ＢＵＫＡＳ　ＮＡ　ＬＡＮＧ　ＫＩＴＡ　ＭＡＭＡＨＡＬＩＮ
（私たちが愛し合うのは明日だね）
　
00年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：アンジェルー・デ・レオン
　　　 ディーテル・オカンポ
　　　 テッシー・トマス
　　　 マリアンネ・デラ・リヴァ
　　　 セルソ・ＡＤ・カスティーリオ
　　　 ジェシカ・サフラ
　　　 ララ・ファブレガス
　　　 ベルナルド・パランカ
　ホセ・ハヴィール・レイエスが手堅くまとめたラヴ・ストーリーで、そのテクニックがかえって面白味を欠くくらい。
　アンジェルー・デ・レオン演じる女子大生と、ディーテル・オカンポ演じるヤング・エグゼクティヴが友人の紹介で知り合い、ひと悶着のすえにゴール・インする内容。まずアンジェルーはテッシー・トマス演じる母がリコ・ミゲル演じる若い男を囲っていて、やたら食いながらヒヒヒ下品笑いするリッキー・リヴェロ演じる兄と四人暮らし。離婚したセルソ・ＡＤ・カスティーリオ演じる父は田舎で農業を営み、チア・プシット演じる女性と再婚していて、年齢の離れた腹違いの弟をつくっている。ディーテルのほうは既に一児の父で、ララ・ファブレガス演じるかつての妻にマーク・ネルソン演じる恋人ができたのが気になってしょうがない。マリアンネ・デラ・リヴァ演じる母は、メンゲー・コバルビアス演じる義父に不満を抱いているよう、とのヘンテコな双方の家庭環境を描きだす。アンジェルーにはアンドレア・デル・ロサリオとニッカ・ルイス演じる同級生がいて、あれこれ井戸端談義する仲なれど、そのくだらなさが、あきれるような大学の講義とともにカリカチュア。アンドレアのボーイ・フレンドがベルナルド・パランカ演じるディーテルの友人で、バンド歌手との設定になっている。
　アンジェルーとディーテルが交際開始後もなかなかセックスへ進まず、しばらくデートを繰り返すのが、当たり前のことながら、その日のうちにベッド・インしているケースの多い八十年代以降のアメリカや日本の青春映画よりも説得力を持つ。デートのシーンからはライヴ・ハウス、レストラン、ディスコといったナイト・ライフ、スケート、ビリヤード、ダンス・ダンス・レヴォリューションといったアミューズメントなどのパターンがうかがえて興味深い。アンジェルーがタバコを嫌う性格には、相当に共感。
　これに冒頭でアンジェルーとディーテルが別々に自宅でジェシカ・サフラがプレゼンターを勤める一般カップルとのトーク・ショーをみているシーンを置いたあと、全編の随所にこのＴＶ番組を挿入し、主人公二人の心理を裏読みしたり、皮肉をつくるような構成をとっている。カップルばかりでなくセラピストやカウンセラーもソロでジェシカのインタビューを受けていて、アンジェルーたちが大ゲンカの直後にカウンセラーがでてくるなど、ちょっとうますぎて、計算が鼻につく印象。当然、ラストはアンジェルーとディーテルがゲスト出演とのオチで、ホセの作劇術に感心こそすれ、どこか無機質な要素をかぎとってしまう。
　ところで、このＴＶ番組が実際にオン・エアーされているものかどうかは、残念ながら不明。
　さすがにいったん別れたあとはタルく、ドラマを引っぱりきれなかったと評さざるをえないものの、まあ、破綻のない仕上がりといっていいだろう。
　ディーテルがしばらくサン・フランシスコにいたらしいアメリカ志向や、アンジェルーが大学を卒業直後にいきなり中間管理職っぽいポジションに就職しているなど、フィリピン社会のいったんが無意識で盛りこまれている点にニタッとするも…
　大ファンのアンジェルーは、セクシーと無縁と感じていたのだが、ここではちょっと色っぽいのが嬉しい部分。カー・セックスを拒んだあと、初めてのベッド・インで背中をなめられるショットにドキッ。二回目はディーセルの前でシャツを脱ぎ、ブラまで大胆にはずすのをうしろからとらえていて、もう、振り向かないんだから、と不満ながらも興奮が頂点に達する。
　アンドレア、ララ、ララの友人を演じたキンバリー・ディアスなど、セクシーな女優陣がまったくそそらないのは、さすがにマイナス要素。ディーテルの従姉妹を演じたメエ・アン・ヴァルガスがかわいいうえ、タンク・トップにヘソだしのファッションでゾクゾクさせる。そこそこに好みだったりして…　あと、数組でてくるトーク・ショーのゲストを演じる中では、シャロン・ローゼンフェルドの美人ぶりが気になってしょうがなかった。