93年：ニュー・クラシックス／コンコード・ニュー・ホライズンズ
監督：シリオ・Ｈ・サンチャゴ
主演：ジェウェル・シェパード
パメラ・ドゥペラ
スーザン・ハーヴィー
チャネル・アキコ・ヒライ
エド・クリック
ヴィク・ディアス
ラモン・ドゥサルヴァ
ボン・ヴィバル
ジョー・タワーズ
ジョナサン・デミの『女刑務所・白昼の暴動』の続編っぽい題名ながら、まったく関係のない話。
シリオ・Ｈ・サンチャゴのアメリカ合衆国向けフィリピン映画で、フィリピンとアメリカ合衆国の合作になる。撮影にジョー・バタク・ジュニア、編集にエドガー・ヴィナーの名義でエドゥガルド・ヴィナラオとフィリピンのスタッフが要所を占める。ヴィク・ディアス、ラモン・ドゥサルヴァ、ボン・ヴィバル（ヴォン・ヴィヴァル）、ロナルド・アシナスなどのフィリピンの個性派の助演がみられる。
いわゆるポルノ・タッチの女囚もの。
冒頭にハティハティハンのフィエスタがおこなわれ、架空の国の設定だが、フィリピンそのまま。国王のリム（ラモン・ドゥサルヴァ）が特別席から観覧し、横にアメリカ人女性の愛人のアマンダ（ジェウェル・シェパード）がいて、娘のマーガ（チャネル・アキコ・ヒライ）がアメリカ人をかこう父の堕落を嫌い、アマンダにむかつくようす。ジム・モス、ネッド・ホーラニ、デーヴィッド・スミスなどが演じるＣＩＡエージェントをかきわけ、突然に暗殺者が国王を撃つ。実はアメリカ軍のデーミョー大佐（エド・クリック）が仕組んだ芝居で、国王の亡命が目的。国王がアマンダに「アメリカ合衆国に住んでもつき合ってほしい」といい、アマンダが「これは仕事です」とかわすのがいかにも。マーガが暴徒につかまり、新政府の裁判で死刑になるだろうと知った国王が「アメリカの関与をしゃべる」とごね、救出にアマンダが刑務所へ入って女囚の設定ができる。空港で麻薬所持でつかまるとき、たまたまポルノ・ヴィデオの運び屋のルーシー（スーザン・ハーヴィー）が巻き添えをくう。ルーシーの持つポルノを再生で係官たちがつい楽しんでみるあたりが、さもありなん。
沖の隔離状態の島にある刑務所へ移り、あとはありきたりな展開。サディスティックな所長のチェン（ヴィク・ディアス）は黒人の囚人のポーラ（パメラ・ドゥペラ）を麻薬であやつり、性のなぐさみものに使う。ポーラがルーシーを白ブタとさげすみ、ふたりが常にケンカ。王女の収監でアマンダが看守の長（トトイ・トレス）の協力をえて脱獄の作戦を実行も、長の座を狙っていた看守（ロナルド・アシナス）の裏切りで失敗し、チェンが王女を犯す。
アマンダの説得に王女が「裁判にでる」と拒み、死刑になるかもに「死ぬほうが名誉なの」は、どこか日本を意識におくとうかがわせる。王女の仏教っぽいあいさつがヘタなのは演出のシリオがキリスト教徒のせいにして、王女の衣装などはタイのイメージかもしれない。
チェンが王位継承者とやったと興奮は、王国の臣民をあらわす意図だろう。
アマンダが髪の毛をくくられて吊るされる制裁や、鞭打ちの罰は女囚ものの定番。ポーラが王女に麻薬を打つエピソードはとってつけた印象にとどまる。
神父に化けたデーミョーの面会で「もう王女はいらない」といわれ、国王が「ちょっと困った人だ」や「新政府がアメリカに国交を求めている」は政治状況の変化で、末端に動くものが翻弄の構図。命令を無視のアマンダが王女を連れ、ルーシーとともに脱獄をデーミョーが救出のクライマックスがさえない。アマンダたちの乗るボートをチェンたちのクルーザーが追う銃撃戦で、アマンダの銃弾がクルーザーを吹っ飛ばすご都合主義にあきれる。
助かった王女を警官が逮捕をアマンダが工作に入る。ニノイ・アキノ国際空港の外観を撮ってマニラと明らかだが、空港のロビーのＴＶで王女の処刑のニュースをみる市民の真ん中にロニー・フランシスコがいて、台詞なしのノン・クレジットの出演。実は処刑が芝居で、極秘出国の王女がアマンダに感謝を示す。ルーシーには「これが私の仕事」とアマンダが芝居をばらさないラストでしめるも、低レヴェルな内容はいかんともしがたい。ロブ・カークナーのストーリーにもとづくポール・ズィラーの脚本が弱いなら、シリオのゆるい演出がバカバカしさに拍車をかける。
もっとも、ポルノ要素の中途半端さが最大のダメなポイント。ＣＩＡの連絡係のエージェント（ヘンリー・ストーザルコフスキー）からデーミョーとアマンダが情報を聞くとき、カップルの写真撮影のふりでアマンダがブラをだし、不自然な設定の下着露出が期待を抱かせるが、最後までぬるさの範囲内にとどまる。アマンダとポーラの格闘が泥レス状態ながら、囚人服をビリッと裂かず、アマンダと王女の一度目の脱獄、アマンダと王女とルーシーの二度目の脱獄ともに雨の中なのに、濡れて貼りつく囚人服がさほどボディーのラインを浮かばせない。アマンダは所長のボディー・チェックでオッパイをプラプラのパンティー一枚や、採石場でポーラと格闘の制裁の鞭打ちで囚人服を裂かれてオッパイが丸だしでも背中はお尻の上のみで、水中からザバッとあがってクルーザーに発砲のショットなど、本来はトップレスであるべき。王女はチェンの雨の野外でのレイプでオッパイがモロなうえ、ポーラに麻薬を打たれるシャワーでオッパイをみせっぱなし。ただし所長のボディー・チェックやポーラのいたぶりに合うケンカで脱がされず、ルーシーは看守の注意を奪って鍵をとる際にオッパイをさらすだけ。黒人のポーラは所長と座位のセックスでオッパイを揺らし、所長からほうびに麻薬をもらうストリップ・ダンスでＴバックのパンティー一枚のトップレスになるが、所長のアマンダとレズを強要に激しい抵抗をあらわすも、レズのシーンが結局でてこない。
アマンダ、王女、ルーシー、ポーラともにオッパイはバッチリでも全裸を欠き、女囚ものにおなじみのシャワーですらパンティーをはいたまま。しかもジェウェル・シェパードがさほど美人といえず、チャネル・アキコ・ヒライは山田邦子似のブス。スーザン・ハーヴィーやパメラ・ドゥペラも好みをはるかにはずれ、性欲をそそらない。
だと、ソフト・ポルノ落第。
シャワーのところでエキストラの女囚が四名ほど、トップレスをみせるが、いずれもフィリピンのセクシー女優に違いなく、知っている顔がいそうで、よくわからずに残念。とにかくこの四名が主役の四名よりもかわいく魅力的で、もっとフィリピン女優のヌードが満載なら、さらに数段の高評価になったと断言できる。
※ この作品は『バトルプリズン 女囚肉弾』の題名でヴィデオ発売されたことがある。
