ＢＵＨＡＹ　ＮＧ　ＢＵＨＡＹ　ＫＯ
（私の生活のすべて）
　
94年：リーガル・フィルムズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：ドーン・スルエタ
　　　 アイコ・メレンデス
　　　 アルベルト・マルティネス
　　　 アルジョン・ヒメネス
　　　 ジョン・エストラダ
　　　 リザ・ロレナ
　　　 ユーラ・ヴァルデス
　　　 ズセット・ラニーリオ
　　　 チェリー・パイ・ピカチェ
　　　 アイアイ・デラス・アラス
　冒頭、ドーン・スルエタとアイコ・メレンデスがプールで泳ぐ。白いワンピースのドーンの肢体が水中をクネって理想的なウェストとヒップのラインをつくれば、黒いワンピースのアイコの股間をカメラがのぞきこむように狙う。なんと嬉しい出だしと歓喜がわきあがる。ドーンが下着にガウンをはおったかっこうへと続き、早くも満足状態に。下着のダンサーが二名踊るバーへドーンが現われ、まさかドーンがステージに立ったらどうしようとの興奮がかけめぐり、リザ・ロレナ演じるママからモーテルへいく指示がでて、もしドーンのヌードがおがめたなら爆発しちゃうかもよとの妄想がよぎる。実際は下着でダンスもセックスもでてこないのだが、超ミニスカの衣装にドキドキと心臓の高なりを抑えきれず、ドーンに完全悩殺をうける。
　ホント、ドーン・ファンにはこたえられない作品。
　内容は姉妹の絆を問うドラマで、まだ学生のアイコ演じる妹にラクさせたくて、ドーン演じる姉が売春でカネを稼いでいる。でも誰の子かわからない赤ん坊を身ごもり、なんとか流産にと冷たい水につかったりするもうまくいかず、手遅れになる。お腹がふくらんで働けず、ぬいぐるみ工場の作業員を始める。アイコのほうは家庭環境がバレて退学処分のあと、レストランでウェイトレスの職を得る。そこでジョン・エストラダ演じるオーナーに目をつけられる。アルジョン・ヒメネス演じるボーイ・フレンドがこっそりホモ売春している現場をみて落ちこむアイコにジョンが近づき、二人がセックス。ドーンがアイコを責めて、姉妹が激しくぶつかり合う。アルジョンがジョンに命をはった抗議のすえにアイコと結ばれ、ドーンとも和解でかえって愛が深まるとのストーリー。これにドーンの相談相手で、アイコとの仲裁に入るチェリー・パイ・ピカチェ演じる女性が、マイク・ガヨソ演じるごう慢な夫に悩んでいるサブのエピソードがカラむ。オギー・ディアス演じるオカマがストリートの売春婦をとりしきり、斡旋のようすや、アイアイ・デラス・アラス演じるドーンの同僚が客からボコボコに殴られて病院へ担ぎこまれ、リザやドーンが警察に訴えても「男と寝る仕事だろう」と門前払いになるなどの社会的偏見を含む。アルベルト・マルティネス演じる福祉員のはからいでドーンが赤ちゃんを里子にだすのを条件に、出産費用の負担をまぬがれ、生まれたと同時にもらわれていく悲しみがセンティメンタルなイメージを盛りあげる。いかにもホセ・ハヴィエール・レイエスらしい、きちんとまとまった構成だといえる。ただしジョンがピストルを撃って脅すのは、安易な凶器の活用が感心できなかった。
　まあ、平均的な仕上がりかもしれない。
　ドーンの魅力がすべてを許してあまりあるという気分。
　ほかにドーンの仲間役にユーラ・ヴァルデスが顔をだし、今にもパンティーがチラつきそうなミニスカを披露してくれる。ズセット・ラニーリオもグループのひとりに登場する。アルベルトの恋人役で、ミス・フィリピンになったばかりのアルマ・コンセプションがゲスト出演。女医役でラクエル・ヴィリアヴィセンショ、ジョンの母親役でアルマ・レルマが脇をかためている。