ＢＵＬＯＮＧ
（ささやき）
　
11年：ＡＢＳ−ＣＢＮフィルム・プロダクションズ／スター・シネマ・プロダクション
監督：チト・Ｓ・ローニョ
主演：ヴォン・ナヴァロ
　　　 アンジェリカ・パンガニバン
　　　 アンジー・フェロ
　　　 バンス・ガルシア
　　　 テディー・コルプス
　　　 シルヴィア・サンチェス
　　　 ネリ・ナイグ
　　　 ララ・モレナ
　チト・Ｓ・ローニョのホラーで、ヴォン・ナヴァロを主演にコメディー要素をくわえる。語りがうまくて楽しめる内容ながら、表現のオリジナル性に弱さが目だつ。
　看護士のコナンがヴォンの役になり、同僚の看護婦のエレン（バンス・ガルシア）にぞっこん。でもエレンはヴォンの好意を狡かつに利用し、裏で医師のランディー（ジョン・アヴィラ）とできている。一方で田舎に呪い師の老女のパウラ（アンジー・フェロ）が不気味な巨大ムカデの影におびえる。亡くなった直後の死者に願いごとをささやくとかなうというせむしの従兄弟のシモン（ルーベン・ゴンサレス）が紹介の郷土の伝説をコナンが信じ、マニラへきたパウラが交通事故死の現場に遭遇でエレンの愛がほしいとささやく。それ以来、コナンがパウラの霊におびやかされる。
　エレンに化けてパウラがコナンをおどすなどのあと、パウラがシモンにつくや、シモンがヘンになる。コナンの旧友のオプラー（アンジェリカ・パンガニバン）も霊をみて、同じように呪われる。オプラーの叔母のカラ（カルメ・サンチェス）が占い師で、カラの話が事実関係を教える。
　最初のほうで若い娘（エダ・ノラン）が悪魔つきみたいに死亡の騒ぎがコナンのつとめる病院でおこり、海老ぞり歩きやベッドからの浮遊、緑の唾液の嘔吐など、まったく『エクソシスト』とディレクターズ・カット版のマネ。あまりに定番のこの表現はそろそろ卒業にしようとあきれる。エダが外国で成功を予言すると、海外就労の前に憎い相手を呪いたいと頼み、エダがパウラを紹介で、呪いの儀式を母（マサン）とパウラとおこなった娘が病院で悪魔つきで死亡の娘と同一とわかり、本筋につながる。しかも呪った相手がパウラの孫のララ（ネリ・ナイグ）と判明にパウラがショックをうけ、ララが妊娠中で呪いが子どもに続く可能性があるため、終わらせないといけない設定ができる。
　呪いの方法が対象の髪の毛など、身体の一部を必要とするのも定番だが、これはパターンどおりがしっくりおさまる。呪いを解くにも身体の一部がいるので同僚の看護士のドナルド（テディー・コルプス）に協力を無理やりに依頼でコナンとオプラーが葬儀屋へパウラの死体を盗みにいく。
　ララがボホールに住み、パン職人のシモンが小麦粉でチョコレート・ヒルをつくったりでボホールを暗示も、なぜにボホールかの必然性がなく、単純にフィリピンが観光に力をそそぐボホールを舞台においたのみ。コナンとオプラーが臨月のララと会うも、母のリリー（シルヴィア・サンチェス）と父のロロ（ダンテ・バロイス）ともに呪いを信じず、突然に出産で悪魔が姿をあらわすクライマックスをむかえる。人間のおばさん（メル・キムラ）が変身で正体を暴露の悪魔はＣＧによるムカデ型の全体像が『スコーピオン・キング』のサソリ型とさほど変わらず、またも独創性を欠く。
　ボホールのホテルで悪魔がついた支配人（クー・アキノ）に襲われるとき、意味なく部屋にトイレット・ペーパーが縦横に張りめぐらされ、コナンが『エントラップメント』みたいにまたいでわたるバカっぽさもパクりのつけたし。
　チト・Ｓ・ローニョとロイ・イグレシアスの脚本が自分の孫と知らずに呪うシチュエーションを巧みに構成ながら、アイディアの決定打に乏しい感じ。
　でもコメディーのみせかたにチト・Ｓ・ローニョのセンスがいきて、オプラーの店が美容院とバーを回転の壁で簡単にチェンジや、パウラのポルターガイスト現象によるバーの破壊でオプラーがおびえと同時に電卓で損害額を計算がなかなかおかしい。エレンとランディーのキスを目撃で看護士（ジャン・テリー）が泣くホモ・ネタはフィリピン映画に不可欠のギャグ。ボホールのホテルに韓国人がふたり宿泊に最近の韓国のフィリピン人気を示しつつ、支配人がタヌキの置物の頭をかぶる異変はいただけないが、韓国人のカリカチュアが愉快で、キムとキムの名前なのが笑いを誘う。ラストで恋愛復活にコナンがオプラーに好物でしょとあげる焼き鳥が脚の串刺しはフィリピンで一般的だが、妙にニヤつける。
　エレンがドバイへ海外就労にフィリピン社会の現状を盛りこむ。
　ただし、パウラの交通事故を通報でコナンが検証に立ち会うときに警官（ソリマン・クルース）から飲酒を指摘されてのごまかしかたなど、ハズすネタも多い。
　女優の魅力はアンジェリカ・パンガニバンがジーンズのミニスカで太腿をだし、ボホールでバイクの運転手が異常で飛びおり、コナンの落下をながめる際の前かがみでバストの谷間が揺れる。雨の降る墓場で地面がぬかるみ、泥から手をのばす化けものに足をつかまれての格闘でもバストがブラブラなうえ、激しい動きでヘソや腰が露出し、泥レスさながらにベトベトがそそるも、お尻への貼りつきがゆるくて惜しい。コメディー演技はヴォン・ナヴァロに負けていない。
　アンジェリカよりもずっと美人のヴァレリー・バンス・ガルシアは寝室でコナンを誘惑に赤いランジェリーがセクシーで、黒いパンティーがのぞく。白衣をめくってトップレスはオッパイに悪魔の顔が浮かぶＣＧに興奮が逃げさり、相当に残念。
　ネリ・ナイグとエダ・ノランは中程度のかわいさといえる。
　病院の管理職的女医のアキノ役で九十年代後半のセクシー女優のララ・モレナが出演は、とくに注目点なし。
　うるさいおばさんぶりなら、カルメ・サンチェス、シルヴィア・サンチェス、モサン、コナンとエレンの同僚の看護婦を演じるメラニー・ドゥ・フンコよりも、コナンの叔母でパン屋のオーナー役のジョイ・ヴィダオがまさる。
　アンジー・フェロとメル・キムラは怪しさが薄いかな。
　また、パン屋に貼られたボホールの観光カレンダーに写り、実際にチョコレート・ヒルの前に立つモデル役にミス・ボホール出身のフェル・マリー・バリキグが顔をだし、さすがにキュート。
　コナンとオプラーが前に別れる原因となった女性のチェルシー役でディンプレス・ロマナが写真のみでカメオ出演する。