが各自の壁を乗り越えて成長の物語であり、深みが足りないといえばそれまでだが、こういう前向きに生きる希望を描く作品は決して嫌いじゃない。まずまず、いいんじゃないか。
ただしプライヴェートのことばかりで、勉学について悩まないあたりがフィリピンといえばフィリピン。
そこがまた興味深いともいえよう。
なおドニータには、自宅のプールで泳ぐシーンがあるのが嬉しい。水着じゃなく服を着たままなのがフィリピン女性の実際に即しているものの、スケベな期待からは残念だが、水からあがるときに濡れたスラックスがお尻に貼りついている。もーう、これだからドニータ、大好き、チュッチュッチュッ。
主題歌は四人のカルテットで、それほど好みの曲ではなかった。
