ＫＡＰＡＧ　ＤＵＭＡＮＡＫ　ＡＮＧ　ＤＵＧＯ　　ＢＵＥＮＡＶＩＳＴＡ
（血が流れるとき　ブエナヴィスタ）
　
97年：ジョウェル・フィルムズ・インターナショナル
監督：バルド・マーロ
主演：アンジャネット・アバヤリ
　　 　レーモンド・キアヌー
　　 　ジョアン・パスクアル
　　　 ラモン・クリストファー
　　 　ジュード・エストラダ
　　　 シンタロ・ヴァルデス
　　　 グロリア・セヴィーリア
　　　 ズバス・ヘレロ
　　　 ジェリー・オリヴァ
　レーモンド・キアヌーが主演となればマイナーなイメージだし、バルド・マーロが監督なので安易なアクションの印象をまぬがれないも、アンジャネット・アバヤリがヒロインだけにみのがせない。
　実際、内容はほぼパターンにそった程度。軍隊の英雄のヴィクトル（レーモンド）が故郷のブエナヴィスタへ帰ってみれば、市長（エルニー・サラテ）が自ら先頭に立って悪の組織と戦っている。街の有力者のゴブ（ズバス・ヘレロ）が悪の首領で、その養女のヘレン（ＡＪ）とレーモンドが、かつて恋愛に陥っていた。実は今も好意を抱きつつも、レーモンドには新しい恋人のアンヘラ（ジョアン・パスクアル）がいて、そのアンヘラにゴブの三男のジャッキー（シンタロ・ヴァルデス）が横恋慕、との人間構図。父の市長や母のリサ（グロリア・セヴィーリア）、幼い妹のロダとティンカイのふたりを皆殺しにされ、ヴィクトルが復讐をはじめる。ゴブの二男（ジュード・エストラダ）やっつけ、アンヘラをレイプした三男を始末し、ヘレンも加わって長男（ラモン・クリストファー）を撃退し、最後はゴブに迫る。
　一家斬殺で助かった弟のアレックスが感情まかせにゴブ宅へ乗りこみ、簡単に殺される脳みそのなさが型どおりなら、ヴィクトルとヘレンも作戦をたてずにゴブ宅を襲撃していて、相当に頭の悪いのが定番。アンヘラの死で三角関係に決着をつければ、養父と恋人の殺し合いにヘレンが悩むのを薄っぺらに盛りこむのも杓子定規といえる。ジャッキーに殴られたアンヘラの母のマミン（ルシタ・ソリアノ）がどうなったかはわからずじまい。ゴブの右腕のエラルテ（ロミー・ディアス）が逮捕され、悪徳警官（レナート・デル・プラド）を利用で護送車の輸送中に助けだし、礼金の受けわたしの際にゴブの配下のグスマン（コンラッド・ポー）が警官を殺すあたりや、魚の荷あげをよそおってシャブを運んでいるアイディア、ヘレンの運転手のタピアン（エルニー・フォルテ）があっけなく撃たれる予想を裏切らない展開と、いずれもバカバカしい。冒頭におかれる軍隊でのヴィクトルの誘拐救出劇に、市長の違法カジノや売春宿の摘発模様はおなじみの枠内。二男を追いつめるときにモーターボートでのチェイス、三男との対決に車とバイクのチェイスをくり広げるも、さほど迫力がない。
　ただしＡＪの色っぽさがすべてにまさる。ヴィクトルの思い出の中でビーチへいくと、水の中からザバッと抱きあげられたうえ、セパレーツの水着を濡れたボディーに貼りつかせながら砂浜へ走る。パンティーが大きめなのが惜しいが、けっこうハイレグで興奮を誘う。自ら射撃練習、ヴィクトルに池の端で教わる射撃練習、アンヘラとヴィクトルがいるビーチへやってくるシーンなどでのジーンズがかっこよく、長男のフランコが性欲を抱く自宅で階段をのぼるショットにはジーンズのお尻のアップがある。フランコが入ってきたのを撃退の自室では、眠っているベッドでシーツから長い脚がでている。ヴィクトルと合流で銃撃戦になってからは、下半身にフィットした紫のピタパンがそそり、木の枝に引っかかってカーディガンが脱げると、下からブラがのぞきそうな短さのキャミが視線を奪う。ときどきピタパンがダブついているショットがあるが、ふきかえのスタント・ウーマンなのだろう。余計にＡＪの脚のみごとさが際だつ。
　ジョアン・パスクアルは容貌的に落ちるし、せっかくのビーチの水着でのラヴ・シーンが夕景なため、ビキニのラインが隠れているのがイマイチ。ヴィクトルの家族が殺されるビーチではジェットスキーから水着のまま駆けつけるが、やはり救命具をつけていて体の線がいっさいみえず、ちょっと不満を残す。ジャッキーに犯されたあとはハダカながら、ずっとボディーにシーツを巻いている。すっぽんぽんでくくりつけられているお尻丸だしのうしろ姿は、おそらくふきかえの別人と思われる。
　ほかにヴィクトルの一家が遊ぶビーチではワンピース水着の女性が数名歩くも、ヴィクトルの妹役のマリジョイ・アドラブレとアラベル・カダシオは普段着のままで、ＡＪの射撃練習のとなりにいる二名の女ともだちはブス。ジャッキーがレイプに誘拐する女子学生役も普通のお姉ちゃんっぽいし、脱がされるシーンがなかった。