（人生の転換）
年：プライム・フィルムズ／ヴィクトリー・シネマ・プロダクション
監督：ルシオ・ルーカス
主演：ロナルド・ガン
フリオ・ディアス
レイ・ＰＪ・アベリアーナ
カトリナ・パウラ
ジャヌアリー・イサアク
ダンテ・ヴァローナ
マリセル・モラレス
ラモン・ザモラ
ヤム・レデスマ
ザンドロ・ザモラ
ホセ・ロムロ
エルニー・オルテガ
エルニー・サラテ
レーイ・ロルダン
ジェス・サンチェス
ロナルド・ガン・レデスマの主演だと、失礼ながら駄作の予感が走る。しかも劇場未公開に終ったと思える作品なので、余計に嫌な先入観を抱く。
全体は三つに構成され、プロローグでアンテロ・セゴヴィア大尉（ロナルド・ガン）の率いる部隊がヴァルデス（レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ）をリーダとする部隊と戦い、アンテロの機知によってからくも勝つ。前半はサレス国務長官（ホセ・ロムロ）の要請でバルモリ将軍（エルニー・サラテ）からじきじきにラプス大佐（ザンドロ・ザモラ）も同席で某国大使の誘拐事件の解決を命じられる。かつらとメガネを使った変装でシンジケートにかかわるらしき女性のマリエル（カトリナ・パウラ）に近づき、マリエルの紹介でダルモ（コンラッド・ポー）からビンゴ場の仕事をえる。事件と無関係のマリエルとベッド・インのあと、ビンゴ場の奥に潜むアジトでいったん正体がバレるも、潜入中の部下のアルトゥール（レーイ・ロルダン）に組織の用心棒（トニー・ベルナル）に撃たれそうな窮地を救われ、みごとに任務を達成する。後半は警察署がゲリラ隊に襲われ、ラプス大佐に討伐の指令をうけると、ウェンディー・コルテス中尉（ジャヌアリー・イサアク）を片腕にとつけられる。ウェンディーが女性なのを心配したアンテロだが、なまじ男よりも頼りになり、二人に恋愛感情が芽ばえる。たまたま酒場でゲリラの首謀者のエミリオ・チャヴェス（フリオ・ディアス）と知り合い、お互いが誰かを知らないままにエミリオがケンカに際してアンテロを助け、名のり合ったあとに友情のようなものを感じる。ゲリラに内紛があって、一部の暴走でレイプや村人の惨殺をおこない、拉致されていた子どもたちを助けだしたアンテロやウェンディーが怒りにふるえる。いよいよ本拠を襲撃でアンテロがエミリオをつかまえるも、以前に助太刀したことに「ウタン・ナ・ロオブがあるはずだ」とエミリオがいったので決闘になり、わざとエミリオがはずしたためにアンテロの弾があたる。二人は友情の敬礼をかわす。
アンテロがカネもちのボンボンで父（ラモン・ザモラ）の名声によりかかっているながら、戦いの中で庶民の立場を理解しつつ、人生を大きく変えていくのにドラマを描こうとするが、薄っぺらな内容には違いない。たかだかかつらとメガネで相手があざむかれるのが安易なら、早くにアンテロがマリエルに正体を教え、化けきれない中途半端さがフィリピンっぽくも思える。ウェンディーとのロマンスにアンテロがむかしの恋人のリンダ（マリセル・モラレス）を回想は意味なし挿入にすぎず、ウェンディーとの別れが描かれるも、マリエルとはどうなったのかわからず、フレッド・ジョソンの脚本がいい加減な印象を残す。モルガン（ジェス・サンチェス）、ベルゴン（ボビー・ベニテス）、ジャコ（エルニー・レデスマ）などのいるゲリラの内部が浅い視点で、内輪もめの構図をおざなりにすませるといった短所ばかりが目につく。縛られたアンテロが水中でナイフの刺さった死体をみつけ、それでロープを切るアイディアはサスペンスを伴わず、ルシオ・ルーカスの演出もイマイチになる。肝心の銃撃の対戦に迫力の乏しいのが致命的で、結局は先入観どおりのでき。
まあ、警察署で緊急事態の知らせに釣鐘を打ち鳴らしているのや、マリセルのお供がオカマなあたりに興味がわき、なんといってもカトリナ・パウラのセクシーさが見せ場をつくる。二度あるセックス・シーンはオッパイ全開のサーヴィスぶりで、とくに一回目は乳首のアップまででてくるのに目がテンに、下半身がカチカチになる。ジャヌアリー・イサアクは全員が迷彩色の戦闘服にまじっての紅一点で黒いミニスカのスーツを着こみ、確かにカッコいいが、手榴弾をよけて転がったときにアンテロとキスになるくらいにとどまり、衣装がまくれないのが残念。エミリオの妹役でヤム・レデスマが出演していて、本拠地のプールで太めのボディーをワンピース水着にくるむうえ、ローライズぎみのジーンズが視線を引きつける。ほかに反逆ゲリラが全裸でセックス中のカップルのいる家に入りこみ、女性をレイプはオッパイが隠れていて、ジャングルで女性ゲリラがパンティーのみえるポーズをとるのはオマケ。
主題歌をヤムが担当はロナルド・ガン主演作の定番になっている。
